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初の石田さん作品。池袋ジュンク堂のポップスに惹かれ購入。
とりあえず、視点が面白すぎる。「会社の不利益のために黄金比を採用する」、やってることは正しい(仕事ができやすい人柄を採用する)のに全く会社に貢献していない反骨精神。
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芥川賞候補にもなった作者だと聞いて、勝手に純文学的な堅苦しい思考系か美しい描写系の小説かと思い込んでたのだが、いやいやこれは面白い。
大手化学マテリアル系企業の人事部採用担当に勤務する主人公、不本意な人事異動でここに移ってきた彼女は会社に復讐を誓う。
彼女の採用活動一次面接での選考基準は、なんと顔パーツの黄金比。しかもその理由が「自己都合による退職は会社にとって大きな痛手」ということに波及する。
なぜそうなるかは読んでみて欲しいのだが、そうすると万年ウィンドウズ平社員の勤続35周年な俺なんかは、給料もそんなに上げずに済むし仕事も想定内にやってるしで、会社にとってはまぁまぁ許させるヤツってことなのか。
よかったよかった(笑
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理不尽な理由で花形部署を逐われた女性が、異動先の人事部で会社にとって不利益になる就活生の採用に全力を注ぐことで会社へ復讐するという、迂遠な復讐譚。
◇
プラント設計会社に入社し、希望通りプロセス部という花形部署に配属された小野は、エンジニアとしての輝かしい人生をスタートさせたかに見えた。
だが、経済産業省からの視察と打合せのあった日のこと。若手職員と雑談に興じていた小野が、たまたま話題になった自社のAIシステムのひとつであるチャットボットを見せようと、ノート PC を彼の方に向けたことが騒動の発端だった。
そのチャットボットの擬人化女性キャラ「マドカちゃん」の露出度の高いコスチューム姿が霞が関で問題になり、(男女)共同参画センターからのクレームに発展。
さらにマスコミに取り沙汰され非難の的になったことで、社内での責任者探しに発展する。
そして生贄として選ばれたのが、マドカちゃんの制作チームではなく、最初のクレームに対処しなかった広報部でもなく、経産省職員にチャットボットを見せた、入社間もない小野だった。
辞令に従い人事部に異動した小野の、暗い情念に包まれた復讐が始まった。
* * * * *
なんと奇想天外でトボケた物語だろう。一読後に感じたのはそれでした。
この作品の柱は2つあります。1つは、就活というものの側面。もう1つは、復讐です。
人事部で新卒者採用チームの一員としてできる、効果的な復讐。それが、「会社の不利益になる人間を採る」ことでした。
採用面接を担当しながら試行錯誤すること10年。
「人事の小野」と呼ばれるベテランになった小野さんは、独自の選考基準を確立させていました。それは「顔の縦と横の黄金比」を重視するというものです。
顔の造作による美醜ではなく、ある程度整った、なんとなく好感の持てる顔立ち。ここがミソです。そうして入社させた人間は優秀ではあるものの、なぜか入社3年以内に退職(転職)する者が多いのでした。
せっかく1人前の戦力に育てた新人に退職されることは会社にとって大いなる痛手となる。小野さんはそこを目指します。
これはバカげた話でありながら、どこか不思議なリアリティと説得力があります。
確かに、企業が行う採用試験は胡散臭さを感じます。厳正なる審査とは本当だろうかという思いは捨てきれません。それこそ顔の黄金比で判定していても不思議はないのです。
浅倉秋成さんの人気作品『六人の嘘つきな大学生』のモチーフにもなっていましたが、「総合的に」受験生を判断するなどできようはずがありません。だからこそ、ほぼ出身大学で内定を出したりするのだと思います。
このあたりの描写から感じる就活というものの真実が、本作の魅力なのでしょう。
もうひとつおもしろかったのが、小野さんが意とする採用者数を増やすため、できるだけ多くの受験生を集める努力をするくだりです。
会社を魅力的に見せるためパンフレットやホームページに工夫を凝らし、自らは服装や髪型に気を遣い話し方を磨くなどプレゼン能力を高めていきます。まったく凄まじい情熱です。
そうして毎年採用を続けた若手社員たちが、目論見通りに中途退職していくのを見て密かにほくそ笑む小野さん。
砒素が人体をじわじわと蝕んでいくように、彼女の復讐計画は会社の体力を少しずつ奪っていきます。
淡々として、時にユーモラスに綴られる文体なのでさほど感じないのですが、このゾッとするような復讐にかける情念が作品の大きな魅力になっていました。
採用する側とされる側を結ぶ縁。それは恣意的なものに支えられているのかも知れません。
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石田節炸裂。
この方の文章が歯切れがよくテンポがよく、ぐいぐい引っ張られる。。
