【感想・ネタバレ】なぜ世界はEVを選ぶのか 最強トヨタへの警鐘のレビュー

あらすじ

これは正論の競争じゃない。雇用をめぐる国家間の戦いだ――。

世界中で進むエンジン車からEV(電気自動車)へのシフト。欧州はエンジン車の販売を実質的に禁止する方針を打ち出し、米国は“国産”のEVの優遇を始めた。自動車メーカーを巻き込んだEVシフトは、各国政府の陰謀か、それとも世界全体の未来か。

欧州を中心に駆け回って自動車メーカー幹部やEVユーザーを徹底取材した著者が分析する、EVシフトの本当の意味とは。そして、トヨタ自動車をはじめとする日本の自動車メーカーにどんな影響をもたらすのか。2050年の「カーボンニュートラル」実現に向けて大きく転換する巨大産業の行く末を占う。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

トヨタの売上の1/3を占めるアメリカと中国だが、EVシフトによりエンジン車の売上を確保できなくなる可能性がある。

エンジン車の販売禁止規制によって、エンジン車が売れなくなる可能性がある。

EV車は航続距離の問題があるため、充電ステーションを十分に確保できない山間部やアジア、アフリカではHV車や再生燃料車、エンジン車の需要が残る可能性がある。

EV車ビジネスは、技術的に車体製造の参入障壁が低いことから、ソフトウェア販売や電池製造で利益を確保する必要がある。発電プラグの特許、使用量など。

EV車はエンジンスペースを必要としないため、自由な座席レイアウトを可能にする。1-3-2など。空気抵抗の低減も可能。独特なデザイン。



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2025年01月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

<メモ>
「VW」
・世界的なEVシフトの一番の目的は環境保護ではなく、産業育成と雇用の確保
・EPAは32年モデルの乗用車のうちEVが67%占めると見込み、約920万台相当
・25年以降の第3世代のEVは、用途に合った乗り心地や社内の機能をソフトウェアで定義する。E/Eにソフトウェアで車両の機能を定義していく体制は、これまでの開発体制を根本から壊して、ソフトウェアを中心に各部署が一体となる必要あり。車両開発の多くをサプライヤへ委託してきたため、EVに合わせたBMへの変化が難しい
・ドイツ政府とVWは一蓮托生。中国市場の好調とSUVの好調で、原資を確保し投資を積み重ねていく。この断面では既存車種からの派生EVのみ
・ツウィッカウ工場は年間30万台以上のEVを生産する能力を持つ。1つ目は多様な車種の混流生産。EVを大量生産するためにMEBを新開発。電池は別工場で組み立てられ鉄道で工場まで運ばれる。特徴として生産モデルが増えた分、取り付ける部品の種類も増え組み立て作業は複雑化。AGVの追加導入やAIを活用。結果、EVシフトによりエンジン車工場だった19年の8000人と比べ21年末には9000人に増えた
・EV用電池はザルツギッター工場で生産。25年から自社開発の電池セルを、40GWでEV50万台分に相当。リン酸鉄系も選べるようにしたことで、ニッケルやコバルトを使わないことで材料の調達コストを下げる。ウクライナ戦争以降レアメタル価格も高騰し、LFPに注目。同工場の電力はすべて再生可能エネルギーで賄う
・リサイクルのため、パワーコーという会社を新設。素材の9割以上をリサイクル。27年からEUも一定量の電池材料のリサイクルを義務付ける。電池モジュールを回収し、セルを取り出し、シュレッダーにかけて砕き、素材ごとに分別しリチウムやニッケルを回収。ここで中国の国軒高科のサポートを受ける、26%出資済み
・ドイツとスウェーデン、スペイン、カナダに電池工場を設立。カナダは27年から90GWの生産を開始。
・アウディの23年夏からの新車に、ハーマンと組み、独自のアプリストアを開設。カリアドもOSに力を入れており、24年以降に搭載見込み
・EVのコストはVWだけでなくトヨタのような量販車メーカーにとって課題。コストの4割を電池が占めるが、コストは下げ止まっており、エンジン車より高い状況は当面続く。25年までに2万ユーロ未満のEVが必要としている
・EUは30年に21年比CO2を55%削減としているが、英独仏と比べ豊かではない南欧でEVが売れないと達成は困難
・20年代後半は、各社のEVシフトにより利益率は下がる可能性がある。ユーロ7などで、1台当たり30万円のコスト増も見込まれる
・トリニティは広範車種に展開可能なEVPFであるSSPと、車載ソフトの組み合わせ。同PFは28年以降とみられる
・VWはMOIAを17年に設立。18年からハノーバー、19年からハンブルクでサービス開始。ここにトリニティEVを使う。ID Buzzを運転手を担うのが850人以上。多くの雇用を生む一方で、システムなどので利益拡大には苦戦
・24年以降のEU市場で販売するEVは、製造段階で生じたCO2を測定し、開示する必要あり。ラベリングも厳しくなり、すべての電池について識別情報や特性情報を記載したラベルを貼付する必要。英国も、ZEVマンデートを示し、24年に22%、28年に52%、30年に80%の販売を示す
・ボルボはEX90で、グーグルと提携。グーグルアシスタントの採用や、iPhoneとの連携、クアルコムの半導体とエピックゲームズの3D解析や映像化技術で、ドライバーが情報を読み取りやすい高画質の映像を車載スクリーンへ表示させる。自社開発のボルボOSで安全システムやインフォテインメント、バッテリーを集中制御
・SEAと呼ばれるEX30のPFは吉利が開発。EX30ではLFPとNMCの2種類の電池を中国で調達
・ポルシェの電動車両の主な開発者は、従来のエンジン車の開発部門出身。10年前に始めたことの成果が今出ている
・正極材、負極材、セパレーター、電解液すべてで21年では中国勢が6~8割占めた。黒鉛を使う負極材は、天然黒鉛が中国に偏在しているなどの状況
・CATLはレアメタルを使わないナトリウムイオン電池を提案中。23年から、奇瑞汽車に供給開始。現状はリチウムイオンより重量当たりエネルギー量が小さい
・欧州ではロシア産の原油調達が滞り、ガソリンや軽油の価格が上昇。リチウムや日系、コバルトの価格も上昇し、22年はEV用電池価格が前年比で上昇。容量当たり151円へ。モデルYの最廉価グレードも25%値上がりした。22年末で。
・リース大手であるオランダのリースプランは、毎年TCOを算出。EVのTCOはガソリン車やディーゼル車を下回った。
・LFPであってもリチウムを使うことに変わりはなく、23年は22年より下がる見込みだが、中長期的には高価格帯が維持。中国や南米などに偏在しているため
・国軒高科は中国のウーリンへEV電池を供給していることで有名、ビングループとも戦略提携し、電池セルをベトナムで生産予定。ドイツでも中国からセルをドイツに輸出し、ボッシュから買収したゲッティンゲン工場でパッケージ化。将来的には現地生産に移行。VWも支援
・今後の電池比率として7割がLFP、3割がNMC。エネルギー密度1キログラム当たり170whが境界線。一般的に両者の価格差は15~20%
・LFPは28年ごろには1キログラム当たり300ワット時を実現する見込み。ニッケル含有量が中程度の三元系と同程度になる。
・ノースボルトは、電池分解後、化学処理を施し資源を抽出し電池生産まで手掛ける。レッドウッドは電池材料の生産まで。できた材料をパナソニックなどに納入する
・将来的な正極などの材料を生産するまでの工程がひっ迫する。
・MOBIがバッテリーパスポートの規格案を取りまとめ
・BYDは再利用ビジネスの構築も主導し、電池の価格決定権を握る。テスラは充電ビジネスを30年に30億ドルほど。競合他社もテスラの収益拡大に貢献せざるを得ない
・ENEOSはNECから充電器4600基の運営権を取得し、30年度までに1万基の急速充電器を設置する。ジャパンリニュアーブルエナジーを2000億円で買収
・EVの普及の賭場口である現在は、専業メーカーが垂直統合で対応しているが、コスト競争が激しくなると、水平分業に戻る可能性あり。ニデック

