【感想・ネタバレ】ホテル・カイザリン 電子再編集版のレビュー

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Posted by ブクログ

短編集。1話が短いからとても読みやすかったし、面白かった。ミステリー、イヤミス、人が怖い、自分探しの旅で前向きになる、など色々な話があり飽きない。

各話の主人公は問題を抱えている。その問題は読み進めてくと徐々に分かってくるのだけど、これが作家さん上手だなと思った。小出しにしてくるから、この人に何があったの?と気になってしょうがない。結果、どんどんページを捲りあっという間に読めた。

私のお気に入りは、『甘い生活』と『未事故物件』。

『甘い生活』は主人公が最低人間で、結末はスカッとするんだけど、モヤモヤも残る。イヤミスかな?

『未事故物件』は一番好き。ホラーと思いきやミステリー。最後の2行、
「大丈夫。怖いのは事故物件じゃないから」
恐ろしいのは、これから事故が起こる物件なのだ。
が印象に残ったし、怖い。

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2024年03月03日

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 短編集。どれもこれも、ひきこまれてしまう内容だった。甘い生活、ホテルカイザリン、孤独の谷が好みだった。

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2024年01月06日

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ネタバレ

8作の短編集。30〜50ページくらいの短編なのでスキマ時間にサクサク読んでたら、半日で読み終えてしまった。

ちょっとゾッとする『降霊会』や『未事故物件』や勇気をもらえる『金色の風』『迷宮の松露』、ちょっと怖い『甘い生活』、『ホテル・カイザリン』『孤独の谷』、なんだか切ない『老いた犬のように』

霊会のラストでグッと掴まれて読み進めた。短編それぞれが少しゾッとするようなものだったり、ほっこりした気持ちになれたりして、一冊なのに色々な気持ちが味わえた。

結構外国の描写も出てくるので、海外旅行に行きたくなってしまった。

以下少しネタバレ。


降霊会は、自身が飲んでいた薬を妹に飲ませていた。それにより妹が死んでしまったのではないかと問い詰める幼馴染。しかし、妹の死因はその事実を幼馴染から知ったための自殺だった。まさかのラストの展開にびっくり。

金色の風はパリを走る様子が浮かんでくる爽やかな作品だった。挫折しても、努力した分は決して無駄ではなくて、その努力も芸術(バレエ)の一部。素敵な考えだと思った。

迷宮の松露は素敵な祖母に憧れた主人公。ただ、祖母の良いところしか見てなかったのではないか?完璧な姿だけ見て憧れていたとしたら、かなりハードルが高い。誰しも完璧ではないし、完璧じゃないからこそ人間なのかなー。松露、食べてみたい。

他人のものが欲しくなっちゃう主人公の甘い生活。タイトルは可愛らしいけど、ラストは復讐。
友達の高級そうなペンが欲しくなって、無くしたように偽装して手に入れた。そのペンに無くしたことによって友達の人生は大きく変わってしまった。
うん、他人のものを奪っちゃダメだね。

未事故物件は、その名の通り。未だ事故が起こっていない物件(でもこれから起こる)。ホラーかと思ったけど幽霊とかではなく、結局怖いのは人間なんだよなー。

ホテルカイザリンは、なんだか不思議な関係の女性二人の話。家庭に疲れ、夫が出張の時だけホテルカイザリンに泊まりに行く主人公。そこでよく会う女性と仲良くなり、毎月一度の宿泊を楽しみにしている。主人公は裕福な社長令嬢だったが、偽装問題により会社は転落。そこを救ったのが後の夫だった。そして、夫と結婚した今、夫の会社で食中毒騒ぎが発生。ホテルで会う女性にまた会いたい、けれど失望されたくないという思いから、それなら会えない状況にしてしまえばいいとホテルに火を放つ。
その一方で相手の女性は保険金目当てで夫を殺害していたことが新聞で報道されていた。


ある田舎に住む波良原という一族に伝わる風土病。誰かが謎の死を遂げると、村のものはみんなでで行き、家族がバラバラになるという。
その原因は言語コミュニケーションだという。そんな馬鹿なという気持ちのまま読み進め、でも本当にそうだとしたら怖いなとも思った。

老いた犬のように。これは切ない。可哀想な人の面倒を見るのが好き、自分より哀れで惨めだと思う人しか愛せない。


どの作品も短編なのに、心に残るものばかりだった。他の作品も読んでみたい作家さんでした。




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2023年11月24日

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物事には表と裏がある。
ぴりりと毒を含んだものから、背中を押してくれるものまで。
近藤史恵さんの魅力のつまった一冊。

