【感想・ネタバレ】びんぼう草のレビュー

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Posted by ブクログ

小学生のころに読んで、懐かしくなり読み返してみました。
すごく記憶に残っている小説です。
色々な『お年頃』の女性が主役の短編集です。
女性に対する結婚・出産・仕事に対するありがちな周囲のプレッシャーを群ようこさん独特のタッチでやり過ごしている皆を読みながら応援していました、、、小学生なりに笑
周りはあーだこーだ無責任に言ってきても自分はこれでいいのだ、と頑張りすぎずに生きる皆の姿にほんの少し元気をもらったり。
なんか妙に共感してしまっていたあの頃ですが、読み返してみてもあの時とあまり変わらない感覚で物語を受け取っていました。
定期的に読みたい作品です。

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2024年03月29日

Posted by ブクログ

男もキライ、女もキライ、常に考え方が卑屈。

至る所にそんな文章。
だけれども、誰しも心の中にありそうな感情で、少し面白可笑しく表現されているので読んでしまう。

『そうならない』ためのヒントを私は探しているのかな。と思う。
だから群さんの本は読みたいのだ。

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2024年01月19日

Posted by ブクログ

『今まで同居したもののなかでシジミは最高だと、この部屋の主の ひい子は思っている』。

  (*˙ᵕ˙*)え?

『同居』という言葉はどういった場面で使うでしょうか?普通には同じアパートに他の人と一緒に住むなど誰かと一つ屋根の下に暮らす場合が思い浮かびます。ただ、少し小洒落て動物と共に暮らす、もう少し言えば動物を飼うといった場合にもギリギリ使えそうには思います。

しかし、飼うという言葉まで広げても犬や猫、熱帯魚ならまだ分かります。まさか『シジミ』を飼ったことのある人はいないでしょう。食材として好物な人も多い『シジミ』。そんな『シジミ』を飼う、『同居』するということなど普通には思い浮かばないと思います。

さてここに、そんな普通ではない『シジミ』と『同居』する主人公の日常を描いた短編が収録された作品があります。『V字型に出水管、入水管を精一杯伸ばしているのを見ると、シジミが殻からピース、ピースといっているようだった』と『シジミ』と『同居』する主人公が興味深く描かれるこの作品。”昭和の香り”にどっぷり浸れるこの作品。そしてそれは、群ようこさんの魅力を存分に感じることのできるほっこりとした物語です。

