【感想・ネタバレ】世界最高峰の経済学教室のレビュー

あらすじ

ベッカー、セイラー、アリエリー、ミルグロム、ロス、リスト、ヘックマン、バナジー、アセモグル、スティグリッツ、ロドリック、ラジャン――。ノーベル賞受賞経済学者からその有力候補者まで。『日経ビジネス』経済学担当記者が世界トップクラスの著名経済学者にインタビュー、あわせて研究内容・背景を解説。現代経済の課題、その解決を目指す経済学の最前線の動向をビビッドに伝えます。

人的資本論、行動経済学、組織の経済学、マーケット・デザイン、教育、開発経済学、グローバル経済、政治と経済との関わり、イノベーション、グローバリゼーションなど、多様な経済分野について、それぞれの分野を代表する経済学者が、現代社会の直面する問題に経済学はどう向き合っているのか、解決に向けてどのようなヒントが得られるのか、研究の動機、成果、社会における役割、政策への提言などを率直に、自在に、語ります。

現代を代表する経済学者たちの率直で平易な言葉からは、経済学という人間行動の探究が、時代を超えて社会を変える力を持つことが実感できます。また、インタビューとともに、各経済学者の研究のバックグランド、個性などを十分に紹介。経済学のパワーを知り、経済学をより身近に感じられる教養書です。

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Posted by ブクログ

【書名】
世界最高峰の経済学教室
広野彩子

【目的】
最前線の学者がどんな理論を展開しているのか知るべく、総覧系の本が読みたくなった。
読みたくなったきっかけはファスト&スローを読んだことから、なんとなく経済学に興味をもったため。
(行動経済学だけど)

結論、興味ありそうな学者はみつかったのでOK。だが、構造的に理論が説明される本ではなく、個人的にはなじみのない学者の紹介とインタビュー本だったことから、苦行だった。。
どの学者がどんなことを言ってるか理解している人が読むと、楽しく読めるかもしれない。

【印象に残ったポイント】
・人的資本、理論は60年代にできたが日本で一般的な概念になったのはここ数年と感じる。
→事業におけるタイムマシン経営と同様に、海外のものをうまく輸入するというのは大変。だが、うまくやれると事業機会になりそう。
・必ずしも、最前線の学者たちのキャリアは研究一本ではない。
→将来的に、いまのジョブの経験値やモノの見方が役立つときがくるのかもしれない。

【具体的に生活や仕事にどう活かすか】
・役に立たないけど、どの学者の本を読んでみたいか決まった。→リチャードセイラー。


【要点】
ノーベル経済学賞受賞者を含む世界的な経済学者12名へのインタビューを通じて、現代経済学の最前線を紹介する一冊です。​各章では、各経済学者の研究内容やその背景、現代社会が直面する課題とその解決策についての洞察がまとめられている。

高齢化社会の「人的資本理論」 - ゲイリー・ベッカー 教育や訓練を通じて人材の価値を高める「人的資本」の概念を提唱し、高齢化社会における教育投資の重要性を強調している。

「にんげんだもの」の行動経済学 - リチャード・H・セイラー 人間の非合理的な行動を経済学に取り入れ、政策やビジネスにおける「ナッジ」の概念を紹介している。

「利他的な行動」の経済学 - ダン・アリエリー 人々がどのように意思決定を行うか、特に利他的行動や道徳的判断に焦点を当てている。

ビジネスに役立つ経済学 - ポール・ミルグロム オークション理論や市場デザインの研究を通じて、ビジネス戦略や政策形成への応用可能性を探求している。

「適材適所」を可能にするマーケットデザイン - アルビン・E・ロス 市場設計の理論と実践により、ドナー移植や学校選択などの社会的課題の解決に貢献している。

アイデアを「スケール」する経済学 - ジョン・A・リスト フィールド実験を通じて、アイデアや政策の大規模展開に関する知見を提供している。

5歳までのしつけや環境が、「生き抜く力」をつくる - ジェームズ・J・ヘックマン 幼児期の教育や環境が将来の経済的成果に与える影響を研究し、早期教育の重要性を示している。

成長戦略にはエビデンスがない - アビジット・バナジー 開発経済学の視点から、貧困削減のための政策や介入の効果を実証的に分析している。

政治経済学をデータでアップデート - ダロン・アセモグル 政治制度と経済成長の関係をデータ分析により解明し、制度の重要性を強調している。

高齢化から付加価値生み出せ - ジョセフ・E・スティグリッツ 高齢化社会における経済政策や所得分配の課題について論じている。

新しいグローバル化、新しい産業政策 - ダニ・ロドリック グローバリゼーションの新たな形態と、それに対応する産業政策の必要性を提言している。

グローバリゼーションは死なない - ラグラム・ラジャン グローバリゼーションの持続性と、それがもたらす経済的影響について分析している。


本書を通じて、現代社会が直面する多様な経済的課題—高齢化、教育、貧困、グローバリゼーションなど—に対し、経済学がどのようにアプローチし、解決策を提供できるかが探求されている。​各経済学者の研究は、個人の行動や社会制度が経済全体に与える影響を明らかにし、より良い社会の構築に向けた示唆を与えている。​

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2025年04月01日

Posted by ブクログ

経済理論の解説というよりは、ダイジェスト的に経済学者と功績を紹介するのが本書。興味を持った内容を別著で深掘りしたり、自ら理解したつもりの内容の点検に向いている。極端に言えば、用語集とも言える。

ー プロスペクト理論。利益を得る場面で、それを確実に手に入れることを優先し、損失が出そうな場面では、最大限の回避を優先する行動心理

ー 選択アーキテクト。望ましい意思決定を促す方向に人をナッジするようなデザインや仕組みを作るもののこと。ナッジする仕組みが選択アーキテクチャー。

ー 初期設定を加入にし、加入しない場合、選ぶ選択をさせるオフトアウト。その逆のオプトイン

ー 全員が問題だとわかっているのに、対処せず受け入れてしまっているような状況。これを多元的無知。

ー ナッジを良くない目的に使うスラッジ

ゲイリーベッカーの言葉が気になった。
ー まずリーダーは他人から面と向かって批判を受けることに慣れるべきだ。相手が年下だったり、地位が下だったりしても、対等に意見を戦わせる。そこから箱の外で考えることを学べる。
この批判を受け入れる姿勢とは、シカゴ大学のポリシーでもある。

メンタルの強さというより批判に対する心構えの事が、この姿勢を身に付ける事は重要である。意識していこうと思う。

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2024年04月13日

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