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2023年11月13日

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ちょっとだけゾッとする話しと、ちょっと勇気を貰えるかもってお話しが交互にやってくる感じが、読んでいて妙な感覚に陥った。

ドルチェビータ……甘い生活って言うのか……おや、昔そんな名前の香水使ってたよね?と思い出して、また使いたくなった。

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2023年11月12日

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巻頭とラストの語り手が男性なのはわざとか?カイザリンは女性だけど。
「金色の風」の姉妹のバレエダンサー『テレプシコーラ』のヒロイン姉妹を思い出した。お母さんがバレエ教室主催なのも同じだし。
デーツのお菓子って近藤さんの他の作品にも出ていたよね。近藤さんの好きな味なんだな。
「孤独の谷」はちょっと三津田信三っぽい。最近読んだからどう思ったのかな。
自分のもの何でも欲しがる妹がいたら、しかもその妹が美人だったら、嫌だろうな。

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2024年04月29日

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短編集。アミの会などで既読が多かったが面白く読めた。ただ、1話目のインパクトが強かったので、2話目になかなか入り込めず時間がかかってしまった。

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2024年02月20日

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 人はみな、多かれ少なかれ満たされない思いを抱えて生きている。ただ、その思いとどんな向き合い方を選択するかで人生は違ってくる。
 そんな人たちの「選択」を描く8つの物語。
         ◇
 今日は学園祭当日だ。僕は久しぶりに校門を潜った。
 高校2年で実行委員を務める僕は学園祭の中心メンバーとして運営に当たるはずだったが、家庭の事情で昨日までの1週間を欠席したためほとんど手伝えなかった。

 エントランスに来た僕は、壁に貼られたポスターに気がついた。ポスターには「降霊会、行います」と書かれていて、死んだペットの降霊をすると小さな字で付け加えられている。責任者は宮迫砂美となっていた。

 砂美は僕の幼馴染であり、家族同士顔見知りだ。優等生の砂美は教師ウケがよいため、僕が休んでいる間の急な申請にも関わらず、催しは許可されたらしい。
 茶番だとは思うのだけれど、この企画を立てた砂美の意図が気になった僕は降霊会に参加することにした。

 外光が遮断された理科準備室には長方形のテーブルがあり、その周りに椅子が8脚置かれている。
 その1つに座るのがイタコを務めるエレナというゴスロリ風の女子で、僕を含め7人の参加者が席に着くと照明が消された。

 進行役の女生徒が、手にした蝋燭で以て参加者それぞれの前に立てられた蝋燭に火を灯していく。そして最後にエレナの前にある大きめの蝋燭に火を灯すと、進行役の女生徒は最初の降霊希望者を募る呼びかけをした。

 1年生らしい女生徒がおずおず手を挙げる。2ヶ月前に死んだウサギを呼び出してほしいと言う。
 了解したエレナは、全員に隣の生徒と手を繋ぐよう指示した。そして手と手が繋がるのを見届ると、エレナは呪文を唱えはじめ……。 (第1話「降霊会」) 全8話。

     * * * * *

 ミステリーあり、サスペンスあり、ホラーあり、ヒューマンドラマありのバラエティ豊かな短編集でした。

 第1話「降霊会」(28㌻)は見事などんでん返しミステリーで、攻守ところを変えていく終盤の心理戦がなんともおもしろい。でも、これはほんの序ノ口です。

 個人的にはヒューマンドラマ仕立ての話が気に入りました。
 特に、8作中最も紙数を費やした第2話「金色の風」(56㌻)が希望と再生を感じさせる作りで好みに合っていました。

 もちろん、第3話「迷宮の松露」(24㌻)もよかったですし、表題作の第6話「ホテル・カイザリン」(32㌻)も意外な結末まで用意されていておもしろかった。

 でも、2番目のお気に入りとしては、第7話「孤独の谷」(28㌻)を挙げたいと思います。
 「孤独の谷」はオカルト色の強いホラーで、超短編なのを感じさせないほど読ませます。

 あとは、軽いサスペンスホラーの第4話「甘い生活」(28㌻)と、第5話「未事故物件」(24㌻)もうまくまとめられていたと思います。

 各話はいろいろなジャンルに味つけされているのですが、満たされない思いを抱える主要人物が岐路に立ったとき、何を選択したかでどんな人生を迎えることになるのかというテーマに基づいて書かれているので、統一感のある作品集になっています。

