あらすじ
2029年に起きた小惑星衝突の危機。すんでのところで衝突は免れたものの人々の恐怖は拭いきれず、シェルター用の実験地底都市が建造された。劣悪な環境下で暮らす実験期間は10年、被験者たちには終了時に巨額の報酬が約束されている。しかし実験終了目前、239人の被験者たちがなぜか地上に出たくないと抵抗し始めた――。『百年法』の著者が描く、緊迫のエンターテインメント長篇!
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Posted by ブクログ
面白かった!
2日で一気に読み切った。
特に一章の地下シェルター実験、集団心理、宗教。どうなるのかどきどきしながら、読み進めた。
二章で時間が進んだことに驚いた。少年は新しい神様にでも祭り上げられるのかとはらはらしたが、まさか死んでしまうとは。幸せになってほしかった。でもリアリティはあった。医療技術やAIの進歩、特にマイメンターの設定が細かく、面白かった。考えさせられる部分もあり、よかった。
三章で、あーこう収束するんかーとなった。最後は念で戦うというのが可笑しかったが、双方のトップが信じていないところが、実際そんなもんかも、と思った。
Posted by ブクログ
序盤。構成の妙。
よくあるパターンとはいえ、ワクドキ製造型の視点じゅんばんこスタイルは大好物です。
最大のナゾ「ルキ」の存在をうまく使った語りの視点変換。「ルキ」を一人称。それ以外を三人称一元視点にすることで不気味さや読めなさが香ばしく沸き立つ。ムフムフしてしまう。
「地上の世界は〈空〉の気まぐれに翻弄され続けた。」
確かに。〈空〉って怖いんだなと再認識。
海の怖さは地震大国の住人として意識せずにはいられないけれど、空、大気で起こる自然現象を論理的かつ平らに列挙されると、至極正当な恐怖だった。
「自然の脅威」なんて十把一絡げで便利な言葉を無感覚に使いすぎて鈍麻してるけど、間違いなく怖い。
ただ、やはり地上で生まれ死んでいく者としては、恩恵と畏れに抱かれるこの世界こそが人間の舞台だと思っちゃうんですよね。
まあ、年中全力で紫外線から逃げているわたしはヘルメスに潜るべきかもしれないですが。
しかしルキの早期退場で、推進力の屋台骨がボッキリ。
なんだろうなー。
設定最高山田宗樹。
安定の読みやすさ山田宗樹。
好きだからハードルが上がってるのも否めない。が。
今回、リアリティとファンタジーのバランスがギクシャクしてるというか。
いや、違うな。決して現実味があるわけじゃないけど、振り切れ感が足りないというか。そんだけ振りかぶったんだから、全力で振り下ろしてくれ。的な。
テーマとしては色々詰め込まれている気もするし、「もしもこんな未来がほんとに来たら」の妄想が捗るのはやっぱりさすがの山田宗樹。
しかし読後のこの余韻というか、あらゆるポイントに対する余地というかは、この話用のものじゃない。モンヤリとした、じゃない感。
なんか悔しい。
でも最後のオチは、映画のエンドロール後に出てくるエピソードの匂いがして嫌いじゃない。