人事に異動(左遷)させられた小野さんが、会社を恨んで復讐するために、すぐ辞めそうな優秀な人材を選ぶ。本当に優秀というより、機械的に決めた自分の方法で。これ、就活生が読んだらびっくりするんじゃないかなー。入社担当の3人がいい加減(彼らなりの理由がある?)で、笑わせてもらった。
小野さんの合格者へのこだわりが、黄金比一点しかなく、それだけなの?人事がこれで大丈夫なん?(フィクションと分かっていながら)心の中でたくさんつっこませてもらいました。
この作者の方の題材選びがすごすぎて、何を読んでも目から鱗でこんな考えがあるんだと驚かされる。石田さん、いつも斬新な話をありがとうございます。
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人事部視点の物語が読みたくて探した結果、見つけた本。
設定が面白かったためもっと読みたかった(もう少し長かったら嬉しかった)。この作者の小説をもっと読んでみようと思う。
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小説家の人って多分文系の人が多いんだろうなと思うのだけれど、この本の主人公は理系。
花形のチームにいたのに、会社の株価が下がるような事件に関わったがために人事部に流されてしまってはや数年。そんな仕打ちをした会社に復讐するために会社の不利益になる人材を獲ると決めて採用業務を行なっている…ていうあらすじを読んでこの本面白そう!って読み始めました。
109頁と厚みはないのだけれど、1頁の情報量が多い。濃い。
私が超文系な上、経験値が少なくて書いてあることを理解できないくだりもあったのだけれど
会社の不利益になる人間とは、と掘り下げるところや新卒採用の仕組みなど いち従業員として働くのとは別の視点が知れて面白く読めた本でした。
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「我が友、スミス」に続く2冊目の読書となりました。
著者の文体が好きです。
文章読んで、「あぁ、この方っぽいな」っていうのがわかる文体なんですよね。(それを個性という)
個性の強い文章は読みずらかったりもするのですが、そんなこともなく。私の中では稀な存在です。
さて、ストーリーを読んでの感想です。
置かれた場所を最大限に生かして、復讐する。
会社員である一個人が、会社という組織に歯向かいたい場合は、この方法が一番リスクが少なく効果的なのかもしれません。
時間がかかりますが。
会社という組織に長く所属していると、なんとなーく自分に特権や才能があるんじゃないかと勘違いしてしまうのですが、全くそういうことはないのです。
勘違いした人間ほど、ドラマの半沢直樹のように正面切って戦いを挑んでしまうのかもしれません。あれはドラマの話であって、現実世界でやってしまったら……。考えただけでもゾッとします。
組織に所属する私たちは下記のフレーズを常に頭に入れておく必要があるのかもしれません。
”そもそも「自己都合」とは「我儘」を意味し、雇われの身に「自己都合」は有り得ない。会社員は「会社都合」の生き物だ。だから今月も給料が振り込まれる。”(抜粋)
自分の時間を会社に切り売りして、毎月の給料という安定収入を得ている。そうすることで安定した生活が保障されているのです。
そう考えると、会社に首根っこ掴まれてるようで嫌~な気分になりますが……。労働組合だとか、労働基準だとかあっても、それが現実なんですよねぇ。
日本企業の緩さや忖度を辛辣に描いていて、棘のある文体に思わず笑ってしまうのですが、他人事ではない!
私自身、日本企業の緩さの恩恵をずーーーと受けてきた身なのです……。
(今更、外資系企業では働けなさそう…)
可能な限り、ご「縁」を大切にしていきたいものです。
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⚫︎感想
一人称小説で「我が友、スミス」についで、石田さんの著作2冊目。「女性ならではの視点」を期待され、冷めた頭で捉えるという、深刻になりすぎず社会問題を自然に作中に取り込むところは、「我が友、スミス」に通ずると感じた。
比喩や小野の言い回しが面白くて、ニヤニヤしてしまう。
黄金比の顔バランスの新卒者のみ採る、会社を破滅させるため。親近感の湧く語り口で最後まで飽きずに読ませてもらえた。
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
「会社の不利益になる人間を採る」
不当な辞令に憤る人事部採用チームの小野は、会社への密かな復讐を始める――。
(株)Kエンジニアリングの人事部で働く小野は、不当な辞令への恨みから、会社の不利益になる人間の採用を心に誓う。彼女が導き出した選考方法は、顔の縦と横の黄金比を満たす者を選ぶというものだった。自身が辿り着いた評価軸をもとに業務に邁進していくが、黄金比の「縁」が手繰り寄せたのは、会社の思わぬ真実だった……。
ボディ・ビルを描いた『我が友、スミス』で鮮烈なデビューを果たした著者が、本作では「就活」に隠された人間の本音を鋭く描く!
