あらすじ
後楽園のゴミ捨て場に遺棄された死体は、なぜか頭頂部の髪を無惨に刈り上げられていた。事件を担当するのは所轄の刑事三瓶と格闘技マニアの新人・城島のコンビ。被害者はカタナという名の気鋭レスラーではないか――城島の推測を元に二人は事件関係者の聴取に奔走するが、次いで被害者の出自を知る男が自殺を遂げ、捜査は難航する。老練の刑事である三瓶も頭を抱える最中、城島は不思議な魅力を湛えた新人レスラー・犬飼の鋭い指摘を受けて事件を追ううちに、意外な目撃証言を手にするが……。覆面レスラー殺人事件と、容疑者の怪死が描く構図が推理を経て鮮やかに反転する「覆面」ほか、トリッキーな試み溢れる本格推理連作集。
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Posted by ブクログ
4+
第三話の話。
いやあ、すっかり騙された。最近は叙述トリック不感症を自認するほどやられない体質になっていて、残念だなあ、寂しいなあとつくづく思っていたところ。第1話、第2話と読んで、完全に油断していたので気持ちいいぐらいスカッと騙された。いやあ爽快だわ。私がプロレス好きだから、というわけではないが、あの流れでは、プロレスファンほど引っかかりやすいのではないだろうか。解説の乾くるみが好きそうな仕掛けだなと思うと、またニヤリ。
エピローグで明かされる真相は、割と容易に想像のつくものだったので、もう一捻りあると更に良かったようにも思うが、物語のテーマを考えるとあのままでなければ成立しない必然性のようなものも感じられるし、これは難しいところだろうか。
Posted by ブクログ
プロレスとバーリ・トゥードをテーマにした連作ミステリー。
どんでん返しがとにかく秀逸です。4つの短編が収録されていますが、いずれも終盤であっと声をあげること請け合い。特に第三話は秀逸。見事にひっかかりました。
トリックとテーマがよく絡んでおり、謎解き派の方にもプロレス好きの方にもお薦めの一作といえましょう。是非どうぞ。
Posted by ブクログ
プロレスや格闘技の世界を舞台とした本格ミステリ連作短編集。
本格ミステリは色々な世界に溶け込み、その世界を本格ミステリとして再構築してしまう力をもっています。しかしもちろんのこと相性というものがあります。まるで相容れないと思われた世界が、本格ミステリと融合した時の美しさは得も言えません。
そう、プロレスの世界は意外と本格ミステリと相性が良かったのです。それが証拠にここで扱われているミステリ的ネタは実にオーソドックスなものなのです。それがプロレスの世界に溶け込んだ時に、今までにない感触を生み出しました。使い古されたネタが水を得た魚のように活き活きと輝きを増すのです。
嗚呼なるほど、アイデアとは使い方次第なんだなとつくづく思い知りました。
これだから本格ミステリは面白いのですね。
Posted by ブクログ
プロレスとミステリが高次元で融合した傑作。題材がプロレスなればこそ成立するトリックってあるんだなぁとついつい感心。本書を200パーセント堪能するにはまずプロレスファンになることから始めないと。厄介ですね。
Posted by ブクログ
何かでおすすめの本だったので購入。まぁ楽しめましたし、ちょっとしてどんでん返しもあったりして、楽しめることは楽しめるのだけど、それほど格闘技やプロレスに思いがないので、まぁまぁ。という感じでした。
Posted by ブクログ
プロレスと格闘技に関連した、何年越しにも渡る連作短編集。どちらも門外漢で苦手なイメージがあるのだが、それでも問題なくさらっと読み易い。ミステリとしても凝り固まった不思議な謎というより、日常の謎に近いような、ふんわりとした雰囲気が漂う。間に入る「わたし」の独白も、それをプラスにしているだろう。
ミステリは全部で四編あるのだが、前半三話はどの話ももやっとしたものが残る。それで良いのだろうか、こんなものなのだろうか、と私なんかはぼけっとして読んでしまうのでそのまま読み進めてしまったが、謎解きが好きな人はその違和感に悩まされるだろう。
最後にようやく明かされたときには、びっくりというよりもなんだか狐に化かされたような、不思議な気持ちのほうが大きかった。終わり方まであくまで爽やかだ。
ただ現役刑事がそんな単純で良いのだろうか、と思わないでもない……。