あらすじ
下町の小さなフレンチ・レストラン、ビストロ・パ・マルのスタッフは、変人シェフ三舟さんとスーシェフの志村さん、ソムリエールの金子さん、ギャルソンの高築くんの四人。コロナ禍で厳しい状況の飲食店業界、〈パ・マル〉でも、テイクアウトメニューを考えたり、料理教室を始めたり……。そんななかで、料理教室で起きた気まずい出来事、ひとり分のテイクアウトを買いにくる男子中学生の謎、自身のレストランにスタッフが定着しない理由がわからず悩む他店のシェフ、高築くんのいとこのプロポーズ計画等々、名探偵シェフのまわりには相変わらず謎や相談ごとがいっぱい。全7編を収めた待望のシリーズ第4弾。絶品料理の数々と極上のミステリをどうぞ!/【収録作品】クスクスのきた道/未来のプラトー・ド・フロマージュ/知らないタジン/幻想のフリカッセ/間の悪いスフレ/モンドールの理由/ベラベッカという名前
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Posted by ブクログ
このシリーズ大好き。主人公が人間味があって、この店のことを好きでいるけど執着してなくて自分を第一に考えて人との距離感が近すぎずドライなところが良い。
どの章も、読み終わるとあ〜なるほどね〜その考えもあったのねって自分では思わないことばかりで勉強というか考え方が増えた。クスクスの女の子も、自分の好きなことが差別に繋がるだなんて中学生でよくそこまで広い視点で物事を見れるなあと思ったし、フリカッセのお母さんもそう。なんで料理下手に?となってたけどそういう事かー!って納得。
たしかに身近な人が完璧でいると、それが基準になってそうじゃない人は劣っているになるのかも。それを治すのって難しいよね。フランス料理の男の子は夢を持ち続けてほしい。料理人でなくても、料理に関わる人でもこれからいろんな出来事を経験して自分の納得いく職業に出会えますように。
モンドールも、厳しい時期だから美味しい料理が出来たように、希望はそのままの店でシェフになってほしい。ベラベッカは横尾さんの自業自得じゃないか?言葉って大きいハンデ、そのハンデを分からずに採用してたのか。時代は変わるのに。
タイトルの間の悪いスフレはもう…いるよねこういう間の悪いけどいい人!嘘をつくといいことはつき続けることって言葉が残った。
このお話で好きなのは、プロポーズ保留にされた博己が主人公を責めるけど、言い返すところ。
Posted by ブクログ
前の3作が面白かったので、買ってきてしまった。今回はコロナ禍の時代に突入。なんか懐かしい気になってしまう。あまり暗い話にならず、相変わらず料理が美味しそうで良かった。
Posted by ブクログ
「ビストロ・パ・マル」第4弾 7話の短編集
パ・マルもコロナ禍の影響をうけ、営業の縮小やテイクアウト、料理教室とスタイルの変更を余儀なくされる。
外食どころか外出も制限されていた、あの時期の閉塞感を思い出す。
そんな中だからこそ、パ・マルに集まる人々の悩みや心に溜まった澱は、おいしい料理とシェフの言葉で洗い流される。そして勇気づけられ、少し前を向けるようになる。
どの話も、どこかで感じたことがあるような気がして、少し心がざわざわする。思い込みや一方方向からしか物事が見えなくなった時に、すっと視界を広げてくれる感じがとても心地よかった。
「モロッコのタジンのようだ、と僕は思った。少ない水分で煮詰めるように、偏見や苛立ちを自分で循環させて煮詰めている」
「完璧に家事をしてきたのは、そうやって他の家のことを馬鹿にする子供を作るためだったのだろうか」
「生まれた場所が違うだけで、そんな苦労を背負い込むほうがおかしいし、そんな苦労などしなくていい方向に世界を変えていけるのではないだろうか」
Posted by ブクログ
面白かった!けどちょっと1話ずつが短いように感じました。
コロナ禍の時のことが蘇るなぁ、と。
進路で考える中学生のお話、クスクスのきた道。
クスクス、食べたことないなー。フライドポテト、美味しそうでした。
未来のプラトー・ド・フロマージュ コロナ真っ只中の話。少年の未来が眩しい。
知らないタジン。流行ったなー、タジン鍋。志村さんの魅力満載。
幻想のフリカッセ。まさかの母親の話。
表題作。間の悪いスフレ。カッコつけない方がいいという話。
モンドールの理由。これも面白かった。
最後。ベラベッカという名前。若い人に薫陶を与える話が多い中で、これはちょっと毛色が違って、自分も身につまされたかな。
Posted by ブクログ
TVドラマ化されたシリーズの最新刊。最近の小説のご多分に漏れず,コロナ禍の苦境の話が含まれているが,飲食店が舞台の割にはあまり深刻な状況は描かれていない。若干食傷気味になってるのでそこは好感が持てる。一方で元々の作風であるところのミステリー感は少し薄いようには感じた。さらっと短時間で読めてしまう分量なのも少し物足りないかもしれない。特に縦軸の謎のようなものが残っているわけではないので,すぐにも続きが読みたいというほどではないが,空気感が気持ち良いので,長く続いてほしいシリーズではある。
1.クスクスのきた道
常連の早川夫妻が娘の高校合格祝いをパ・マルでやりたいという話
2. 未来のプラトー・ド・フロマージュ
コロナの影響で,営業時間短縮,酒類提供次巻の制限などによりパ・マルの収益が低下し,なんとかしようということでテイクアウトの対応を始める。すると中学生くらいの少年が1人分の料理を繰り返し会に来るようになった。その少年の事情とは?
3. 知らないタジン
コロナで収益が低下してるパ・マルのオーナーの次の一手は,料理教室を開くというもの。とはいえ三舟シェフにとても講師が務まるとは思えない,ということで志村が講師を務めることになる。その料理教室でちょっとしたトラブルが。
4. 幻想のフリカッセ
30代前半と見られる男性の二人組が飛び込みで来店する。二人は兄弟でこのとき食べた若鶏のフリカッセの味がかつて母親が作ってくれた思い出の味とそっくりだという。
5. 間の悪いスフレ
ギャルソン高築の従兄が婚活で付き合っている彼女へのプロポーズをパ・マルでしたいと言い出す。普段フランス料理にあまり興味もない従兄は,彼女にいいところを見せようと事前準備に怠りないが。果たしてプロポーズの首尾は?
6. モンドールの理由
同業者で常連でもある羽田野が来店して,目をかけている若い料理人が辞めようとしていると三舟に相談を持ちかける。
7. ベラベッカという名前
やはり同業者で「ロゼ・コンプリケ」という店をやっている横尾という男が,自分の店では従業員が定着しないのでパ・マルで従業員が長く辞めないコツは何なのかと,相談しに来る。
Posted by ブクログ
若鳥のフリカッセ、モンドール、ミロントン。今回も美味しそうな料理がいっぱいで読んでるだけでパ・マルのカウンターにいるような気分になれます。
コロナやウクライナへの軍事侵攻で厳しい状況にある飲食業界の話も出てきますが、ささやかな日常感も健在で楽しめました。
ただシリーズの中で一番謎解きがすっきりしない気もしました。
「知らないタジン」登森さんは嫌な思いをした仕返しをするために来ただけ?
「幻想のフリカッセ」息子たち(特に長男)何にも分かってないのか
「ベラベッカという名前」横尾さん、シェフの言葉が響いたかどうか
でもパ・マルと三舟シェフ、志村さん、高築くん、金子さんはいつまでもそこに居て欲しいです。