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就活を扱った小説は、特にエンタメにたくさんある。大抵は就活をする方(学生)から書かれている。
この小説は人事担当者の側から描かれている、という点が珍しい。
そして、大変読みやすくやすく面白いのに、エンタメではなく純文学であるわけを考えてみる。主人公が自分を人事部に追いやった会社に復讐するために会社に損害を与えるような人材を採用しようとするのは、まあいいかもしれないが、本人なりに試行錯誤した末、顔が黄金比に近い人を採用することにするというところがなんとも奇妙なのである。顔が整っている人ほど他人に好かれるから転職しがち。数年で辞めるから会社にダメージを与えられる、と。
舞台はエンタメだが、主人公や展開が奇妙で、エンタメ小説とは全く違うところに着地する。
作者は人事にいたことはないらしいが、一次面接を行うのはヒラの人事担当者なので、確たる基準で落としているわけではないというのはいかにもありそう。みんなやる気マンマンで来るんだから、数十分見ただけで人柄を見抜くのは難しいだろう。
「ザックリしすぎじゃないですか?」と主人公が上司に言うと「一次選考はとにかく数だから、あまり考え込んではイカンのだ」という答えが返ってくるのもちょっと納得してしまう。学生から見たらとんでもないが。
そこに、辞めた重役の息子らしき、やる気のなさそうな学生がやってきて…という展開も面白い。
就活が上手くいかずに疲れた学生におすすめしたい。なんだ、そんなにふわっとした基準しかないなら、落ち込む必要はないな、と。学生にとっては一生を左右するようなことでも、人事担当者には毎年のルーティーンなんだ、と冷静になれる。
バカバカしくなって就活やめてしまうかもしれないが。
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「我が友、スミス」で興味をもち拝読しました。
云われてみれば、なるほどわが社においても「そうかも」と思わせるシーン、シチュエーションもあり楽しい。著者の特徴なのでしょうが、過剰な心理描写がなく削ぎ落としたような文体でコンパクトに納めるところも好きです。
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会社に復讐する新卒採用者が主人公のお話し。
会社にとって本当に不利益となる人物がどんな人か、採用の基準の平等性など面白い視点が沢山盛り込まれていた。
自身が採用担当になった際には参考にしちゃうかも。
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面白くて、ヒリヒリする着眼点に脱帽する気持ちと、今の社会全体に蔓延る表の顔と心理のギャップ、飛び交う言葉のリアルさ、人の距離感の遠さや繋がり方に自分の体温が少しだけ下がったような気がする。
最近こんなタイプの本が増え、共感を呼んでいるのなら今という時代の空気感がちょっと寂しく息苦しい。
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『ケチる貴方』が好きだったので読んでみたら、これも面白い。笑える率はこっちの方が高いです。次々飛び出すワードセンスに、思わず笑っちゃう。
ラストに関しては、内心「ぶちかましたれ!」と拳を振り上げていたので心情的には残念だったが、あそこで暴露するとそれはただのスカッとジャパン的エンタメになってしまうかも。
人が人をジャッジする曖昧さと理不尽を知っている小野さんだから、最後まで黄金比ルールを崩さなかったのかな。他には意地とか。
顔採用、横暴だけど明快でシンプル。本当にこんなことされたら最悪だが、実際の就活も一皮むけばこんなもんなのかもしれない。「黄金比」という判断基準が、面接官によって学歴とかコミュ力とか、その他様々な要素に変わっていくだけで。
就活や会社組織への皮肉がたっぷりの本でした。でもそんなこと関係なしに語り口が面白かった。
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主人公である人事担当が新卒採用における黄金比率の顔にこだわる理由は本の帯どおり会社の没落を狙ってのこと。黄金比顔のなにが、どうなって、没落に繋がるかは作品を読んでいただくとして、その信念で徹頭徹尾突き進む主人公の暴走は読んでいて清々しいほどだ。後半の妙にミステリーライクなまとめ方も面白かった。
相も変わらずへんてこな設定をベースに、読者を物語引き込む展開づくりのうまさ、程よくウィットに富んだ文章など、才能溢れた石田夏穂さんの次回作も今から楽しみ。すっかり石田ワールドに嵌まっている。
