【感想・ネタバレ】職場のメンタルヘルス・マネジメント ──産業医が教える考え方と実践のレビュー

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Posted by ブクログ

産業医の目線で書かれたメンタルヘルスマネジメント。臨床医として病気をどのようにして治すか、ではなく、産業医として業務を継続できるか(業務に復帰できるか)を主眼にしてまとめられているので、まさにマネジメントの視点から参考になるところが多い。労働者側と会社側で利害が対立するポイントなども綺麗事とせず率直に書かれていて信用できると感じた。

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2023年05月22日

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健康経営を実践する全管理職必読の本。
メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種の勉強をしたが、職場での実践方法について腑に落ちないという人に特にオススメである。具体的に書かれている上に、判例・裁判例がわかりやすく紹介されている。「日本産業保健法学会」の存在もこの本を通じてはじめて知った。

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2023年03月31日

Posted by ブクログ

職場で部下のメンタルヘルスに気を配る必要性からこの本を手に取りました。

冒頭で見かけた「無理を引き受けるとすれば、それは会社」というフレーズが強く印象に残りました。この言葉は、多くの人々が職場で抱えるプレッシャーとストレスが自責的に作用してしまう現実について深い理解を表している気がします。ここを勘違いして、「仕事のために自分の人生を台無しにしてはなりません。」

第1部では、職場で明日から行える具体的なアドバイスが紹介されていて、とても実践的だと感じました。特に第2章では、特に上司が部下に対して普段からどのように接するべきか、ケアを提供することの重要性が説明されています。

第2部では、気質・性格・人柄の違いに始まり、抑鬱状態やパーソナリティの歪み、不眠、ストレスなど、多様な心理的な問題について解説されています。これらの問題が発生する理由や、それらを克服するための対処法(克服できないものはどのようにアプローチすべきか)が掲載されていて非常に役立ちます。

第3部では、職場におけるメンタルヘルスのサポートについて説明されています。そのため視点が上がって制度を俯瞰する形になっています。残念ながら状況が悪化して休職しなければいけないこともあるでしょう。そんな場合の復職までの流れ、法令はどのような保護を用意しているのか、産業医の役割などが職場をベースに記述されています。

肝心なのは「ちょっとヘン」と感じた段階で周囲がサポートすること。上司が一人で抱え込むと抑鬱状態になってしまうこともあるから、更に上司を巻き込んだり、人事や産業医とも協働しながら本人が本来の能力を発揮できるように力を尽くす。これらが本書から学んだ内容です。本書は産業医として長年現場を見てきた著者だからこそ書ける、理論的な内容だけでなく職場での実践法を含んだ素晴らしい本です。

一つだけ物足りない点があるとすれば、「ちょっとヘン」な段階で、部下や同僚とどのように接するべきなのかが書かれていないところです。日常での接し方は第1部によく書かれていますが、危険になってきたときの対処法は産業医や人事に相談しましょうとしか書かれていないのです。現実の職場では産業医が名目だけで機能していないケースや人事の関与が期待できないケースもあると思います。あるいは本人が拒否することも考えられます。大事にされるのを懸念することもあるでしょう。そんななかで本人が退職や最悪な手段に至らないように現場がどのように立ち回るべきかが知れると、より具体的で実践的だなと思いました。

とはいえ全体としてスッキリしていながらとても充実した内容の本です。職場のメンタルヘルスについて考える必要がある人がまず最初に取るべき本としてお勧めできます。

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2023年04月03日

Posted by ブクログ

職場での働き方、職場で見かける精神状態、職場の制度、そして産業医やその周辺の職務に携わる職種について理解できる。
世間で健康経営が叫ばれるなか、まだまだ浸透していないところもあるだろう。
産業医として企業で勤務経験のある著者が、現在の日本で必要な健康経営について記しており、知識としてとても得るものがあるのだが、最も驚いたのは「しょせん仕事はマスカレード(仮面舞踏会)なのですから」という箇所だった。好きなことを仕事にしたい、自分の思うように仕事をしたい、やりたくないことはしたくない。個性を尊ぶ口ぶりの世間に対して、実際は画一的で非個性が良しとされる職場がいかに多いことか。仕事はその役割を演じる(マスカレード)ことだとされた場合、その意図をどう捉えるかは世代によって異なりそうだ。

