【感想・ネタバレ】なぜ豊岡は世界に注目されるのかのレビュー

あらすじ

兵庫県豊岡市は、市内にある城崎温泉が「ロンリープラネット」のベスト温泉タウンナンバー1に選ばれ、インバウンドが急増。
豊岡演劇祭では1億3700万円の経済効果を達成。
移住したい街ランキングでも上位に入り、近年、国内外から注目を集める。
なぜそれが実現したのか。
人口が減少し、産業も衰退する中で、地方が輝きを放つ方法とは?
前市長が全国の自治体にも応用可能な視点を示しながら、その秘策を綴る。

【推薦コメント】
小島慶子氏(エッセイスト)
広まれ、豊岡モデル!「女、子どもは黙ってろ」で故郷が滅ぶと気づいた市長の本気のジェンダーギャップ解消作戦。胸熱です。子どもたちが、給食のお米をコウノトリ米にすることや震災の被災地にお米を送ることを思い立ち、真剣に大人に掛け合って実現するくだりでは涙が出ました。ここで子育てをしたいと思う人は多いのでは。

内田樹氏(思想家・芸術文化観光専門職大学客員教授)
コウノトリ、有機農業、演劇、ジェンダーギャップの解消…着眼点はどれもすばらしいのですが、何よりもそれらを貫くのが「深さをもったまちづくり」という哲学である点を僕は高く評価します。その土地の土着の文化と整合しなければ、どんな「正しい」政策も成果を得ることはできません。中貝さんは豊岡の土着の文化が何を求めているのかを皮膚感覚でとらえ、それを政策的に展開できた例外的な市長だったと思います。

藻谷浩介氏(地域エコノミスト)
突き抜けた文化、世界とつながる地下水脈、経済力ある女性と生活力ある男性。小さな世界都市・豊岡に、ワクワクが止まらない。巨大化する東京でガラパゴス化する日本と心中するか。小さな世界都市で、世界に通じる文化と暮らしを担うか。あなたはどっちだ?

【目次】
序章 「小さな世界都市」の萌芽
第1章 コウノトリ「も」住めるまちを創る
第2章 受け継いできた大切なものを守り、育て、引き継ぐ
第3章 深さをもった演劇のまちづくり
第4章 ジェンダーギャップの解消
終章 これからのこと――子どもたちへ

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Posted by ブクログ

豊岡を学ぶために読んでみました。
豊岡とコウノトリの取り組み
とても長い期間、徐々に想いが伝播して
大きなうねりとなっていったのだな。
実際にコウノトリを見に行ってジーンとなった。

コウノトリ”も”住めるまちづくり
この”も”が鍵なのだな
中貝さん、助詞の使い方がとても上手だ
コウノトリ関連のその後の事業で敢えて助詞を入れていない事業も紹介されていて
唸ってしまった。

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2024年11月30日

Posted by ブクログ

本を読んだあとに中貝さんの話を聞く機会があり、中貝さんにご挨拶をした後この本を読み返しました。
首長でここまで自らの言葉でストーリーを語れる人がいることに衝撃を受けつつ、お話の仕方も分かりやすく、気持ちが入ったもので、講演中少し涙ぐみました。
首長から市民として立場を変えながら、想う未来をつくろうとしていることに希望を感じました。

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2024年10月12日

Posted by ブクログ

首長(経験者が書く本)、基本的に本人が自分の言葉で書いている本しか読まない私。
この本は、『ジェンダーギャップ解消のヒント』という側面からオススメされた本だったが、まさに中貝元豊岡市長自らの言葉で紡がれている新書だった。
コウノトリがあったから、城崎温泉というブランドある観光地を持つから、豊岡市が世界的に注目される現実をみて、うちには出来ないと他地域の人が指摘するのは、本著でも何度も否定されるが、まさに同意。
どんな地域でも、歴史や文化、その土地にしかない価値は必ず存在する。
それを町の内外の人によって、磨いていくか、そのまま朽ちさせるかは、これからの地方が生き残るかどうかの肝になる。
地方政治に携わるものとして、いろいろと考えさせられた本であった。

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2024年05月12日

Posted by ブクログ

小さな地方自治体は首長の意向や舵取りがその市町村等の命運を左右するほど大きいが、豊岡は中貝氏という、熱意と行動力ある人物が20年という長期にわたってリーダーシップを発揮することができたことが、様々な取り組みの成果を上げられた要因だと思う。
本の内容は、地方の創造やまちづくりに関心のある人々には非常に参考になると思う。
なるほどなぁと思うところ、ホロリと泣けるところありで、とても良かった。

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2024年01月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

数年前から豊岡市で暮らしています。
外側から見る豊岡は非常に羨ましいものでした。
本書にある通り、コウノトリの野生復帰や片岡愛之助さんの永楽館歌舞伎、芸術文化観光専門職大学の認可等々なかなか他の地方都市ができなくてもできない発信力のある、国際的な取り組みをしていたからです。
本書ではそうした取り組みがいかに結実してきたかが具に語られており、読みながらわくわくしてきます。

ただ豊岡に移住してきて感じているのは、そうした周りから見ると羨ましい取り組みが、そこで生活している人々にとっては必ずしも受け入れられていないということでした(この点は本書の中で中貝氏自身も指摘されています)。

