あらすじ
25年あまりの短い生涯の間にきわめて感覚的で豊かな詩情をうたったイギリス・ロマン派を代表する詩人ジョン・キーツ(1795―1821).その主要な二詩集に,生前には詩集に収録されなかった拾遺詩篇を精選して収録.長篇物語詩,ソネット,オードなど,〈美の詩人〉キーツの様々なジャンルの詩の魅力にふれる一冊.
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Posted by ブクログ
キーツの詩集ですね。
ジョン・キーツ(1795~1821)
イギリスのロマン派を代表する詩人。
訳は、中村健二さん。
恋愛物語詩、叙事詩、書簡詩、ソネット、オードなど〈美の詩人〉キーツの様々なジャンルの詩が収められています。
『詩集』《ソネット》
Ⅳ 多くの詩人が………
多くの詩人が時代に華をそえている。
そのうち何人かは、僕の楽しい空想の
糧だったーー地上的なもの、崇高なもの、
どちらであれ、今もその魅力に思いを凝らす。
しばしば、詩を書こうと机に向かうとき、
それらが群がって僕の心に押し寄せてくる。
けれど、混乱も乱暴な騒ぎも
惹き起こすさない。
それは心地よい組み鐘(チャイム)なのだ。
夕べが蓄えている無数の音もまた同じ。
鳥の歌、葉むらのそよぎ、
川のせせらぎ、荘厳な音を響かせる
大釣鐘。それに認知の距離が奪う
その他無数のものが、乱雑な騒音ではなく
愉しい音楽を作っている。
《詩》「ナイチンゲールによせるオード」
8
もの寂しい! この言葉は僕をおまえから、
孤独な僕へ呼びもどす鐘の音のようだ。
さようなら! 騙し好きのエルフと世間は言うが、
空想は評判ほど上手に欺くことはできない。
さようなら! おまえの悲しい歌声は
近くの牧草地を通り過ぎ、静かな小川を越え、
丘のほうに上がっていった。今では次の谷間に
深く埋もれてしまっている。
あれは寝てみる夢だったのか、
それとも白昼夢だったのか?
音楽は消えてしまった。
僕は目覚めているのか?
眠っているのか?
《詩》「秋によせる」
Ⅰ
霧と甘い熟成の季節よ、
成熟する太陽の親しい友よ、
おまえは彼と謀りごとをめぐらす、
茅葺屋根の軒をつたう
葡萄が、どうすれば実をたわわにつけられるか。
苔むしたコテージの木をどうすれば
林檎でしなわせ、
全部の実を芯まで熟れさせることができるか。
瓢箪を膨らませ、榛の殻を甘い仁で
太らせ、遅咲きの花々に蕾を
次々につけさせ、蜜蜂に
暖かな日々に終わりはないと思わせられるか。
夏が彼らの蜜房をねっとりと
溢れさせてしまっているのに。
豊かな詩情とロマンが溢れる、美しい詩集ですね。
わずか二十五年の生涯で、これだけの魅力的な詩を遺せたのは奇跡に近いですね。
芸者の秋を満喫しました(=゚ω゚=)