あらすじ
昭和の政治家として「角福戦争」の呼び名でしか印象に残っていない総理・福田赳夫。福田は日本の政治家として、総理としてそれ程強い印象を残していない。だが、総理引退後、彼は世界の将来を見越して通称
「OBサミット」を立ち上げる。それも思想としては真逆と言っても良い西ドイツの首相を務めたヘルムート・シュミットとともに。本来なら思想的には相いれない二人だったが、環境問題から戦争、核問題、貧困などあらゆる分野で自国の利益を超越した考えで一点において強い絆を結んだ二人が立ち上がり、進めた国際的な政策提案組織だ。その後、多くの元首相や大統領クラスの参加を実現させ、まさに現在問題になっている諸問題に対して提言し続けた。通訳として、事務局スタッフとしてOBサミットをつぶさに見てきた著者が、福田赳夫とヘルムート・シュミットを中心に、決して表舞台に華々しく取り上げられることのなかった政策提言組織の裏側を語った一冊。日本の、国際政治の歴史の一端が垣間見れる貴重な書籍です。
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Posted by ブクログ
これを読んで福田赳夫のイメージがガラリと変わった人は多いはず。
OBサミットと言う名前だけは以前から知っていたが、ここまで機知に富んだ声明を打ち出し、世界の行く末について本気で考える会議体であることは全く知らなかった。そして福田赳夫がOBサミットに対してここまでの熱い情熱を注いでいたことも。
シュミットと並び真のエリートとはこう言うものなのだろうなと感心させられっぱなしだった。これだけの事を成し遂げられるのであれば「角福戦争」の敗北など些事に過ぎないだろう。
福田の小気味良くもウィットに富んだ数々の発言もこの本にのめり込ませてくれる。今年読んだ中でも1番面白かった。