【感想・ネタバレ】あなたの燃える左手でのレビュー

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Posted by ブクログ

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国境や領土問題をドナーとレシピエントの臓器に例えたのが秀逸

ハンガリー人医師の日本人観には妙に納得させられた
日本人が色んな文化を受け入れられるのは侵略される心配がなかったことの裏返しでもある、と。

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2023年10月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

左手を切断してまたくっつけた人の話。

他人の手をくっつけるなんて超空想の話のようだが、その描写がめちゃくちゃリアル。
くっついた手(=他人の手)の厚みとか、色とか、指毛まで細かく描かれていて、だからこそその違和感や気持ち悪さが際立っていたような気がする。
個人的にはその気持ち悪さがこの小説のけっこう重要な要素だと思っており、しっかり表現できていて味わい深い小説だなと思った。

他人の手をくっつけて自分のものとして受け入れる(そのプロセスにおいて一定反発が発生するし、場合によっては受け入れられず終わる)という構造が、主人公のアサトだけでなく国と国の関係にまでメタ的に読み解くことができ、すごい視点だなぁと思った。
日本は島国で、日本の人々は他人(他国)を拒む性質を持ち合わせていないという解釈と、日本人である主人公の身体が他人の手を受容する事実を重ねて考えるとか、普通に生きてたら考えつかないよねぇ。

あと、個人的には手をくっつけてくれた医者のゾルタンがこの小説における重要要素だと思った。ナショナリストで医者としてのプライドも高い彼がいることで、人の身体を国と見立てて考える支店が生まれてるし、彼が患者を対等な人間としてみていない様子が、アサトの虚しさや哀れさを強調していると感じた。
一点わからなかったのは、最終的にゾルタンは医者を辞めるのだが、その理由はなんだったのだろうか。アサトの次にやる予定だった接合手術してないからアサトきっかけだと思うが、なんでなんだろう。

いろいろ書いたけど、すごくリアルで面白い本だった。朝比奈さんの他の本も読んでみよう。

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2024年06月09日

Posted by ブクログ

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もちろん、表現とか、国境・国に関する話とかは素晴らしいと思いますし、なぜか自分も左手がなくなったように感じてしまうほどですが


主人公があまりにも救われなさすぎて読み終わってしんどい本でした。


でも、主人公の手が暗喩するものが国なのであれば、ウクライナ戦争は誤診ってこと…?

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2024年05月16日

Posted by ブクログ

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誤診によって左手を切断されたアサト。幻肢痛が一向に改善されないため、異国の男性の手を移植する。しかしその手はアサトになかなか順応しなかった。

本作のキーワードは「境界」である。
上記のあらすじを見るとその「境界」は日本人の体と移植されたハンガリー人の体を指すと思うだろうが、本質は国にある。

目が覚めたらいつも通りにあるものである身体、そして国。それがある日、突然奪われる。
島国である日本に住むわたしには少し想像しにくい事柄だった。だからこそ朝比奈さんは身体の境界を国の境界のように見立てた本作を執筆したのだと思う。
そうすれば少しだけでも、その恐ろしさや痛みが理解できるような気がするから。

アサトはウクライナ人の妻・ハンナを持つ。そして彼女はロシアとの戦争の中で亡くなった。現実とリンクしているのである。
ハンナは自分の住んでる場所を他国の奴に取られたと怒る。そして元々住んでた人も別国の人間になったと嘆く。誰彼が可哀想だとかなんだとか大義名分を掲げるが、ゾルタンが「怒れ怒れ。それが国境を押し返す力だ」と言うように結局怒りが行動の源であり、戦争の核心なのだろう。

終始、題名の意味を考えていた。
「体の全ての細胞が左手を拒絶して燃えていた」と本文にある。
題名の『あなたの燃える左手で』って誰目線なのか、そして燃える左手で何をするのだろうか。拒絶するのか。受け入れるのか。もしくは他の答えか。

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2024年01月23日

Posted by ブクログ

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ハンガリーの病院で手の移植を受けた日本人のおはなし
奥様はウクライナ人
舞台はまさしく今現在で、ウクライナの状況ヨーロッパの状況が一個人の身体と重ねて論じられている

一度切り落とされた手はもう戻らない
移植され繋がれる手は、同じ手であっても元の手とは別の誰かの者

それを、どう受け止めるかということを問われている話なのかなと
思ったけれどどうなんだろう。主人公の悩みや困惑が夢現のようで少し複雑な印象。

土地を奪い奪われの陸続きの大陸のひとと島国日本の人間には考え方や受け止め方に違いがある、というのはわからなくもないと読みながら思ってしまったけれど、それでも失っている島はいくつかあるのだよな。そこに痛みがない訳はないし、でも我が事と捉えられているかといえば微妙なところで、勉強して知らなければなぁと、作品とは直接関係のないところかもしれないれどそう思った。

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2023年08月10日

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