【感想・ネタバレ】就活メディアは何を伝えてきたのかのレビュー

あらすじ

就職活動は、学生と企業が本音と建て前を切り替えながら相手を選ぶ実践である。その就活でお互いを知るための情報ツールである書籍やウェブサービスなどの就活メディアは、どのような役割を担ってきたのか。

明治期から戦前・戦中、そして戦後までの就職活動の歴史を、各時代の社会状況を押さえながら描き出す。そして、就活本(指南書やビジネス書)を多数紹介しながらその内容を具体的に読み解き、時代ごとに求められる学生像や企業側の姿勢、繰り返される若者批判や学校批判を浮き彫りにする。

試験対策から学歴主義、縁故、女性の就職、キャリア形成、ソーシャルメディアの影響まで、就活をめぐる多様な議論と実態を時代ごとにたどり、企業と学生の思惑とせめぎ合い、理想と現実のギャップを浮き彫りにする。「就活をめぐる都市伝説」をまとめるコラムも収め、就活メディアの機能を明らかにし、日本社会の変容をもあぶり出す。

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Posted by ブクログ

誰もが経験あると思う就職活動。つまり就活です
ね、

時代によってはその内容は異なるものの、共通し
ているのは当事者でなくなった瞬間に関心を無く
してしまうことです。

自動車教習所の理不尽な制度や内容に「これは
おかしいぞ」と義憤は覚えるものの、免許を取
ってしまえば完全に他人事になってしまうのが
普通の人のリアクションと思います。

ネット時代が到来する前は山のような就活関連
本を受け取ったことがあると思います。

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2024年10月01日

Posted by ブクログ

そもそもが駒澤大学のゼミの2020年度の研究テーマ「就活メディアは何を伝えてきたか」で学生たちが調べ、議論した結果から生まれた本です。先ずは著者の山口浩ゼミが属しているグローバル・メディア・スタディーズ学部というカタカナ学部にびっくり!従来の社会学部では収まらない学問なのでしょうか…実際、毎年メディアに関連するテーマを決めて書籍を作り、コミケで売るという活動もアクティブラーニング的な新しさを感じます。そして学生の調査し、議論するテーマとしての就活メディアはこれ以上ないような自分事な対象だと思います。第3章の就活メディア小史では自分の就活時代も思い出され、このテーマの胸苦しい気持ちが蘇りました。やっぱり高校と大学の接続以上に大学と会社の接続は難しいものがあるような気がします。そしてそれは明治以来ずっと変わっていないことも見て取れます。そういう意味で就活をビジネスチャンスと捉えたリクルートという会社の起こしたイノベーションはすごいものがあります。就活についての学生側の胸苦しさは、雇用する側と雇用される側の情報の非対称性から生まれるものであり、それは本来の意味でのジョブ型にならないと、そして、そうなるためには教育自体が変わらないと厳しそう。でも、最終章で述べられる明治以来の「一貫した矛盾」である会社側の「大学の勉強は役に立たない」という上から目線も大問題。就活教育ではなくキャリア教育を、という結語は緊急の問題だと思います。大学生と作ったとてもいい本と認識していますが、一点、タイミングでコロナ禍での就活にも触れて欲しかった…はのぞみ過ぎ?

0
2023年05月30日

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