あらすじ
『フィナンシャル・タイムズ』『サンデー・タイムズ』『エスクァイア』などの2022年ベストブックに輝いた話題作、待望の邦訳。
トランプの大統領選再出馬は2度目の南北戦争を招くのか。
アメリカを代表する政治学者による20年に及ぶ徹底調査と歴史的な分析。
世界中で「内戦」が急増している現状とその原因、アメリカでも内戦が勃発する潜在性が高まっている状況を読み解き、警告する。
アメリカ、そして世界に衝撃を与えた「Qアノン」扇動による2021年1月に発生した前代未聞の連邦議会襲撃事件。トランプ政権時に進行していた市民分断の最終章とも言えるようなこの事件は、今後の本格的な党派闘争の序章になるのだろうか。
内戦を専門とする政治学者が、過去の内戦に関するデータから、イラク・北アイルランド・インド・フィリピンなどを具体事例として、紛争が発生する契機と紛争が起きる条件と心理についてのパターンを分析。
また、現代の紛争を拡大・激化させるソーシャルメディアというツールについて考察することで、アメリカの内戦の危機接近度を明らかにしていく。
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Posted by ブクログ
ポリタスTVでも前嶋 和弘教授が本書を紹介。内戦研究を専門とする著者がどのように内戦が起こるのかメカニズムを解説。今のアメリカは分断が臨界点かもしれない。大統領選挙が終わってまたぜひ読み返したい。
人間は従来持っていた特権を失うことを何よりも恐れる。気候変動によってこれまで住んでいた土地追われ資源を失った人々が新たな土地への流入によって緊張が高まり、また資源の奪い合いによって内戦が頻発する可能性が高い。本書でも指摘あり。
Posted by ブクログ
2年前の本のようだが、今こそ読んでもらいたい。思ったよりもアメリカは深刻な状況のようだし、欧州も大差なさそうだ。日本は本当に平和だと思う。民族や宗教がなぜこんなにも人を分断させるのか。つくづく日本は平和だし、逆に心配になる。アメリカを理解したい人には必読。
Posted by ブクログ
他国の民族紛争の研究とその研究をもとにアメリカでの内戦の可能性を検討した書籍。
正直最初はアメリカで内戦? と思ったのだが、白人比率が低下してきていることなど、新たな知見を得られた。日本だとまだここまで至らないだろうし(主に言語要因で)、日本は日本でどのようにインバウンド含め他言語話者を包摂していくかは検討が必要だろう。
Posted by ブクログ
内戦の起こり方や世界情勢が描かれている。
さらに現代のSNSや民主主義、資本主義について論じ、近年の内戦がなぜどのように起こったかわかる。
さらにそれに対して、アメリカの現状をアメリカ人視点で描かれており、悲観的になるだけで無く建設的な論が展開されて、次のあるべき姿へ向かっている姿勢に希望を持てた。
その中で
①法の支配
②言論の自由と説明責任
③政府の能力
この3つが民主主義国家では機能するかが重要だとであるとのこと。
他にも内戦が起こるプロセス十段階や、アノクラシーレベルなど、客観的かつ構造的な表現が多く非常に理解しやすい本であった。
Posted by ブクログ
性急な民主主義への転換が内戦を誘発したという数多の実例。一方で成熟した民主主義国家が内戦に陥いる危険性。「理想的」と思われている民主主義が実際には危ういバランスを保ちながら継続していかねばならない政治形態であるということが説得力を持って語られている。民主主義の伝道者を自認しているアメリカ合衆国が今まさに内戦の危機の最中にあることが分かってくる。
Posted by ブクログ
前半は、過去の各国内戦の事例研究を元に、内戦が発生する一般的メカニズムを解説。後半は、そのメカニズムに照らし合わせて、アメリカの現状が内戦への過程にあるのか、あるとしたらどの程度の危険性なのかを論じている。個人的には、前半が面白かった。
前半、内戦へ至る一般的な状況として、専制でもなく民主主義でもない中間の状態(アノクラシー)が危ない、というのが示される。納得できる分析。これは、専制政府が弱体化して民主化機運が高まる過程、あるいは民主政府が腐敗などで国民の信頼を失っている状態。この状態で、アイデンティティの問題で、人種・民族・宗教などで派閥ができてしまうと危険。さらに、権力層から「格下げ」される派閥の危機感が煽られたり、虐げられている側に正当な方法で権利が得られる希望が無くなった時には、内戦まっしぐらという感じ。(雑な要約)
後半のアメリカの現状としては、没落した白人層に不満が溜まっており、分断が進んでいる様が解説されている。内戦に至るプロセスでも、かなり進んでいると分析されており、著者の危機感が伝わってくる。その分断に一役買っているのがSNSだとも書かれており、SNSは人類には早すぎたな、という印象を強くするなどした。