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装丁に目を惹かれて手に取り、ボリュームが少なめなことと小気味良い書きぶりで一気に読めた。
とにかく文章のテンポの良さ、言葉選びが面白くて心地良い!耳元で超早口の落語家が話してるイメージ。
ぶっとんだ設定のような、ありふれた話のような。ラストもその後をあれこれ想像させる終わり方でよかった。
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会社に恨みをはらすため、人事部にて着々と「すぐ辞める」素地をもつ顔が黄金比の志望者ばかりを推す、主人公。淡々とした文体にぞくぞくしました。そして淡々と自らの仕事を実行する主人公にも。本は薄く、とても読みやすかったです。石田さんのほかの作品も読んでみたくなりました。
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壮大な笑える復讐劇。
理不尽な人事異動で主人公の小野さんは人事部へ。そして新卒採用チームの一員に。その時点で会社を辞めてしまいそうだけど、根性をみせたのが小野さん。辞めないで復讐を思い付く。優秀な人材を会社から逃がし、代わりに会社に不利益になる人材を採ろうと。人事部だからできる復讐方法。そういう発想が面白い。小野さんの採用基準は顔の黄金比。これは理系女子の小野さんらしいな。小野さんの顔の黄金比で採用した人はやはり優秀。でも3年で会社を辞めてく。離職率が高いと会社は大変。会社の評判にも影響するし。新卒者がすぐ辞めるのは、こういう時代だから仕方ないよね、と言い訳ができるけど、会社ではその処理が大変みたい。
人を雇うって難しい事なんだと思う。やっぱり、人間だから好みがあるし、平等ってなかなかできない気がする。男女平等は大切だけど、学歴や性格なども考慮するから、だんだん分からなくなるだろうな。完璧にはできないと思う。
最終的に小野さんの顔の黄金比によって会社はどうなってしまうのか?気になるところで終わっちゃった。こういう終わり方はモヤモヤする。
"縁”という言葉が作中で使われてる。"縁"、私は素敵だなと思うけど、この作品を読んで"縁"は便利な言葉でもあるんだなと思った。
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とにかく面白くて一気に読み終えた。
石田夏穂さんの他の作品も読んでみよう。
ちなみに、
表紙の著者の名前が異様に大きく感じられたが、読後は、このタイトルと著者名を同じ大きさにするというのも、作品がヒットする黄金比なのだろうか、と想像してしまった。
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入社した会社に夢や希望を抱く新人女子が理不尽かつツマラナイことで事実上左遷される。
その後、彼女は常軌を逸している行動をとる。
鉄仮面の如く感情を表さず 自らの定めた規範にのみ従い続ける姿はおそろしい。
そんな事にエネルギーを使わず素直に転職して前向きな人生を送った方が良いのではと思うのも当然だが、それは本人も分かっている。それが恐ろしい。
そしてとある事から、鋼鉄の矜持が揺らぐ事態になるのだが果たして…。
短篇で一気に読めるがとても満足できた。
石田夏穂さんにハマりそう。
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就活をテーマにした小説はたくさん読んだけど、人事部側が主人公の話ってあんまりなかったなと。人事異動で人事部に配属されただけの、ただの職員が人を選別して落とすって業が深いなと常々思っていたけれども、本人たちにも自覚はあるのだろう。
主人公の小野さんは「顔の黄金比」という清々しいまでに明確な選別基準を持っており、その目的はさておき、周囲からは優秀な人事部員と目されている。
人を見た目で判断してはいけないというのはもっともなことだが、同時に、人は皆美しいものが好きだということも変えようがない事実である。
小野さんのキャラが面白くて楽しく読めた。不遇な状況でも目標設定って大事!
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会社の不利益になる人間は、ウチの部署に置けないと言われ、人事部に異動。
そこから会社に最大限の復讐を果たそうとする。
復讐というのは、どれだけエネルギーを消耗するのだろうか。どんな気分で一日過ごすのか。
そんな会社なんて、さっさと辞めればいいのに。
だけど小野さんは辞めない。
じっと機会を伺っている。
黄金比で採用を決め、とっとと辞める秀才を1人でも多く採用する。
最後に復讐できるチャンスが来たが、ラッキーには飛びつかない。いいね小野さん!
