あらすじ
■なぜ、ブームとバストは何度も繰り返し生じるのか? なぜ、あるバブルは経済的にも社会的にも政治的にも壊滅的な結果をもたらし、なぜ、あるバブルは社会に恩恵をもたらすのか? バブルを生み出す必要十分条件とは何か?
■この答えを見つけ出すために、本書は魅惑的なバブルの旅へと読者を誘う。1720年代のパリとロンドン、1820年代のラテンアメリカ、1880年代のメルボルン、1920年代のニューヨーク、1980年代の東京、1990年代のシリコンバレー、2000年代の欧米、上海・深センへの旅だ。
■金融史・経済史の研究者が、「合理性」「不合理性」という従来の議論にとらわれず、バブルの規模、経済全体への影響の度合いを基準に、世界史上の巨大バブルの原因と帰結を明らかにし、教訓を指し示す。そしてバブルには、イノベーションを促し、企業や組織、経営者を淘汰し、社会に恩恵をもたらす「良いバブル」もあると説く。
■さらに、バブルは投資家、投機家が新しい技術や政治的なイニシアティブに反応することから始まるとし、将来のバブルを予測できることも示す。実証的なアプローチでバブルのメカニズム解明に迫る魅力的なバブル論。
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Posted by ブクログ
金融バブルを引き起こす3つの要素を、火事にたとえてバブル・トライアングルという概念にまとめている。
火事でいう酸素、燃料、熱にあたるものは以下のように整理されている。
■酸素
市場の流動性。取引や資産移転が容易になることで、市場の買い手と売り手が増えることに端を発する。過剰な流動性が危険をうむ。
■燃料
通貨と信用。低金利と金融緩和が資産価格を押し上げる。
■熱
投機家。投資初心者も投機家となることでバブルが形成される。
■火花
バブルの火を焚き付けるものの共通化は難しい。
技術革新や政策誘導が引き金になることがしばしばだが、いつ始まりいつ終わるのか、何が火花になるのかは、バブルが弾けるまで分からない。