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2024年05月05日

Posted by ブクログ

長く会社という組織にいると、メンタルを病んでしまう同僚、部下に多数遭遇する。メンタル不調に至らないまでも、人間関係に悩んでストレスや不満を抱えたまま働いたり、エンゲージメントを損なったりしている人がどれだけ多いことか。

会社人のウェルビーイングの向上って、日本の社会や経済のパフォーマンスを上げるために最優先すべき課題だと常々感じていることから、産業医の目線で職場のメンタルヘルスマネジメントを論じたこの本を一読してみた次第。一般向けに書かれたこの手の本ってなかなか見当たらないので。

第一部は、会社人の合理的な働き方について。勤務とはあくまで契約である。会社の業務において個人の責任には限度があり、上司(管理者)であっても雇用されており有限責任である。労働契約法において会社には安全配慮義務があることが定められている。労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をしなければならない。一方で、労働者側にも労働安全衛生法上の自己保健義務がある。酩酊状態で出勤したり、感染症が流行しているときには感染しない・させないための行動が求められる。健康診断の受診義務もある。

第二部は、人の心理の特性および職場で見られる精神症状の解説。人の心理特性は、気質・性格・人柄に構造化され、一般にはあまり違いを理解せずに使用される、自閉症、発達障害(神経発達症)、パーソナリティ症、抑鬱、自律神経失調症、適応障害などの用語がそれぞれ示す状態や病理が解説される。主治医が書いて会社に提出される診断書の診断名も、実は明確ではなく、産業医としてそのバックグラウンドを含めた解釈が必要になるものだというのは知らなかった。また、健常者と自閉症者は二分されるものではなく、グラデーションのように濃淡があるだけとの話や、叱りつけるだけの厳しい親に育てられるとパーソナリティの歪みが生じ、自己を保全するために妄想、他罰(加害)、回避などの代償行動に出るという話は、職場のちょっと付き合うのが難しい人に対する見方を少し変えてくれる気づきになり得るように感じた。

第三部は、休職・復職、健康管理、産業医の役割などの制度に関するテクニカルな説明。

最後に、本書を通じての著者からのメッセージが6点挙げられている。その中の1つに、仕事は自分の本心でするものではなく、仮面を被り会社が指定した役割をうまく演じればよい、というのがある。そのように割り切る必要があることには同意はするのだが、せっかく人生の大半の時間を会社での仕事に捧げるのに、本心を隠して演じるだけというのも、真の精神的・心理的充足を得るものではないだろう。役割を演じながらも、部分的にでも自己実現していく強かさを多くの人が身につけられる世の中になればよいのに、と心から思う。

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2023年10月23日

Posted by ブクログ

大学教員であり産業医でもある著者による本。ストレス面で推奨する仕事の取り組み方から各種の精神疾患、産業医の職場における意義などまで幅広く記述してある。
精神疾患に関する情報は細かく分類、説明されていふ。
一方、「推奨する仕事の心構え」は「いちいち感情的にならずに仕事と割りきって仮面をかぶって淡々と役割だけこなして働け」という、あまりに非現実的な提案に思える。
また、文中にカッコ( )が多用され、しかもカッコ内の文章も長く、読みづらいのも難点。

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2023年07月17日

Posted by ブクログ

今社会問題にもなっている職場におけるメンタルヘルスの問題を産業医の立場から書いた本。主に管理職の立場で具体的な対処方法が書かれており、かなり参考になると思った。

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2023年07月09日

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