【感想・ネタバレ】三人書房のレビュー

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Posted by ブクログ 2023年09月30日

若き日の江戸川乱歩を描くミステリ連作短編集
大正、昭和初期の東京の街が慕情を添え、時代に沿った驚く着想点の謎と推理が冴える、お勧めの良作品です
慌ただしい現代を離れ歴史の狭間にたゆたうような雰囲気が素敵です
小学校の図書室で乱歩の作品の数々をそれはそれは読み耽った懐かしい香りを思い出して嬉しく感じま...続きを読むした

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Posted by ブクログ 2024年02月06日

静かな佳品。デビュー前・直後の乱歩による謎の解決とそれらが関係者のその後の活躍に与えたかも知れないささやかな影響。あったかも知れない、と思わせる造りが気持ちよい。

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Posted by ブクログ 2024年04月04日

江戸川乱歩が作家としてデビューする前に二人の弟と古本屋を営んでいた…という事実をふまえて、当時の有名作家や女優が関わる短編集。
フィクションなんだけど、もしかして…と思わせるところが楽しい。

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Posted by ブクログ 2024年02月06日

大正八年東京・本郷区駒込団子坂、平井太郎は弟二人とともに《三人書房》という古書店を開く。二年に満たない、わずかな期間で閉業を余儀なくされたが、店には松井須磨子の遺書らしい手紙をはじめ、奇妙な謎が次々と持ち込まれた──。同時代を生きた、宮沢賢治や宮武外骨、横山大観、高村光太郎たちとの交流と不可解な事件...続きを読むの数々を、若き日の平井太郎が解く。
言わずと知れた江戸川乱歩と彼を取り巻く人たちの物語で、とても楽しく読みました。

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Posted by ブクログ 2023年10月25日

平井太郎、後の江戸川乱歩が二人の弟たちと駒込団子坂に開いた古本屋は「三人書房」
その二階に居候する、乱歩の会社勤め時代の同僚・井上を加えた四人の周辺では、奇妙な事件がいくつも起きた。
古本屋はわずか二年で閉店してしまったが、その後作家としてデビューしたあとも、乱歩の名推理は謎を解き明かしていく。

...続きを読む凄惨な殺人事件などは起こらないけれど、では「日常の謎」かと言われたら、全然日常とは言えない不思議の数々。
同時代の有名人たちも登場し、史実の隙間にお話を作るわけだけれど、証拠の消し方がまた上手い!

『三人書房』
古書の間から松井須磨子の手紙らしきものが見つかる。
島村抱月の他に男がいた?!まさか。
ミステリーの禁じ手ギリギリではありませんか!
ま、乱歩さんの優しさってことで。

『北の詩人からの手紙』
花巻から上京した宮沢賢治と、浮世絵贋作事件について話す。
故郷に帰った賢治から、あの事件のことを考えていたらこんな物語が思い浮かんだと「グスコーブドリの伝記」の構想が送られてくる。

『謎の娘師(むすめし)』
末弟の敏男(としお)は、見世物の怪力美女に夢中。
その頃、土蔵破りが世間を騒がせていた。
乱歩の嗜好もちょっと匂わせの、タネも仕掛けもあるお話。

『秘仏堂幻影』
円泉寺の秘仏を盗みに入った賊が、化け物を見た!と何も盗らずに逃走。
北斎の娘・お栄が、横山大観の師・岡倉天心が守ろうとしたものは?

『光太郎の「首」』
高村光太郎が依頼を受けて製作した頭部の肖像「首」が、立て続けに三作も盗まれ、無惨に破壊された!
乱歩はいたく興味を引かれ、謎解きに挑む。
レトロなおどろ感が出てきた!と思ったら、動機がちょっとユーモラスであった。

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Posted by ブクログ 2023年10月09日

乱歩先生ファンの私としては、乱歩先生が古本屋を営んでいた時代を舞台にした作品ということで興味津々で読んだ。

実際のところ、乱歩先生の魅力全開というよりは、様々な有名人たちの登場と彼らにまつわる謎解きの話だったのだが、後に江戸川乱歩として多数の探偵小説を書くことになる未来を思わせるような内容だったの...続きを読むで楽しく読めた。

