あらすじ
有夫の身でありながら年下の青年弁護士・宮崎竜介の子を身ごもった歌人・柳原白蓮の人生。天皇のいとこという高貴な身分、類まれな美貌と文学の才に恵まれた彼女は、大正十年十月のある日、二回り年上の二度目の夫、無学だが九州の炭鉱王と呼ばれた伊藤伝右衛門のもとから奔り、しかも前代未聞の“女からの絶縁状”を新聞に公開する。夫の出方しだいでは白蓮も竜介も姦通罪に問われる……。小説のような人生を情熱的に生きた白蓮の生涯を、丁寧な取材で描き出す。
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Posted by ブクログ
花子とアンで仲間由紀恵が演じている白蓮、朝ドラはフィクションの部分も多いので、実際の”蓮さま”はどんな女性だったのか、知りたくて読んだ。
ドラマでは、蓮子と夫の龍一が知らぬところで、龍一の友人が絶縁状を新聞社に売ったことになっているが、実際は両人とも積極的に絡んでいる。そりゃそうだろうと納得。
一途な恋に生きているような描き方のドラマと違い実際の蓮さまは結構打算的。読んでいる限りでは恋多き女性で、自分の美貌を十分理解して、いろんな男にモーションをかけている。才色兼備だから振り向く男がほとんどだが、はじめて龍一が蓮子にあったとき、龍一が何の反応を示さなかったので、蓮子は興味をもったらしい。
絶縁状で恥をかかされた伝助は、反論を別の新聞で発表したが、これは記者が代筆したもの(というよりは創作に近い) 様々な理由で、数回で反論はやめてしまうが、ドラマでは触れられていない原因のひとつに蓮子は大正天皇のいとこだったということが大きく関連している(蓮子の父の妹が大正天皇の生母)
伝助が姦通罪で訴えれば間違いなく蓮子も龍一も有罪判決を受けるはずだったが、皇室関係者を獄に繋ぐわけにはいかない、という判断が働いたようだ。
すげえなぁ、と思ったのは蓮子の仲介で伝助に妾を囲わせたこと。しかも実家で。すでに夫婦の交わりが絶えていたので、ある意味蓮子の身代わりとして妾を”提供”した。蓮子の寝ているすぐ横で伝助と妾が男女の交わりをしていたというから、びっくりだ。
そういうところを見ると、蓮子の夫婦観が当時の皇室の考え方と同じだったことがわかる(天皇が側室をおかなくなったのは昭和天皇のときから)
そんなことをするかと思えば後年、吉原を自由廃業した元遊女を支援したりする。よくわからないけど、蓮子のなかでは筋が通っていたのだろう。
蓮子の兄が伝助から借金をしていたという事実もない。伝助も一文たりとも渡したことはない、と言っている。金目当てで兄が嫁がせたというのは完全なフィクション。もともと奥さんの実家が金持ちなので、伝助に頼むわけがないそうである。
ドラマのように単純な話ではないようだ。
蓮子の生い立ちや晩年のことなど、ドラマでは描かれていないことも多く書かれているので、面白かった。
ちなみに蓮子の姑も結構すごい人で、日本滞在中の孫文の世話を夫とともにしていた時期があるらしい。
全部ドラマの役名でレポを書いたが、もちろん本書では全部本名で書かれいている。
Posted by ブクログ
朝ドラ「花子とアン」の重要人物である白蓮についてのノンフィクションです。村岡花子にとって白蓮は腹心の友という扱いであるのに対して、白蓮のストーリーには村岡花子が登場しないという点が不思議な感じでした。
あまりにも数奇な運命を辿っているので白蓮のドラマの方に興味がありますが、決して朝ドラ向けの内容ではありませんね。
不倫が罪に問われる大正時代にこれだけの事件を起こした人がいたとは驚きですが、女性が虐げられていたことの証かもしれません。
白蓮達の行動が戦後の女性解放運動へと結びついたことを考えると、歴史を動かした人物の一人と言えるでしょう。