 近藤史恵さんという作家のオールマイティぶりがわかる作品でもあるので、近藤さんの作品を初めて読む方にはお勧めです。

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2024年02月03日

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特にまとまりはない短編集だが「私の作風は様々ですよ」と自己紹介しているようなバリエーションに富んだ内容だった。『降霊会』→ぎぇっ!陰湿ぅ!『金色の風』→海外生活の空気感が伝わる。『迷宮の松露』→近藤さん得意のお菓子ウンチク。『甘い生活』→因果応報的ざまーみろ感。『未事故物件』→これはリアルに怖いかも。『ホテル・カイザリン』→隠れ家ホテルでの愛憎劇。『孤独の谷』→このホラー感、長編で読みたい。『老いた犬のように』→男性の微妙な下心的心情が秀逸。総括:お気に入りは『孤独の谷』『老いた犬のように』

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2024年01月29日

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クセのある短編集という印象。
人間の狂気的な部分が描かれたり、逆に優しい部分が描かれたりしている。
作者の作品は初めて読んだが、登場人物の一人一人に細かな欠点が見えて親近感が抱けた。物語には狂気的なものもあるが、人間だからそういうこともあるかぁと納得は出来るし、色々と反面教師にもできる部分があると思う。
なんとなく道徳の教科書をドロッドロにした感じ?というか…
感想を書くのが難しいけど、面白かった。

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2024年01月18日

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8編収録されている作品集。冒頭の『降霊会』が素晴らしい。学園祭の実行委員で語り手である南田。子供騙しのような降霊会が展開されていく中で南田自身のことと繋がっていく。その展開の不穏さや、どんでん返しとそれだけでは終わらないラストの衝撃まで一気読みで本当にすごい。他の作品も面白いけれど『降霊会』がひとつ抜けている印象。

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2023年12月30日

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「サクリファイス」シリーズから読み始めて少し間は空いたが「ビストロ・パ・マル」シリーズでまた最近読み始めた著者であるが、最近の作は良くできている、本作も短編集ではあるが、どの作品もウィットに富んでなかなかの出来だった、そんなにベストセラー作家ではなさそうだが、気がついたら読みたいと思う作家となった。

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2023年12月15日

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 近藤史恵さんの作品としては、今まで読んだ作品とはまた一風違った作品だと感じました(って、すごく読んでいるみたいだけれど、そうでもないけれど(^-^;))。だけど、それがまた、いい感じで結構私としては好きな作風、表題作を含めた8作品の短編が収められています。

・降霊会:学園祭での降霊会、えっ?そうなっちゃうの??の読後を得られます。
・金色の風:フランスに語学留学した主人公が、前向きな気持ちを持てるまでのお話。
・迷宮の松露:モロッコへの一人旅、そこで食べた大好きな祖母との思い出のお菓子、松露…。
・甘い生活:他人の物は自分の物…自分の物にしたいという気持ちを押さえられない女性のお話。
・未事故物件:早朝からの洗濯機の音に悩まされる女性、管理会社はその部屋には誰も住んでいないと…。
・ホテル・カイザナリン:主人公の女性が放火の罪を犯した理由にまつわるお話。
・孤独の谷:出身地の風土病なのか、親戚はみな遠くの地に…その訳を探ることになるのだが…。
・老いた犬のように:ある男性作家のもと長年連れ添った妻が去る…。彼女のことを尊敬していたのに…。

 個人的に好きなのは、「降霊会」と「甘い生活」、「ホテル・カイザナリン」で、読後ザワザワします。ちょっと思ってもなかった怖い展開になるので、意表を突かれます!で、好きなのは「金色の風」、主人公の女性を応援したくなります。読後の余韻を引きずれる作品だと、私は感じました。

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2023年11月06日

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やっぱり題名にもなってるホテルカイザリンが面白かったかな。
短編だとどうしても物足りなさというか、消化不良感が否めない。

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2024年04月22日

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ホテル・カイザリンの物語かと思っていたけど、「ホテル・カイザリン」のお話と他7つ、全く毛色の違った全8篇の短編集。
どのお話も読みやすく、展開が気になり、ついつい読み進めてしまう面白さがあった。
好きだったお話は「金色の風」と「迷宮の松露」で、海外の雰囲気をイメージしながら、前向きな気持ちで読み終われる感じが好きだった。
他のお話も面白くはあったけど、暗い気持ちになるお話で、個人的にはあまり好みではなかった。

