【感想・ネタバレ】蕎麦屋の恋のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

二冊目の姫野カオルコである。
当時小学生の頃、購読していた雑誌で推薦されていた『変奏曲』を読んで(あれは小学生が読むべき本ではまったくなかった)以来。

あらすじを読んでこんなしっぽりした話を書くのか、と思ったけれど、案の定淫靡なテンションの作品だった。
具体的な描写はないけれど。

表題作の『蕎麦屋の恋』は、43歳のサラリーマンと30歳の料理人を目指し脱サラした女が親密になっていくまでを描いている。
二人は京急線ユーザーで互いに存在を知っていて、ふとしたきっかけで言葉を交わすようになる。
ただ二人が接触するのは後半部で、男女それぞれの過去に起こった出来事を掘り下げている。

男はなんでそんなに?というほどモテる。
彼に魅力を感じきれず、なんか違和感があった。ここまでモテる設定にしないほうがよかったのではないかと思う。
女の方は、父親の歪んだ教育観に多大な影響を受け、”TVを誰かとみる”ことに異様なほど価値を置く。
恋愛というもの、女性であることがピンときていない感じの女と、プレイボーイの男(と彼がこれまで出会ってきた女達)のズレがよかった。
ただ、タイトルは『テレビの恋』の方が内容的に正しいのではないか。まったく風情はないけれど。

『お午後のお紅茶』
バイセクシャルの美容師が自身の過去を振り返る物語なのだが、”ポプリ”という名で自然派を気どりながらもポーズだけで中身がズレているレストランとその女店主の滑稽さを描いている、らしい。
というのも解説を読んで、ああそうなのかと思ったから。
こういう系の物語はイマイチピンと来ない。

『魚のスープ』
結婚三年目の夫婦がスウェーデン旅行をする話。
夫は”平均的ないい夫婦”である自分と妻の現状に満足していて、そろそろ子供も作ろうと思っているが、それは妻への愛情や子供への欲求よりも”あるべき姿”になることを求めている印象がある。
その理由が物語でわからなかったのがイマイチ入り込めなかった。
スウェーデンに赴任している女友達との微妙な綱の引き合いと、妻への覚めた目が印象的だった。

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2014年04月14日

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