【感想・ネタバレ】浄土思想 釈尊から法然、現代へのレビュー

あらすじ

阿弥陀仏の極楽浄土に往生し、悟りをえて成仏を目指す浄土教。浄土宗、浄土真宗、時宗などの宗派が属し、日本で最も信者数が多い。なぜこれだけ多くの信仰を集めたのか――。本書は、教えの広がりを「物語の力」に着目する。衆生を救うため誓いをたて阿弥陀仏になった「法蔵説話」、家庭不和を主題とする「王舎城の悲劇」などの経典に描かれた話、法然や親鸞ら開祖の物語を読み解きながら、その思想の本質に迫る。

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Posted by ブクログ

 周囲のお薦めで読んでみたけれど、これが専門外の方が書いたのかと思うくらいまとまっていて深みのある内容だった。
 初期仏教からの流れで七高僧、そして法然上人、そのお弟子たち、そして親鸞聖人、果ては近代真宗についても触れられる壮大かつ丁寧な内容であった。
 親鸞聖人の部分については、これはいろんな見方が出るところかなと思うが、それは自分が真宗中心だからそう感じるのかなとも思う。
 物語でしか分からないわたしたちという大きなテーマがある。そうだなと感じる。ただ、物語のその向こうを感じていくことをしたいのだよ!!ということもある。物語でこれでいいではない。そういうことも思わされた。
 これが大正解!ということではないけれども、まさにきれいな概略となっているのではないだろうか。あっという間に読めた。
 一度俯瞰して浄土教を見てみるためにもお薦め。

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2023年09月12日

Posted by ブクログ

一般的な浄土教や浄土思想の概説書というよりは、あとがきで筆者の記述があるとおり、ポール・リクールを代表とする「物語論」に立脚して、浄土教や浄土思想の変遷をまとめている点が本書の特徴だと思う。

ただ、概説書としての役目も果たせている内容かと思う。「物語論」や浄土思想の詳細について知識がないまま読み始めても、十分な脚注があるためストレスなく最後まで読みきることができた。

第六章の近角常観に関する記述については、筆者が近年力を入れている研究テーマとのことだが、浄土教そのものについては、筆者の専門ではないようだ。

本筋とはあまり関係ないメモ:

霊的体験を主張の根幹とする姿勢ついては、個人的にあまり説得力を感じない。しかし、終章で触れられた、東日本大震災の際の宗教家たちの活動に関する記述を読んでみて、想像もできないような困難に直面したとき、霊的体験を否定するような科学的な思考傾向を浸透して、宗教が安らぎや救いを与えてくれるのかもしれないと思った。

本書にも記載のあるとおり、宗教的な物語による救済なのか、自己治癒力による克服なのかを厳密に判断することは大変難しいが、もし自分がそのような状況に置かれたとき、自分自身の「物語」として宗教が大きな意味をなす可能性はあるかもしれない。

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2024年11月19日

匿名

購入済み

浄土の教え

全く門外の私が意を決して読みました。当たり前のように接してきた浄土教をあらためて勉強させていただきました。

#タメになる

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2023年11月04日

Posted by ブクログ

浄土教ないし浄土思想についての概説的入門書です。

法蔵菩薩のエピソードや浄土三部経についての簡単な説明のあと、中国仏教における浄土思想のなかで、善導に焦点をあてて解説がなされています。つづいて、日本での浄土教の展開に移り、源信、法然、親鸞のほか、法然の弟子のひとりである證空についてある程度ページを割いて解説がなされています。

著者は、浄土思想にかんするさまざまな物語がもつ力に注目することで、過去から現在にまでおよぶ浄土思想の意義を把握することをめざしています。そうした著者の姿勢は、浄土教の非神話化を推し進め、近代以降に哲学者たちによってその思想の意義がさまざまに論じられた親鸞をあつかうさいにも一貫しており、後世の親鸞伝からそうした方向へと考察が展開されています。

近代以降では、みずからの宗教的体験にもとづいて浄土教への帰依を語った近角常観や、精神分析の分野で「阿闍世コンプレックス」を提唱した古澤平作、そしてマンガ『ブッダ』の作者である手塚治虫などがとりあげられています。

浄土教についての、比較的幅広い視点に立って解説をおこなっている本といえるように思います。

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2024年02月01日

Posted by ブクログ

浄土思想とは、念仏である「南無阿弥陀仏」は誰でも、いつでも唱えれる言葉で「阿弥陀仏」と一体になっている事で悟りを得て仏になれると言う、こと。現代版「歎異抄」が分かり易い。現代の宗教思想とは、多くが宗教的拠り所というよりむしろ精神的な面へとシフトしている、という。本書は素人にはかなり難しく理解し難いが、人の心・悩みがもっと現実的な心理療法等へ願いを求め始めており、更に今後生成AIでの説教など精神安定法話等にも進展するかもしれない。

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2023年12月17日

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