あらすじ
ひきこもり・過食症・閉所恐怖……
数々の患者の悩みを解決してきた現役精神科医が語るうつ症状の改善方法
幼少期の親子関係から身についた
“強迫性”がうつ症状を引き起こす!?
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強迫性とは他人の顔色をうかがい「ちゃんとしないといけない」という
思いにとらわれ、無理をするといった傾向のことです。
幼少期の親子関係に由来する、うつ症状の要因であるというのが
精神科医として長年多くの患者を診察してきた著者の主張です。
不安うつやパニック症、対人恐怖症など、
うつ症状と言ってもその症状は実にさまざまです。
これらを改善するには強迫性を緩めることが肝心です。
そのために最も大切なのは「自分の好きなこと」に目を向けることです。
自分には好きなことなどないという人でも、
自分の「こうしたい」「こうありたい」という素直な気持ちを明確にすることで、
強迫性は緩まり、心を楽にすることができるようになります。
本書では、著者が豊富な臨床経験から得た知見を基に、
他人の顔色をうかがうことなく「自分の好きなこと」を大事にして、
さまざまなうつ症状を改善する方法をまとめています。
誰にも相談できずに苦しんでいる人にとって希望の光となる一冊です。
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Posted by ブクログ
得るものが多かったので、読み終えてまた再読した。
うつ病と一言で言っても、いわゆる内因性うつ病は薬物療法と休養で治りやすいのに対して、神経症性抑うつは薬物療法の反応性が低く、精神療法の併用が必要であり、その際に有効な視点が「強迫性」とのこと。
強迫性が強いと、「しないといけない」に気持ちが向きやすいため、それを緩めることが治療に有効であるという。
そして、「しないといけない」という気持ちは過去の親子関係に由来しているということで、この指摘はうなずけるものだった。
「強迫性の強い人は、一人で考え過ぎる傾向があります。一人で立ち止まって、堂々巡りの思考にはまり、自分を虐めています。それが神経症の症状を出す背景となるのです。実際は治る可能性があるのに誰にも相談しないで、治るものも治らない悪循環に陥ります。」
昔の自分のことを言われているようで、やるせない。
恐らく、神経症性抑うつ傾向の人が、この問題に通じていない精神科医に診察されて、いたずらに薬を処方され続けることもあり得るだろう。
気付きが色々あったが、特に、「まず過去でなく現在の問題を扱う」という箇所が印象的だった。これは、臨床経験にも裏付けられており、フロイトの見解とも一致するとのこと。
「フロイトによれば、記憶された体験は、その後の発達に伴って、繰り返し書きかえられる。記憶は引き続く体験によって修正され続けるものであり、現在は過去を修正する」
この部分にとても励まされ、力をもらえた。