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2024年03月25日

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読んだことのある話もあったが、全体的にバラエティに富んでいて面白かった。
「甘い生活」に感情を揺さぶられた。

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2024年03月18日

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纏まりのなさに逆に纏まり感じる。
淡々とつづられる物語。
ヒヤッとしたり、ホッコリしたり、それぞれテイストが違う。
もっと知りたい、続きを読みたいというところで終わる、絶妙の匙加減。

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2024年03月15日

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ホテルを舞台とした短編集と思ったら、テーマもジャンルもバラバラなものでした。
ほっこりするものもありますが、ホラーっぽかったり、イヤミスっぽいミステリが多かったかな。

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2024年02月27日

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アミの会(仮)の本で読んだ短編が多かったけど、それぞれ全く色の違う八編はとても楽しめた。行ったことのないモロッコの迷宮のような街並みを旅している気分になれたり、パリの石畳を思い出したり、一人でちょっといいホテルに泊まりに行きたくなったり。非日常を感じられる本。

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2024年02月19日

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同じようなタイトルの作品を読んでいたので何も考えずミステリーだと決めつけてしまっていた…。8つのストーリーがあるのだが、一貫性がなく急に振り回されて心臓バクバクします。最後の作品が物足りなかったので評価は低め。

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2024年02月16日

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掌編、というには長すぎるのだろうけど。
誰かの人生のほんの一部分を
掌に乗せて覗き見させてもらっている様な印象。
怖かったり、ホッとさせられたり、
どっちに転ぶか分からないのが面白い。

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2024年02月13日

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8篇を収録した短篇集。イヤミスもあれば純文学っぽい作品もあり、ジャンルにこだわらず幅広い作品が並ぶ。
どんな作品を書いても一定の水準にある近藤さんのうまさは認めるが、初出一覧を見ると2010年から2023年まで及んでおり、他のアンソロジーのために書かれた作品が多いようだ。そのせいかまとまりのなさを感じてしまった。

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2024年02月09日

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短編集。交霊会では自分が善意でした事って本当に正しいのか?と不安になり、ホテルカイザリンでは、自分ではどうしようもない不運な人生から逃れる事はできないのか?と思ったり。それぞれ物語の最後に考えさせられる。

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2024年02月04日

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こわっという話とスッキリ、ホッとする話の混ざった短編集。
共感できるもののできないものがあったけれど、人の心の内は、そんなものだと思う。
自分とは違う感性がたくさんあるんだ。

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2024年01月16日

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最初の「降霊会」を読んでミステリ系短編かと思ったけどそうでもないみたい。
「金色の風」が読み心地良い。

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2023年12月01日

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人間は心に秘めた思いがたくさんある。どの短編小説が良いとは言い難い。それぞれ良かったと思う。楽しく読ませていただいた。

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2023年11月29日

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いろいろなテイストの短編集。
モヤモヤするのもあり、ミステリー仕立てもあり。
旅と食べ物のテーマもあり。
読みやすいので息抜きに読むとちょうど良かった。

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2023年11月22日

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近藤史恵さんも好きな作家さんのひとり。
この本は近藤史恵さんの本だからという理由で
何の情報もないまま手にしました。

タイトルにもなっている「ホテル・カイザリン」を含む8編の短編集。
うん、近藤史恵さんだ!と思わせてくれる
ライトミステリー。
時々”ヘビー”も混ざっていましたが…

中に「あれ?これ読んだことがあるかも」と思う作品があって
ちょっと不思議に思っていたら
アミの会(仮)のアンソロジー『迷う』と『11の秘密』に収録されている作品でした。

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2023年11月19日

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アップダウンの少なめな短編集なので、ガッツリ読むというよりもスキマ時間にちょうどいい。心身疲れているときとか、きつい描写を避けたいときにも向いているかも。逆に元気なときには物足りなさを感じる気が。

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2023年11月15日

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8作からなる短編集。どれもゾワッとさせられたり希望を貰ったりと楽しめた。それぞれ好きな作品は分かれると思うが、私は未事故物件がめちゃ怖かった。コレ読んだら1人暮らしが出来ないのでは、と思うほど。

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2023年11月06日

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