【感想・ネタバレ】日本人として読んでおきたい保守の名著のレビュー

あらすじ

「ネット保守」という言葉をよく聞くようになった。若い世代で「保守」を自認する人も増えている。また、時の政権のリベラルな政治姿勢に反発しているのかもしれない。とはいえ、保守陣営でも政策によって意見は分かれることがしばしばだ。論者によっては、日米関係重視を主張する人もいれば、反米を声高に唱える人もいる。「平成の開国」に賛成する人もいれば、TPP反対を叫ぶ人もいる。では、そもそも保守とは何か。深く考えたことがあるだろうか。本書は、「保守主義の父」と呼ばれるエドマンド・バーク『フランス革命についての省察』にはじまり、ハナ・アーレント『全体主義の起原』、カール・ポパー『開かれた社会とその敵』、ハイエク『隷属への道』など7人の名著を紹介し、保守の核心に迫る。「保守思想は垂直軸を持つが、リベラル陣営は水平次元でしか生きられない」と主張する著者による「保守主義」の入門書である。

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Posted by ブクログ

10年ほど前に購入しました。世界の保守の名著がわかりやすく紹介されています。中川八洋の『保守主義の哲学』同様、保守思想の入門書として最適です。ただ、前書きにも書いてありましたが、名著の取捨選択は、一般人が入手可能か否かということもあり、取り上げられている名著が少ないです。その点だけ少し不満でした。保守思想について学びたい人におすすめです。

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2023年11月18日

mac

ネタバレ

ポパーの言葉

・民主制とは、「民衆の支配」を意味します。信じ難いことかも知れませんが、この名前自体が重大な誤謬の源泉なのです。
 ここに、政治的義務より政治的権利を強調するという問題のすり換えがあるのです。
そればかりか、生徒たちは、実際には彼らが支配など全然していないことに気づき、いわゆる「民主制」なるものは虚偽であり、彼らを欺くための手段に過ぎないと思うようになります。
彼らは、独裁制下に生きた経験が無く、独裁制下の生活の非人間性、生命への恒常的脅威の下での無責任状態の生活がどのようなものかを知らないのです。
・確かに自由は最も重要なものですが、私の自由は貴方の自由によって制約されます。私が拳を振り回す自由は、貴方の鼻の存在によって制限されるのです。即ち、貴方も私も、自由だけでなく責任を持ち、権利だけでなく義務をもつのです。
・文明とは、暴力なき生活様式を、人間関係の常態として確立し、また暴力行為なき生活様式を正常・正当なものとして確立しようとする人類の長い間の努力です。
・このような「文明」を実現する方法として知られている唯一のものは、法の支配の確立です。(ここでいう法とは人間の作った法律のことではない。それは宗教よりも権力よりも上位のものである。それは愛情と真実に基づいたものである。それは祖先が残した伝統、慣習、そして過去の事例によって見つけるものである。この「法」に基づいて統治を行う以上、法律はどうあるべきか、統治はどうあるべきかを規定する。必然的にそれは制限された権力による統治となる。したがって、「設計された法」は「法」たりえない。倫理は発明されるものではなく、発見されるものである。)
人口密度の高い国家において、法の支配がなければ、恐怖の支配がそれに代わる他ありません。法の支配の正当性の根拠は、現行法のいかなる部分の変更も、体制に組み込まれた非暴力的手続きに従って行われることにあります。
・開かれた社会(自由な批判、意見を許す社会)においては、子供は、責任ある両親、それが不可能な場合には他の責任ある人物によって育てられる権利があたえられなければなりません。
 子供は何らかの仕方で、その教育システムの中で、肉体的・知的・道徳的に可能な限りの成長を遂げさせられるべきです。
「子供の活動を罰するより激励せよ」とは、常に教師の座右の銘とすべきものです。 

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2022年09月30日

Posted by ブクログ

バーク、トクヴィル、ハイエクなど、少なくとも、私は知らない学者(本書には、日本ではあまり知られていないとか書かれていた)が取り上げられていた。その内容を筆者なりにまとめたこの本は、読みやすく明快。今の政治状況を比べながら読んでも、色あせていないというか、今の様子を表しているようであった。
特に、なるほどと思った点は次のようなところだ。
・「法治主義」と「法の支配」がきちんと整理されていた。
・民主主義者であることは、多数が正しいからではなく、最小限の害だからだ。
・人々を平等に扱うことと、平等たらしめようとすることとの間には天地ほどの違いがある。
・構成員が同じような思想を持つ協力で人数が多いグループは最悪の人々から作られる傾向がある。

筆者は決して現在を変えるなとは言っていない。過去を見て、祖先からの連綿と続いてきたものを見て、残すべきものを見極めよということではないか。そのうえで、変えていくものを強い思いをもって変えていくべきである。

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2012年05月10日

Posted by ブクログ

筆者は早稲田、自衛隊、評論家と言った変はった経歴の方。「司馬史観と太平洋戦争」も面白かった。
筆者の読書遍歴として読んだ。保守正統を歩まうと志してゐる方には最適の読書案内ではないか。
それぞれの名著の警句がちりばめてある。
巻末の引用は記憶に止めたい。

THE SERENITY PRAYER
O God , give us
serenity to accept what cannot be changed,
courage to change what should be changed,
and wisdom to distinguish the one from the other. Reinhold Niebuhr

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2012年03月17日

Posted by ブクログ

バークを読んだか?、と阿川弘之の息子で阿川佐和子の兄である弁護士阿川尚之は、若かりし頃、アメリカのジョージタウンロースクールに留学中にサマーアソシエーツで行った先のパートナー弁護士から尋ねられた。かくほどにアングロサクソンの知的エリートは、バークの思想を頭にしみこませているということか。

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2018年10月14日

Posted by ブクログ

エドマンド・バーク
トクヴィル
G・K・チェスタトン
ハンナ・アーレント
カール・R・ポパー
F・A・ハイエク
ラインホールド・ニーバー
の代表的著作を紹介し,保守主義の2大原則である「自由」と「法の支配」とがどのように受け継がれてきたかを解説する書籍。

各章の終わりに設けられた文献リストが便利。

渡部昇一や西部邁を頻繁に引用し,「中庸」を旨とする保守主義は邪道であるとして退ける。

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2015年01月04日

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