「三人書房」
表題作は江戸川乱歩(当時は平井太郎)が二人の弟と共に営んでいた古書店の店名。
そこに持ち込まれたのは自殺した女優・松井須磨子の未公開の遺書。

「北の詩人からの手紙」
浮世絵研究の第一人者・神崎俊が起こした浮世絵の贋作事件の真相とは。
宮沢賢治も登場

「謎の娘師」
太郎の弟・敏男が夢中になっている力持ちの芸を見せる美女。一方で東京では『忍術泥棒』とも呼ばれる土蔵破りが横行している。美女が『忍術泥棒』ではと疑われる中、力持ちの芸の仕掛けがバレるのだが…。

「秘仏堂幻影」
個人的にはこの話が一番面白かった。
北斎の娘・お栄の死は何故謎のままなのか。
北斎と関係があるという円泉寺の秘仏堂に侵入した盗賊は何故何も盗らずに逃げ出したのか。彼は何を見て『化け物』だと言ったのか。
以前何冊か読んだ、北斎やお栄の物語を思い出してみると、とんでもない真相のようでどこかそうとも言い切れない感じもあって、楽しめた。
宮武外骨、岡倉天心、横山大観が登場。

「光太郎の〈首〉」
高村光太郎が制作したブロンズ像の〈首〉が三体も盗まれ、壊された事件が起こる。
犯人は何故首を盗んだのか。
盗まれた首の制作を依頼した一人、藤堂は何故引きこもってしまったのか。
この作品では既に江戸川乱歩としてデビューしている。そして最後は乱歩ではなく光太郎と智恵子がさらなる謎を解くという趣向になっている。

デビュー作らしくなかなかの力の入れようだったが、楽しく読めた。

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Posted by ブクログ 2023年09月24日

大正から昭和初期、江戸川乱歩や当時活躍した有名人を中心に綴られるミステリー作品集 #三人書房

■きっと読みたくなるレビュー
約100年前、江戸川乱歩の三人書房を営んでいた時代を背景に、当時関連した人物たちが日常の謎に挑むミステリー短編集です。

今までいろんなミステリーを読んできていますが、実は乱...続きを読む歩についてはあまり理解しておらず、作品自体も代表作しか読めていませんでした。また本作ではもちろんフィクションではありますが、実在の文豪や有名人もたくさん登場するのです。少しだけ歴史や文学史について、理解が深まった気がしますね。

また本作は大正時代の風景や社会情勢が目の前に広がる。まるで身近に起こっているようなんです。ミステリーとしても、様々な日常の謎が巧妙に絡み合って、実際に起こったような物語でした。

〇三人書房
乱歩デビュー前、三人書房、推理小説が好きな友人たちの物語。いつの時代の若き男と女が思い迷うテーマ、ほんわかした雰囲気が好き。

〇北の詩人からの手紙
浮世絵の贋作まつわる物語。当時のジャーナリストである宮武外骨や宮沢賢治にまつわるエピソード。なんとなく現代でも同じようなことがありそうで…

〇謎の娘師(むすめし)
浅草の舞台役者、淡雪あやめを巡った物語。当時の人気女優、松井須磨子の影響がわかる一節。本編は特に街並みや人物が生き生きと描かれているのがイイ!

〇秘仏堂幻影
浅草寺の秘仏に関する不可思議な物語。北斎や大観が登場する。芸術家たちの魂が垣間見れる作品。

〇光太郎の〈首〉
像の盗難事件に関する物語、高村幸太郎に関するエピソード。胸がぽっと熱くなる真相とラスト、優しい気持ちになれるお話でした。

■ぜっさん推しポイント
乱歩の人生や作品群、実在の人物たちを絡めてストーリーが綴られていきます。作者の文学や芸術に対する愛情がありありと伝わってくる作品でしたね~

本は大好きなんですが、あらためて歴史や文学について勉強不足ということがわかりましたね。先生は本作がデビュー作とのことですが、これからも厚みのある作品を期待しています。

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