【感想・ネタバレ】推し、燃ゆのレビュー

あらすじ

推しが燃えた。ファンを殴ったらしい――。第164回芥川賞受賞、世代も国境も超えた大ベストセラー、待望の文庫化! 解説=金原ひとみ

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Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった。あかりさん、ダメ人間のようだけど推しを推すことにかけては極みまでたどり着いた感がある。こういう子ってホストにはまっちゃったりしないかとかいらない心配したけど、最後の綿棒でちょっと安心した。這いつくばってでも少しずつ何かを拾っていってほしい。
作者さんのあとがきがめちゃめちゃ作品の深いとこまで語っていて純文すごいと思ったりした。文章も鮮やかで読み応えありました。

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2025年11月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

薄くて文字が大きくて行間の広い本なのに、読むのに時間がかかる。
作者は、見たものを丸ごと記憶する力を持っているのか、主人公が目にする世界のことごとくが、こと細かくて、しかも多分正確だ。
デビュー作『かか』では、その特異な文体ゆえあまり気にならなかった、選択される語彙の的確さ。
その文章の持つ圧倒的な力に気圧されて、読むのに時間がかかる。

読み進めるとまた、その圧倒的なまでの自己肯定感の低さというか、生きることに対する不器用さに圧倒される。
生きにくい生きにくい生きにくい。
声にならない悲鳴のような思いの強さに、デビュー当時の金原ひとみを思い出す。

推しを思う気持ちは、理解できる。
ファンの数だけ推しへの思いは違うのかもしれないけれど、主人公の「あたしは触れ合いたいとは思わなかった。現場も行くけどどちらかといえば有象無象のファンでありたい」に、私はひどく共感した。

多分発達障害であろう主人公は、何をやってもうまくできない。
どれだけそのことを責められても、出来ないものはできない。
けれども推しの言葉を分析し、解析し、ブログに発信することで、推しは彼女の背骨となる。

そういうありかたのすくい取り方が、大変うまいのは言うまでもないけれど、言葉のチョイスと文章の精度が素晴らしいと思う。
『かか』の文体はもちろん彼女の常とするものではないけれど、この作品の文体もまた、彼女の常の文体ではないのだという。
本来は三作目である『くるまの娘』の文体だと作者が言うので、これも読んでみなければなるまい。

解説が金原ひとみだったのも、むべなるかな、というところ。

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2025年09月10日

ネタバレ

アイドルも、おたくも必読な本

推しが存在したことも燃えたこともある身からすると、主人公の思いも行動もリアルで心抉れました。 推し活とは推しに自分を重ね託すことで、どうしようもない自分の生活が救われ、承認欲求が満たされる行為です。誰かのために生きるという観点からすると、子供や親や恋人のために仕事・生活を頑張ることと同義です。主人公の行き過ぎた推しへの想いや熱度を私は愛しいと感じました。
そして、自分の全てをかけ生きる糧としたファンがいたことが上野真幸にも伝わっていればいいとも思ってしまいました。
誰かを推したこと、推されたことがある全ての人に読んでほしい作品です。
生きていく意味を失ったあかりが次の生きる糧を見つけられることを願わずにはいられないです。

#切ない

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2023年09月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「推し」がいるという経験をした人には、いろいろ共感できるところも多いな、と思うけど、基本的には家族との関係、つまりは自分の土台が危うい若い女性のお話。
自分の感覚を文章化できるほどに頭がいいのに、他人を説得する能力が著しく低い。
年寄りである私たちからみると、最近の若い作家さんの作品の傾向はこんな感じが多いな、と思うのだが、私たちももしかしたら、かつてはこうだったのかもしれない。
でももっと鈍感で、だからこそ傷の治りも早かったようにも思う。
大人も今よりずっとずっと物分かりが悪かった。
若者を取り巻く環境、ありていに言えば、「時代」が変わったのだな、と思わせる一冊であった。

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2025年09月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

アイドルを推している主人公あかりの話。誰でも生きる糧はあると思うが、今の自分はあかりくらいのめり込むものがないから、一線引いたところから読めた。だからこそ息苦しさを感じた。傾倒すればする程、失った時に辛いけど、それが生きがいであり、人生の支えになっていて、道に逸れると復帰することが難しい状況も伝わってきて、文章自体は軽いはずなのに、重たさを感じる作品だった。解説で、コロナ禍で『推し』を持つ人が増えたとあったけど、多くの人が自由な時間と1人の時間が増え、孤独を埋められるものを求める人が増えたように思う。

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2025年09月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

コンビニ人間に通ずるものがあった。双方ともにポジティブな結末に期待したが、現実的な結末でそれはそれで納得。

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2025年10月10日

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