『みんな、どういう気持ちで電車に乗っているのかなあ』と大嫌いな『満員電車』の中で『よたよた』するのは主人公の『私』。就職した広告代理店の『私以外みんなお洒落』という雰囲気にも馴染めない『私』は、『こんな生活、もう嫌だ』という中に三ヶ月で会社を辞めました。『これで嫌になるほど本が読める』と喜んだ『私』でしたが、『資金繰りでけっつまずいて、退職後わずか半月で』『新聞の求人欄を眺める日々を送るように』なります。『普通の会社にいけば、あの満員電車という修羅場が待っている』、『それでは何の意味もない』などと、『毎日ウダウダと考えているうちに、預金はどんどん減っていき、キャッシュ・カードではおろせない、三百二十三円だけが残』りました。『自主的に失業したくせに、いざ金に困って仕事を捜すとなると、ああだ、こうだと理屈をつけて、のらくらしている』自身を振り返り、『どうしてこんな性格になっちゃったんだろうと』思う『私』は、『きっと、先祖のグウタラなピテカントロプスの血が、私に遺伝したんだわ』と考えます。そして、『学校にいく弟に、「ちょっと。六百七十七円貸して」、「それくらい持ってるでしょ。今日返すからさあ」』としつこく言う『私』に、弟は『六百七十七円ぴったりを私の手のひらにのせ』ました。そんなお金を持って銀行へと向かった『私』は、『窓口のお姉ちゃん』に入金を頼んだ後、『現金自動預け払い機に走っていき、カードで千円を引き出し』ます。『失業者にとっては明日の五百円より今日の三百二十三円』だと思う『私』は、『これで文庫本が一冊、あるいは二冊も買える』と思いますが、結局、『安くて長期間楽しめる岡倉覚三の「茶の本」を買って帰』りました。そんな翌日、『いつものようにパジャマ姿で求人欄を眺め』る『私』は、『週刊日本の女性記者募集』と『ニッコリ製菓の企画室』というふたつの『心そそられる求人を見つけます。二つの中で『完全週休二日制、残業なし。勤務時間は十一時から十八時まで。そして準社員でありながら、日給が六千円』という『ニッコリ製菓』の『待遇の良さ』により惹かれた『私』でしたが、『こういう普通の会社だったら、普通のOLみたいな格好をしなきゃいけないのかな、と不安にな』ります。そして、『つかぬことをおうかがいしますけど…。あのー、おたく様では会社に行くのに、服装のきまりとかはあるんでしょうか』と電話します。それに、『いいえ。そういったものはございません』と言われ履歴書を買いに走った『私』。『週刊日本』の試験で落とされた『私』は、翌日『ニッコリ製菓』の『会社説明会』へと赴くと案内された地下の部屋には『すごい数の女の人が』います。そこに『やたら愛想のいい団子鼻の若い男が書類をかかえてやってき』ました。『私、人事部のコニシでございます』と手慣れた口調で話し始めた男は『早速ですが、みなさんに簡単な知能テストをしてもらいますので、よろしくお願いします』と『にこやかに笑いながら、用紙を配りはじめ』ました。『きょうは、説明会ということでやって来たんです。それなのにテストをするなんて、ちょっとひどいじゃありません?』と部屋の中はざわめきます。そんな中に『ズルいと思います』と『ヒステリックな女』が喰い下がるも『そう思われるんだったら、テストを受けずにお帰りいただくしかないですね』と答える男に沈黙する女。それを見て、『今まで悪態をついていた小悪人が、とどめに水戸黄門の印籠をつきつけられた、というかんじだった』と思う『私』。そんな『私』のそれからが描かれていきます…という最初の短編〈満員電車に乗る日〉。なんともユニークな雰囲気感の中に『私』の直向きさが光る好編でした。

“笑って、心がスッキリ楽しくなる小説集”と紹介されるこの作品。それぞれが完全に独立した七つの短編から構成された短編集となっています。そんな七つの短編は確かに繋がりは全くありませんが、”笑って、心がスッキリ楽しくなる”という言葉どおりの読んでいてなんだかクスッとなる作品にまとめられています。そして、そんな作品で特徴的なのは、七つの短編に色濃く感じられる”昭和の香り”です。私が読んだのは2016年刊行の文庫本ですが、その元となる単行本は1990年刊行です。そのためこの表現は当然とも言えますが現代に過去を振り返って書かれたものでなく、その時代そのままに書かれたものが故の自然な昭和感が伝わってきます。分かりやすいところで三つほど抜き出してみます。まずは、『私鉄沿線の小さな駅のそばに』あるという『レコード店』を通りかかった主人公という場面です。

  『休みの日の昼間、前を通りかかると、光GENJIと南野陽子と中森明菜の曲が三交替制でかかり、夜になるとそれがテレサ・テンと五木ひろしと瀬川瑛子になった』。

『私鉄沿線の小さな駅のそば』に『レコード店』があるというところで、現代からはお伽話のような風景ですが、音楽にも時代がよく現れています。レビューを読んでくださっている方の中にも懐かしい!と思われる方から、誰?知らない!とおっしゃる方まで反応が分かれそうですね。次は『デパートの屋上』が登場します。

