あらすじ
新鮮な言語感覚と幻想に満ちた華麗な文体で構成された本作は、1948年に刊行されるやいなや、アメリカ中で大きな波紋を呼び起こした。父親を探してアメリカ南部の小さな町を訪れたジョエル少年の、近づきつつある大人の世界に怯え屈折する心理と、脆くもうつろいやすい感情とを描いた半自伝的なデビュー長編。
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Posted by ブクログ
高校の時読んだ『ティファニーで朝食を』以来のカポーティ。春樹訳に惹かれて読んだ。
普段ミステリを読むことが多いから起承転結やキャラクターの面白さとかに注目して読んじゃうけど、久しぶりに読んで文章表現の美しさに驚いた。
両親の喪失から、ランドルフが父に成り代わり、そしてそのランドルフも……ここで終わっちゃうの?!とも思ったけれど、主人公の夢なのか、空想なのか分からない部分もあって、どこまでが本当か分からないからこそ、そのラストでも納得だなと思った。
次は『草の竪琴』を読みます。
Posted by ブクログ
久しぶりの圧倒的な読書体験。アメリカ文学に浸れる至福の時間。独特の比喩を用いた言い回し、個性豊かな奇妙な登場人物たち。古きアメリカのディープサウスの描写が素晴らしい。翻訳者を忘れて村上春樹の新作〜それも中期の頃の特別に面白い長編〜を読んでいるようだった。
すらすら読めないので何度も読み返したり、戻ったり、以前の河野一郎訳はどうだったかと比較したり。読書の真髄を思い出させてくれる究極の一冊。じっくりと向き合って味わいたい小説です。
新訳は春樹節が出過ぎてる箇所もある。言葉も前訳の方が分かりやすい部分もあるし、もちろん新訳の方が馴染みやすい単語になっている所もある。前訳で再読してみるのもいいかもしれません。
蒲団→キルト 毒蛇→ヌママムシ
無蓋のフォード車→ピックアップ型のフォード車
おまじない→護符 など
70年以上も前にトルーマン・カポーティが24歳で書いた珠玉の小説。是非、多くの人に読んでもらいたい。前訳と新訳は文章構成も全く違います。しかし、タイトルだけは同じ。自分も考えてみましたが、これを超えるような素晴らしい邦題は思いつきません。☆4は自分が完全に理解しているとは思えないので。