あらすじ
松岡清澄、高校一年生。一歳の頃に父と母が離婚し、祖母と、市役所勤めの母と、結婚を控えた姉の水青との四人暮らし。学校で手芸好きをからかわれ、周囲から浮いている清澄は、かわいいものや華やかな場が苦手な姉のため、ウェディングドレスを手作りすると宣言するが(「みなも」)。いつまでも父親になれない夫と離婚し、必死に生きてきたけれど、息子の清澄は扱いづらくなるばかり。そんな時、母が教えてくれた、子育てに大切な「失敗する権利」とは(「愛の泉」)。世の中の〈普通〉を踏み越えていく、清々しい家族小説! 第9回河合隼雄物語賞受賞作品。
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Posted by ブクログ
読後感がやさしくて、やわらかくてガーゼ生地のようだった。なんて気持ちのいい小説なのか。
自分も刺繍をするので、男子高校生が刺繍する話かぁ、と数ページ読んでから暫く放置。
再開したのはしばらく後だったが、単なる学生ものではないのに気づき、一気に読み終わった。
登場人物はみな、誰もにありがちな傷つきをうまく越えられずにもっており、そして少しずつ不器用だ。
それが各話ごとに解されていく。
人生に対して、押し付けられる様々な不自由さ。
それを、1家族とその周辺人物で、入れ代わり立ち代わり綴られていく。
そこには相性の良し悪し、すれちがい、気まずさ、願い、現実にありがちなひっかかる言葉たち。
どこか生々しい傷付きを、どう超えていくか。
最後に姉のドレスとして仕上がっていく美しさを見守る心地良さがある。
ああよかったなぁ、という黒田さんよりもっと遠い第三者(読者)の気持ちで終えていくのが不思議だ。
どこか苦しい気がした時に読んだせいか、少し楽になった。登場人物の大人にそれぞれ愛がある話でもあり、安心して読める点も大きい。
読後、蛇口からでる水の流れが気にかかる余韻がある。
最後に。
実物のドレス見たくなりました。
ガーゼのドレスってどんなの!?清澄の刺繍がみたい〜〜〜!!!!