  『二十何年ぶりでいったデパートの屋上には、子供が喜びそうな乗り物がたくさんあった。どれもこれもとても精巧にできている』。

そもそも『デパート』という言い方もあまりしなくなった昨今、そんな建物の屋上に『子供が喜びそうな乗り物』があるという光景。そこには、『タクシーは前後に動き出した。ただそれだけの代物である』という『乗り物』が描かれてもいきます。ノスタルジックという言葉が似合いそうにも感じるシーンです。そして極め付けにこんなシーンが登場します。

  『学校の検便で ひい子の隣りの席のさぶちゃんに虫がいることが判明した』

『検便』という言葉自体衝撃的ですが、この場面では『隣りの席のさぶちゃん』に『虫がいる』ことが『判明』という唖然とする他ない描写です。しかし、さらに強烈なのはこのシーンを主導する主人公の ひい子は『寄生虫』に興味を持っているという設定です。

  『ねえ、どんな虫がいたの?おなか痛くなあい?その虫見たことある?何がいたのかなあ。さなだむし。かいちゅう。ぎょうちゅう。どれかなあ』。

そんな風にさぶちゃんに語りかける ひい子…と展開していきます。なんともシュールとしか言いようのない場面。こういった昭和を感じる光景があまりに自然に登場するこの作品は、上記した通り、現代に過去をテクニックで描写していくものではなく、その当時に書かれたからこその自然体な表現が何よりもの魅力です。これから読まれる方には、抜き出しだけでは決して伝わらないリアルそのものな時代感を是非楽しみにしていただければと思います。

では、次に七つの短編から私が特に気に入った三つの短編をご紹介しましょう。

  ・〈シジミの寝床〉: 『今まで同居したもののなかでシジミは最高だ』と思うのは主人公の ひい子。『予算と広さで』『建物の半地下』に暮らす 『フリーランス・ライター』の ひい子はある日、『東京から電車で三時間』という場所にある伯母の家を訪れました。『裏の川に行って、シジミを獲ってきてくれない』と頼まれ、『こんなところに』という川にシジミを見つけた ひい子はザルに『山盛り』のシジミを獲ります。そして、お土産に持たされた ひい子は『ステンレスのボウル』にシジミを開けます。そんな夜中、『カツカツ』、『プチュン、プチュン』という音がして、シジミのことをさまざまに思い浮かべる ひい子…。

  ・〈胡桃のお尻〉: 『ブービーブービー』という『アパートのブザー』のうるさい音に『不機嫌丸出しでドアを開け』たのは主人公の『私』。そこには『荷物を持った宅急便のお兄さんが立って』おり『すみません。お隣りに荷物なんですけど、いないみたいなんで預かってもらえませんか』と言われてしまいます。『「石鹼」、差出人/本宮とま子と書いてあ』る荷物を『ええまあ、いいですけど…』と預かった『私』は夜届けに行きます。しかし、一度で終わらず『二週間に一度の割で』繰り返し届く宅急便。ある日曜日、『うちに遊びにいらっしゃいませんか』とにっこり笑う隣人の部屋へと誘われた『私』は…。

  ・〈ぶー〉: 『更年期をむかえてヒステリー症状が出始めた母親の命令により、買物にいかされた』というのは主人公の『私』。そんな『私』が買い物を終え帰ろうとすると、『子供たちが騒いで』おり、その中の『ひとりの男の子が細い竹の棒で何かをつっついてい』ます。近寄るとそこには『白地に黒いぶち柄の子猫』がいます。『かわいそうじゃない』と注意する『私』に、『こいつ汚くてのろま』、『自分で動こうとしない』と返す子供たち。『誰も飼わないの』と訊くと、それぞれに理由を口にする子供たちに『おねえさんがこの猫もらってくね』と言うと『子猫を抱き上げ』ます。そして始まった『私』と猫の生活…。

