【感想・ネタバレ】真夏の甲子園はいらない 問題だらけの高校野球のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

私は中学までは野球少年だったが、高校ではアルペンスキー部、その後もトライアスロンや自転車ロードレースなど日本ではあまり馴染みのない競技しか好きになれなかった。それ故に甲子園や箱根駅伝だけに異様なまでに熱狂する日本人が奇異に思え、日本の未来のためにもこれらの宿痾は改めるべきだと思っていたので、本著の提言にはほぼ賛同する(夏休み中の開催と、トーナメント制は現状でも良いと個人的には思う)。

私が甲子園が日本の青少年にとって一番弊害だと思うのは、本来は野球以外の競技の方が適していたにも関わらず、日本では野球が一番ポピュラーであることから、或いは身近な人から野球を勧められて何となく野球を始め、身体的才能があるせいで野球でも頭角を現し、十代の一番大事な時を野球漬けで過ごし、結局は肘を痛めてその後のアスリート人生を台無しにすることである。

もしかしたら彼には野球ではない他の競技でオリンピックで金メダルを獲れる才能があったかもしれない。しかしスポーツ万能の彼に対し、周囲の人々は野球かサッカーなど日本でポピュラーな種目しか勧めない。その辺のところを、スポーツは見るものだとしか思っていない人々は自戒すべきである。

とにかく、高校球児や大学生ランナーはエアコンがガンガン効いたリビングで寝転ぶ人々の見世物ではない。何より20歳そこそこで燃え尽きてはいけない。スポーツ科学が確立している今となっては、特に持久系のスポーツなら40歳でも続けられる(種目によってはその辺をピークにすることさえ可能である)。

改革が必要だ!

以下に印象に残った記述をランダムに
※本文そのままの引用ではなく、勝手に自分の言葉で言い換えているので悪しからず…

野茂英雄がアメリカに渡った1995年当時、MLBとNPBの市場規模は1500億円位で同等だった(13頁)

朝日新聞社は1911年に「野球害毒論」と称して野球をバッシングしていたが、1915年に掌を返すごとく夏の甲子園を主催した経緯がある。この時点から矛盾だらけだったし、批判精神や制度改革は一切しなくなったんだろうなぁ


日本のスポーツには「スポーツそのものが目的ではない」という考え方が色濃く残った(加納治五郎が「人格形成の手段」と捉えたことが大きな要因らしい)。
Jリーグは日本で初めて「スポーツ以外の別の目的を持たない」団体である。

多くのマスメディアがスポーツをスポーツ以外の目的(自社やスポンサーの宣伝、感動をありがとう効果)のために利用している。

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2023年07月06日

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