<所感>
・肝心のトヨタに関してほぼ触れられておらず、今後彼らはどういう対応を取らないといけないか、の粒度が一般的な情報を並べているだけであり、その先が無いといった感じ
・他方、雇用の観点でのEUの具体的な状況などの紹介はあまり他本では見ない具体性があり、興味深かった
・その他、インタビューなどは24年の今見ると興味深い。もう一度、同じインタビューをしてみてほしいが、当時はここまで明確にEV普及を言い切っていたのが欧州勢かと思わされる

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2025年01月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2020年から、ロンドンでEVが増えた。
欧米中でEVシフトが鮮明。
化石燃料を使った電気で走るEVより、HVのほうがCO2削減効果があるのは事実。正しいことを議論するのではなく、現実に対処する。
自動車産業の主役は、テスラ、BYD、VW、トヨタ。
EVは世界の販売台数の10%程度。
テスラとBYDは、オンラインで直接販売する。電池や半導体を外販する。
トヨタとVWは、垂直統合システム。EVのモデルを確立できていない。
VWは元国営の保守的な会社で、ディースは相いれなかった。
アウディは新型車をすべてEVにする。
ヨーロッパの2035年規制の中で、eフュエールが認められた。コストが高いので、HVの追い風にはならない。電動化が難しい航空機向け。
EVのほうが儲からない。電池のコストが高い。
2035年には、EVのほうがガソリン車より安くなる。
ノルウェーは、販売比率の8割がEV。
中国ではガソリン車用のナンバープレートが競売になり高値がついている結果、EVを買うことになる。
ボルボ、メルセデスはEV専業への宣言をしている。メルセデスは小型車を廃止、高級車市場で勝負する。
ルマン24時間はエンジン車の祭典。
フェラーリらしいEVを開発中。
ポルシェは水素エンジンも検討中。合成燃料を開発中。
電動アスクルの開発競争。ニデックなど。今後は外注するようになるという目論見がある。
セーレンはEV向けの合成皮革を作る。
ドイツの労働組合は、週休3日とリスキリングで、EVシフトによる労働力削減に対処しようとしている。

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2023年11月07日

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