あらすじ
ルールを作る、ルールを守る、ルールを破る、ルールに違反する――。行動の不確実性を少なくして、社会を秩序立てるために、私たちの社会にはルールがある。人々にとってルールは「常識」とも言えるかもしれないが、ルールを言語化・可視化して体系的に整備して知識として蓄積することはいかに可能なのか。
自然法則を対象とする自然科学に対して、社会学は規則=ルールを対象にする学問であると位置づけ、私たちの日常生活や所属する組織にある細かな規則から社会全体のルールまでを評価する視点やその意義を描き出す。
本書はルールとゲームの関係性など、基本的な視点を身近な事例から確認したうえで、規範理論や機能主義、構築主義、エスノメソドロジーなどの社会学の理論と本書の「ルールの科学」を突き合わせて丁寧に検証する。さらに、差別論や社会学それ自体にこれまでの議論を応用して、ルールの科学の射程を明らかにする。
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Posted by ブクログ
社会学についての本は初めてだったんだけど、結構楽しめた。
確かに大学生時代を振り返ると「社会学部」って特に何をしているかよく分からない学部だった(一番は国際コミュニケーション学部だったけど)。
「学」である以上、学問であり、なにか社会に貢献しなければならない。まぁ別にしなくてもいいんだけど、お金を貰っている以上何かしらの結果は必要なわけだ。
ただ、「社会学」はその部分が曖昧で、グランドセオリーなるものすら無いというのはちょっと驚いた。つまり共通目的が無いんだな。おいおい……。
筆者はここに「ルールの評価」を目的としていて、個人的にはだいぶ賛成できた。ルールが作られるのは「目的」のためであり、作られる以上それが「共有」されなくてはならない、というのはなるほどという感じ。前者はともかく後者は中々掴めないことだし、これを言える人は凄いと思う。
極端な話、みんなが守るならルールなんかにしなくて良いので、行為を禁止するためでなく行為自体に境界を引くイメージがわかりやすい。だから破った人間は共同体から排除される。つまり村社会のイメージだ。(そして「村八分」なんかも完全な排除ではないあたりルールの緩衝性を表している)
目的/ゲームの下りはどこかの哲学者を思い出していたけど、あとがきでウィトゲンシュタインの名前が出てやっぱりなー!となったり。この人、ホントどこにでも出てくるんです……。