政治には夢や理想があってほしいと思います。
10年後、50年後、100年後、子どもや孫たちが大きくなったときにどんな社会を創り上げていたいのか。
そうした観点から見たとき、コウノトリも住める街、演劇を中心とした街、ジェンダーギャップが解消された街というのはとても魅力なものに私には映ります。
でも現実には私たちは目の前の問題にばかり気を取られ、対症療法的なものに飛びついてしまうような気がします。
もちろん対症療法はとても大切なことです(放置したら大変なことになります)。
でもそればかりに気を取られてしまうと本当に大事なものを見失ってしまうのではないかという怖さがある。
夢や理想と目の前の現実。
この二本を両立させるためにはどうすればいいのか。
そんなことを思いながら読んでました。

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2023年09月21日

Posted by ブクログ

ひとつのことを深く突き詰めると世界に繋がる地下水脈に辿り着くという発想が面白い。
小さな世界都市を掲げ、コウノトリの野生復帰、演劇的手法によるまちづくりなど、中貝元市長の奮闘が機知に富んでます。
コウノトリを野生に戻す過程で、冬に田んぼに水を張ることで水鳥を呼んだり、水位を上げることで無農薬で除草するなど、アイデアひとつでこんなに変わるのかと感心した。
また平田オリザさんを中心に演劇の街を作り、さらに演劇的手法を教育や介護に応用する発想も面白い。

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2025年08月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人口減少は若者がいなくなるから。その理由を経済、文化、ジェンダーギャップが課題と位置付けた。
まちの深さと広がりを意識した。
しっかりと方向性が整理されている市長だと思った。

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2025年01月12日

Posted by ブクログ

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豊岡市のまちづくり、人づくり、文化づくりの取り組み。人口減少社会のなか一つの指針。

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2023年11月15日

Posted by ブクログ

地方にある可能性を探り、磨き上げ、世界に通用するローカルに仕立て上げる。衰退する地方の創生を成し遂げた豊岡市の元市長がその秘訣を語る。
取り組んだのは①コウノトリの野生復帰②受け継いできた城崎温泉のインバウンド対ふ策③深さをもった演劇のまちづくり④ジェンダーギャップ解消
このうち①から③までは豊岡にあった資源を磨き上げたものである。その過程には語りきれない苦労があったが、それを乗り越えようという絶え間ない努力があった。目指したのは「深さ」と「広がり」だった。
たとえば、苗を踏み荒らす「害鳥」だったコウノトリとの共生のため、農家の抵抗に耐えて無農薬の農法を開発した。
自然の理にかなう農法でできた「コウノトリ育むお米」は、外国へ輸出されるようになった。
2016年6月に設立したTTI(豊岡観光イノベーション)はインバウンド推進のため、海外メディアに向け最新情報を発信し続けている。
また、出石永楽館の復活を目指した歌舞伎への取り組み、アーティストインレジデンスの可能性に挑戦しようという「城崎国際アートセンター」の立ち上げ、「芸術文化観光専門職大学」開校など、演劇から世界を目指し、子どもたちの教育に演劇的手法によるコミュニケーションを取り入れるなど、まさしく広く深くスケールの大きい活動を次々と展開している。
だが、向けられている視点は決して派手な活動ばかりでない。④のジェンダーギャップの解消については、統計的なデータを踏まえ、地味だが鋭い分析をしている。その上で、豊岡になぜ若い女性が戻ってこないか、その原因が大都市と豊岡の間で開いていったジェンダーギャップ対策の差にあると著者は勘づく。若い女性の減少は社会的損失、経済的損失、フェアネスの欠如をもたらす。このため、職場におけるジェンダーギャップ解消戦略を打ち出し、本気での取り組みを目指している。
全体的に、特にコウノトリに関する記述に関しては、やや美談的な回想が多い気がしたが、それでも、既存の資源にここまで磨きをかけた豊岡への関心が高まったのは確かだ。




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2023年08月05日

Posted by ブクログ

<目次>
序章   「小さな世界都市」の萌芽
第1章  コウノトリも住めるまちを創る~「小さな世界都市」のためのエンジン①
第2章  受け継いできた大切なものを守り、育て、引き継ぐ~「小さな世界都市」のためのエンジン②
第3章  深さをもった演劇のまちづくり~~「小さな世界都市」のためのエンジン③
第4章  ジェンダーギャップの解消~「小さな世界都市」のためのエンジン④
終章   これからのこと~子どもたちへ

<内容>
元豊岡市長が、豊岡市を「小さな世界都市」にした過程を書いた本。コウノトリやカバンのことは知っていたが、パフォーマンスアートやジェンダーギャップの解消のことは知らなかった。特にジェンダーギャップは、自分を含めて無意識に出てしまっていることなので、自戒する。また一貫してその姿勢で市政に臨んだ著者のリーダーシップや発想力、人と人をつなげる力に感嘆する。成功した側の回想的な要素もあるので、諸手を挙げて信頼できるかはやや不安だが、豊岡市の発展は日本の地方都市の活性化のヒントになるのではないか?

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2023年07月08日

Posted by ブクログ

知り合いが縁あって移住したといっていて、よく決意したなあと思ったが、ちょっといいなと思った。そのあたりが最後の方で出てきていて、でも、これからも大変なんだろうなあ。

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2023年08月22日

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