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【採用担当者も就活生も同じ人間】
仕事での役職がつくと、抽象的に人を認識しがちだけど、みな同じように生活をやりくりする人間であること…
役職の盾は、日常的に、力関係とか、理不尽な結果を生産する。
あと、それが縁であるかどうかは、本人が決めることなので、他者/相手に対して縁がありませんでしたね、っていうのはちょっと違う、となってしまうのだと思う。
…
「この仕事から何か学んだことがあるとすれば、それは、人間は所詮「自分っぽい」人間が好きだということだ。」
「悲しいかな、我々が「総合的に判断します」と言ったらそれは実質「何となくで決めます」と言っているに等しい。」
採用担当者も人間である、そのことを、就活に一生懸命になっていると忘れがちたけれど、もう少し軽い気持ちで、誰も死なないように、思いつめないように、なったらいいなーと思ったり。
なので本当に、今の時代も仕事探しや職場で苦しむ状況があるのなら、深すぎる傷は負わないように気を付けてほしいと思う…
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「会社の不利益になる人間」と烙印を押された社員が人事部に左遷され、会社への復讐に燃える、ビジネス短編小説だ。新入社員採用に対して人事は最終的に「縁」で合否を決める、それは一般的に「総合的に判断した」と言う理由だが、実際は「何となく決めた」で「そう言う時代」なのだ、と言う。採用合否に「美の黄金比」(比に遇う者は転職する確率が高い)で合否を独断で決めようと、会社にダメージを与える最適な新社員を発見、採用したいと詰め依る。現実、入社3年で退職する率が高いと言うが、それは余りにも入社時に「甘み」(給与・休暇・出世)だけを飲まされているからなのかとも思う。それと「良い上司」に恵まれるかどうか、これが一番の課題であり運命とも言える。それと、ストレスを溜めないように悩み始めた時には、早々に転職をした方が時間的にも精神的、肉体的にも健康だと、思う。
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やっぱり面白いです、石田さん。
不当人事の復讐のために会社に不利益をもたらす人物を採用するという設定も、
仕事ができる人ほどさっさと辞めて会社に不利益をもたらすから(それは本当にそう)、顔の黄金比を満たす者を採用するという基準も、流石の面白さだった!
主人公の場合は採用の基準が顔の黄金比だけど、それ以外の面接官たちも出身校や語学力、自分に似たタイプなど、自分の嗜好バイアスかけて選んでるんだけど、結局それもご縁という言葉でまとめられちゃうところも、皮肉で面白かった。
Posted by ブクログ
その会社では花形のプロセス部から、ちょっとしたことがきっかけで人事の採用担当になった小野は、会社に不必要な人材を採用することで会社に復讐しようとする。
男女比に差が出ないようにするには、資格でも学歴でもなく、顔の黄金比で判断。というところが、おもしろかった。
結局人事は縁。いろいろと考えたところでどうなるわからないし、責任もない。
でも得てしてこんなもんだろうと納得した。
そこにそれぞれの忖度が混ざれば統一もなく、誰もその理由を明かせない。
でもそこまで自分の会社を恨むことになるのも人事の縁であり、自分で自分の首を絞めているのにラストも初志貫徹しているのがストーリーとしてはよかった。現実にはそこはしないんじゃないかと思ったけど。
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朝井リョウさんが、この本にインスパイアされたって言っていたので読んでみた。就活生は読まない方がいいかも。総合的に判断って、私も嫌いな言葉(裏ありすぎ)。判断基準がしっかりしている主人公はある意味素晴らしい。作者の石田さん、朝井リョウさんと同じく性格悪そう〜(褒めてます)
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人事の小野さんの考え方は、面白い。
不当人事の復讐を果たすために、仕事を続ける。
採用担当にさせられたので、年々努力を惜しまずパワーアップしていく。説明会のために、社外でプレゼンの研修を受け、オーダーメイドのスーツを買い、週に一度は美容院へ行くなど、印象を良くする努力を怠らない。
実際の採用では、顔の黄金比を基準に、選ぶ。その選考基準がブレることはない。
顔のいいやつは、早く辞めるから。
他人の人生を左右する怖さを、一定の基準を持つことで乗り切ろうとする小野さん。でも、その基準は小野さんが決めたものである。
真面目に誠実に復讐を腹に仕事をする中で、その矛盾は、今後どう戻ってくるのだろうか。
文体がもう少しわかりやすければよかったな。
Posted by ブクログ
技術者をある事案でクビになり、新卒採用担当者に回されたが、会社への恨みを抱えているため、会社に不利益になる人間を採用しようとする人の話。
うん。よくわかんなかった。
計109ページの簡単に読めるお話。