【感想・ネタバレ】キャラ絵で学ぶ! 日本の世界遺産図鑑のレビュー

あらすじ

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日本には、現在25件の世界遺産が存在しますが、みなさんはどんな世界遺産があるか知っていますか? 小学生に大人気のイラストレーター・いとうみつる先生が描いた可愛いキャラ絵で、日本にある世界遺産すべてについてわかり易く、かつ詳細に解説。子どものみならず大人でも、楽しみながら日本の地理や歴史について学び直しできる1冊です。「日本一生徒数の多い社会科講師」として有名な伊藤賀一先生に監修に入っていただき、お子さんの教材としても利用できる上質な内容を担保しています。シリーズ13万部を誇る人気の「キャラ絵で学ぶ!図鑑シリーズ」の新刊です。
※小4以上学習の漢字には、ページ初出にルビあり。

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Posted by ブクログ

世界遺産という「点」が、日本の歩んできた「線」へと繋がる瞬間
これまで世界遺産に対して抱いていたイメージは、正直に言えば「有名な観光地」という程度の、漠然とした知識の集合体に過ぎなかった。ユネスコが認定した価値ある場所、という記号的な理解で止まっていたのだ。しかし、本書『キャラ絵で学ぶ!日本の世界遺産図鑑』を手に取り、そこに描かれた歴史の深層に触れたとき、私の認識は根本から揺さぶられた。世界遺産とは単なる名所のリストではなく、その土地に生きた人々が自然とどう対話し、いかにして文明を繋いできたかという、生々しい「記憶の集積」であることを教えられたからだ。

特に衝撃を受けたのは、世界遺産として認められるまでのプロセスの厳格さと、そこに込められた情熱である。文化遺産、自然遺産、そしてその両方の価値を併せ持つ複合遺産という区分があることは知っていたが、一つの場所が認定されるまでに膨大な調査と時間を要し、多角的な視点からその価値が証明されている事実は、認識を新たにするに十分だった。例えば、知床の流氷が単なる冬の風物詩ではなく、流氷に付着したプランクトンが魚を養い、その魚が森の動物たちの糧となるという、完璧な生命のサイクルを支える起点の役割を果たしているという解説には、自然の造形の妙に言葉を失った。

また、北海道や北東北に点在する縄文遺跡群が、一万年以上もの長きにわたって定住文化を築いていた事実は、歴史の重みを肌で感じさせるものだった。それほど長い間、人間が同じ場所で自然の恵みを享受し続けられたのは、搾取ではなく共生という形が成立していたからに他ならない。現代を生きる私たちが直面している環境問題や持続可能性といった課題への答えが、すでにこの古代の遺跡群の中に眠っているような気がしてならないのだ。

私自身の個人的な体験とも、本書は深く共鳴した。
「男旅」として日本全土、47都道府県を巡った私は、多くの世界遺産を訪れていたはずだった。しかし、当時はその背景にある物語を知らず、ただ「有名な景色」を眺めて満足していたに過ぎなかった。本書を通じて、知床の海や縄文の土を踏みしめたあの時の感触を思い返すと、バラバラだった記憶のピースが、歴史という強固な糊で一つに繋がっていくような感覚を覚える。知識を得た上で再びあの場所へ立てば、見える景色は以前とは全く異なるものになるだろう。
さらに、形のない文化を未来へ繋ぐ「無形文化遺産」という概念にも強く惹かれた。形ある建造物はいつか朽ちるかもしれないが、人々の魂に刻まれた技術や精神は、受け継がれ続ける限り永遠だ。世界遺産を学ぶことは、過去を懐かしむことではなく、私たちが未来に対して何を遺すべきかを問い直す作業そのものである。
読後、私の心には一つの問いが残った。「自分はこの土地の歴史を、どれだけ自分事として語れるだろうか」ということだ。ただ知識として消費するのではなく、自分の住む地域や訪れる土地が持つ独自の物語に耳を澄ませること。本書は、そのための確かな視座を私に与えてくれた。世界遺産を学ぶことは、日本という国の輪郭をなぞり、そこに流れる血の温かさを知る旅であったと言える。
学び直すことで世界はより鮮やかに、より深く繋がり、昨日まで何気なく見ていた風景が、人類が守り抜いてきた至宝へと姿を変えるんだなぁって改めて思えました。楽しかったです!

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2026年01月26日

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