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Posted by ブクログ
女性歌人たちが労働をテーマに詠んだ短歌とエッセイが載っている歌集。
ものすごーーく良かった!
全員がきわめて個人的なことを歌っていて、どの短歌を読んでも(ああ、こういう仕事してる人なんだな)と、作者の生活が伝わってくる。
変に気取ってないストレートな短歌が多く、歌で苦しみを軽やかに吹き飛ばす様が痛快。
「個人」としてではなく「女」とか「派遣社員」とかの属性で見られる苦しみとかがあらわれている歌がやや多めだったのは、女性が働くということの実情でもあるのだろうなと思った。
最後の吉澤嘉代子と俵万智の対談もとてもよかった。
特によいと思った短歌
↓
・一部を一尾と打ち間違えてつぎつぎに海老に変わってゆく書類たち
・ニヤニヤとしてばっかりですいません(命ですから許してください)
・業界の未来を語るおじいさんおじさんおじさんおじいさんおじ
・直接の指摘を避ける痛みやすい果実を前にしているようで
・前線と窓口のこと呼ぶ上司(戦士になった覚えはないが)
・保育室よいせと座ればたちまちに手足背首に園児が実る
・子の熱で休んだ人を助け合うときだけ我らきっとプリキュア
・落ち込んだわたし励ます文集のかんごしさんになりたいの文字
・梅雨時の前髪みたいな上司にもわたしと同じ夏が来るのか