あらすじ
納得できる給料だけがモチベーションを上げ、人間らしい生活を可能にして、ビジネスも強くする。では、その具体的な処方箋は? 日本型雇用が崩れる中、世界標準の給与決定の仕組みとロジックを払う側ともらう側それぞれの視点を重ね合わせて丁寧に説き、あなたを昇給へと力強く導く希望の書。さあ、本当の給料の話をしよう。
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Posted by ブクログ
年功序列には、評価コストを削減できる利点があるという。確かにそうであり、年を取れば給与が上がるという安心感はあるのかもしれないが、働かない高年齢層が給料が高いのは不満、また、同期の中での僅かな評価においても不満がある、というのが実態ではないだろうか。最近だと、中途入社がその年次によっていきなり自分より高額な給料という不満もありそうだ。残念ながら、本書に答えがあるわけではない。
ー 給与プログラムに手続き的正義と配分的正義の両方を備え、従業員はプロセスと与えられる金額、受け取る人の価値を信頼しなければ、会社が嫉妬と恨みの文化を見出す危険がある。また常に職場にいることが優れた業績と混同されている。
常に職場にいる事が優れた業績、というのは実感する所。結局、人の評価は印象論で決められているような気もする。ならば、昇格試験などをすればよいのではとも思うが、試験自体が目的化しそうで、多くの会社や社員もそれだけで決定する事を望まない。
- 従業員に公正な給与を支払えば、文字通り従業員は賢くなる。経済的な不安に悩まされていると、仕事中もそのことが頭から離れず、それに伴う精神的ストレスで機能的IQが13ポイントも低下する。全従業員の尊厳を守る文化を構築している企業では、同等の他の企業よりも株主への利益還元が20%高い。職場で男女平等に扱っている会社では、イノベーションが6倍増加している。上級管理職に占める女性の割合が50%の企業では、競合他社と比べて自己資本利益率が19%高い。
結局、自分を評価してくれる会社は良い会社で、それ以外は不満の種だ。マラソン大会のように、順位が見えるならば誰も不満は持たないだろうが、人の評価ほど難しいものは無い。この本では答えにたどり着けない上に、そうした不満が単に増長されるだけの危険性もある。給与交渉は、日本人には馴染みにくいだろう。変えていくべきか。変わらざるべきか。