【感想・ネタバレ】黄金比の縁のレビュー

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Posted by ブクログ

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芥川賞候補にもなった作者だと聞いて、勝手に純文学的な堅苦しい思考系か美しい描写系の小説かと思い込んでたのだが、いやいやこれは面白い。

大手化学マテリアル系企業の人事部採用担当に勤務する主人公、不本意な人事異動でここに移ってきた彼女は会社に復讐を誓う。

彼女の採用活動一次面接での選考基準は、なんと顔パーツの黄金比。しかもその理由が「自己都合による退職は会社にとって大きな痛手」ということに波及する。

なぜそうなるかは読んでみて欲しいのだが、そうすると万年ウィンドウズ平社員の勤続35周年な俺なんかは、給料もそんなに上げずに済むし仕事も想定内にやってるしで、会社にとってはまぁまぁ許させるヤツってことなのか。

よかったよかった(笑

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2023年11月28日

Posted by ブクログ

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石田節炸裂。
この方の文章が歯切れがよくテンポがよく、ぐいぐい引っ張られる。。

人事に異動(左遷)させられた小野さんが、会社を恨んで復讐するために、すぐ辞めそうな優秀な人材を選ぶ。本当に優秀というより、機械的に決めた自分の方法で。これ、就活生が読んだらびっくりするんじゃないかなー。入社担当の3人がいい加減(彼らなりの理由がある?)で、笑わせてもらった。
小野さんの合格者へのこだわりが、黄金比一点しかなく、それだけなの?人事がこれで大丈夫なん?(フィクションと分かっていながら)心の中でたくさんつっこませてもらいました。

この作者の方の題材選びがすごすぎて、何を読んでも目から鱗でこんな考えがあるんだと驚かされる。石田さん、いつも斬新な話をありがとうございます。

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2024年05月17日

Posted by ブクログ

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⚫︎感想
一人称小説で「我が友、スミス」についで、石田さんの著作2冊目。「女性ならではの視点」を期待され、冷めた頭で捉えるという、深刻になりすぎず社会問題を自然に作中に取り込むところは、「我が友、スミス」に通ずると感じた。
比喩や小野の言い回しが面白くて、ニヤニヤしてしまう。
黄金比の顔バランスの新卒者のみ採る、会社を破滅させるため。親近感の湧く語り口で最後まで飽きずに読ませてもらえた。

⚫︎あらすじ(本概要より転載)
「会社の不利益になる人間を採る」
不当な辞令に憤る人事部採用チームの小野は、会社への密かな復讐を始める――。

(株)Kエンジニアリングの人事部で働く小野は、不当な辞令への恨みから、会社の不利益になる人間の採用を心に誓う。彼女が導き出した選考方法は、顔の縦と横の黄金比を満たす者を選ぶというものだった。自身が辿り着いた評価軸をもとに業務に邁進していくが、黄金比の「縁」が手繰り寄せたのは、会社の思わぬ真実だった……。

ボディ・ビルを描いた『我が友、スミス』で鮮烈なデビューを果たした著者が、本作では「就活」に隠された人間の本音を鋭く描く!

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2024年03月18日

Posted by ブクログ

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その会社では花形のプロセス部から、ちょっとしたことがきっかけで人事の採用担当になった小野は、会社に不必要な人材を採用することで会社に復讐しようとする。

男女比に差が出ないようにするには、資格でも学歴でもなく、顔の黄金比で判断。というところが、おもしろかった。
結局人事は縁。いろいろと考えたところでどうなるわからないし、責任もない。
でも得てしてこんなもんだろうと納得した。
そこにそれぞれの忖度が混ざれば統一もなく、誰もその理由を明かせない。
でもそこまで自分の会社を恨むことになるのも人事の縁であり、自分で自分の首を絞めているのにラストも初志貫徹しているのがストーリーとしてはよかった。現実にはそこはしないんじゃないかと思ったけど。

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2024年02月12日

Posted by ブクログ

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人事の小野さんの考え方は、面白い。

不当人事の復讐を果たすために、仕事を続ける。
採用担当にさせられたので、年々努力を惜しまずパワーアップしていく。説明会のために、社外でプレゼンの研修を受け、オーダーメイドのスーツを買い、週に一度は美容院へ行くなど、印象を良くする努力を怠らない。
実際の採用では、顔の黄金比を基準に、選ぶ。その選考基準がブレることはない。
顔のいいやつは、早く辞めるから。

他人の人生を左右する怖さを、一定の基準を持つことで乗り切ろうとする小野さん。でも、その基準は小野さんが決めたものである。
真面目に誠実に復讐を腹に仕事をする中で、その矛盾は、今後どう戻ってくるのだろうか。

文体がもう少しわかりやすければよかったな。

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2023年11月10日

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