三つの短編を取り上げましたが、どの短編も日常の中の一コマを取り上げた物語であることがお分かりいただけると思います。一つ目の〈シジミの寝床〉では『シジミ』と共に暮らす主人公 ひい子の日常が描かれていきます。そもそも『シジミ』を部屋で飼育するということ自体普通には思い浮かびもしませんがとてもユニークかつ『シジミ』の生態の細やかな描写にも興味が惹かれます。群さんも実際に飼われたことがあるのかなあ?そんな興味も湧きます。二つ目の〈胡桃のお尻〉はお隣に届いた荷物を『宅急便のお兄さん』に預けられるということが物語の起点になりますが、今の時代、お隣さんに届いた荷物を『宅急便のお兄さん』が預かって欲しいと言ってくること自体ありえないと思います。こんな日常の一コマにも時代を感じます。そして、三つ目の『ぶー』は、ひょんなきっかけから猫を飼育することになった『私』の物語が描かれます。短編タイトルの〈ぶー〉で予想できますが、そんな猫は『「もうちょっと何とかして欲しかった」という顔立ち』と『私』が思うそんな存在です。そんな物語は予想以上にほっこりと展開していきます。猫好きでいらっしゃる群さんの猫好き度合いを垣間見る好編だと思いました。

  『すさまじい音をたてながらローラースケートでやってきて、「光GENJIかけてよぉ」といいながら店内で勝手に踊りだす小学生の男の子たち』

1990年に刊行されたこの作品には、当時の時代感をさまざまに感じさせる味わい深い七つの物語が描かれていました。思わずクスッと笑みをもらしてしまうゆるく軽い物語が束の間の幸せな読書時間を提供してくれるこの作品。猫好きでいらっしゃる群さんの猫を見る優しい眼差しを感じるこの作品。

兎にも角にもほっこりした小説が読みたい、そんな貴方に強くおすすめしたい作品でした。

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2023年12月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

7つのお話からなる短編集。
なんだか懐かしい雰囲気が漂う。
阿部寛さんがメンズノンノモデルのときかしら?ナンノちゃんや浅香唯ちゃんなどがアイドル全盛期のころかしら?
そういったワードがちらほら。

そして、たくさんの個性的な人たちが出てくる。少し前に読んだ『パンとスープとネコ日和』とはちょっと違う、より"我"の強い、年齢も様々でパンチの効いた登場人物多めだった。

「友だちの子供」のタカシくんがなにしろ強烈なキャラクターで親泣かせ。
私も子育てでヘトヘトになってた時期はあったけど、そこまではなかったよ…と思った。
その話の最後に"私のほうが幸せ"という文章があったけど、読者にもそう思わせる作戦だったのかな、群さん。

働くことも大事だけど、自分を見つめ直す息抜きの時間も人生には必要だよね。
そしていろんな人がいて、いろんな考えやクセがあるんだって広い心を持ちたい(だからといって全てを受け入れるわけではなく嫌いなものは嫌いと言っていい)。

解説は内田春菊さん。お子さん4人いらっしゃるんですね!たくましい!

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2022年02月03日

Posted by ブクログ

読み始めて群さんの本なのに失敗したかな?と思ったけどなんのなんの(^。^)猫好きだからか、「ぶー」がサイコー。次は、「おかめ日記」あんなに口悪くはなりたくないけど凛としたばあちゃんになりたいものです。内田春菊さんの解説もよかった。

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2016年12月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

30年前に書かれた本(1990年11月単行本刊行)なので、平成生まれの人にはちょっと理解出来ないかも。
あの時代のサラリーマン、BG(ビジネスガール。OLの前身)が働く環境、当時流行った(?)訪問詐欺、カセットテープ、ビデオデッキ…昭和だ…。
周りに流されない、自我を持った、個性的な女性ばかりで面白かった。

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2021年06月26日

Posted by ブクログ

小さい小さい日常の断片を切り取って見せた作品。
人間生きてりゃ嫌なことなど毎日あるのさ。それをスルーできるように自分自身が変わるのが一番いい。

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2018年07月31日

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