【感想・ネタバレ】ふしぎなふしぎな子どもの物語 なぜ成長を描かなくなったのか?のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

各アニメの第1話のチェックは欠かせない僕にとっては,この本は待望の一冊。児童文学者という第三者から眺めるサブカルの社会的評論。マンガや小説だけではなくて,ゲームや児童文学(作者のホームグラウンド)をも射程に入れているのが素敵。個別の作品に変に熱くなっていないのもいい。この分野に興味があれば,面白く読める。
個人的にすごく感動だったのが,僕がなぜガンダム(そしてその子孫的作品のエヴァンゲリオンとかにも)にはまらなかったのかについての理由を見つけられたこと。ひと言で言えば,成長の味を探してしまうから。マニアックな作品世界にはあまり興味がないから。僕は元来アニメ志向というより,ゲーム志向。ガンダムの血を受け継いているはずのワタルをピンポイントで受け入れたのも,同作品がRPG的要素を持っているから。RPGでさえ成長が見えなくなっている今,僕のゲームに対するスタンスが微妙になっているのもここに理由があるのかもしれない。
ただ,ちょっと残念なのは,この本には触れられていない部分があること。それは「スポーツ」ものや「部活」もの。これらのカテゴリーの作品は,最終的に負けることがあっても,今でもなお成長(勝利)抜きで語るのは難しい。今でも健在なカテゴリーだけに,作者の見解を聞きたい(聞きたくなってしまう)。

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2019年01月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

児童文学だけではなく、テレビゲーム、テレビヒーロー(特撮)、アニメ、漫画も射程にいれて、子どもを描く物語が成長を語らなくなったのはなぜかを解き明かしていく。
膨大な数のメディアの中で、流布したもの、人気を博したものをピックアップして、近代社会が内包していた、大人と子どもの差異の現象が、情報の肥大化の中で、進んでいった結果であると分析する。その差異がなくなったとき、子どもの物語は全く別の物語となり、もしかしたら必要がなくなってしまうのかもしれない、とする。

児童文学作家でもある筆者が出した分析である。価値の変質に気づいている作り手がおり、それを問題提起していることが重要なのかもしれない。

それぞれの分野でサブカルとして分析している研究者は多いが、「子どもを描く」という視点で貫かれていて、なおかつ、読みやすく構成されていた。それぞれの分野の専門家にとっては、納得しがたいところもあるかもしれない。筆者の描いた構図におさまりきらない作品も数多く存在する可能性も高い。(たとえば、アニメではロボットアニメ以外、『銀河鉄道999』などはどうするのかな、とか、少女漫画にもその傾向は残っていて、ヒットしているものもあるけれど、などなど)
反例も含めた内容もうかがってみたい。

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2012年06月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

≪目次≫
1章  テレビゲーム
2章  テレビヒーロー
3章  アニメ(男の子編)
4章  アニメ(女の子編)
5章  世界名作劇場
6章  マンガ
7章  児童文学
8章  子どもの物語が示すもの

≪内容≫
様々なメディアを通して、子どもの物語の世界に起こっている変化を読み解こうとするもの。
者は、従来の物語は、”子どもが大人になっていく”物語だったというが、社会の変化(というのが一番ラクか)の中で、ヒーロー(ヒロイン)はその立ち位置を見失っている。それは、大人が「大人」ではなくなったから?大人と現代の子供の差異が減ったから、と著者は言います。だから、子どもの物語が、王道を走れなくなったのだと。
ただ、近代社会は「大人とは何か?」「成長しなければならないのか?」を問わない社会であり、「成熟した大人、成熟しない大人、大人にならないままの大人、大人を放棄した人、そうした様々な道筋が、子供が育とうとする先に見える社会こそ、本当の近代社会だと考えていいのではないか」っ著者は言っています。

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2012年03月06日

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