あらすじ
毒が人の健康、命を奪うものである一方、薬は人を怪我や病気の苦しみから救ってくれるものです。しかし昔から「薬と毒は匙加減」というように、毒と薬の違いは簡単に言えば使用料の違いにあります。多くの医薬品は、少量を使うから薬になるのであり、大量に使えば副作用で人の命を奪うことになります。毒と薬は化学的な目で見れば、多くの場合、同じ化学物質と言えるのです。本書では、植物、動物、鉱物等多くの天然物に含まれる毒成分を明らかにし、毒物がどのような作用によって人の健康を害し、命を縮めるか、また、それが薬として利用されることはあるのか、あるとしたらどのような効用があるのかも解説していきます。
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Posted by ブクログ
キノコの1/3は毒キノコ。
肺炎のチャーチルを救ったのは抗生物質ではなくサルファ剤。
麻黄の成分はエフェドリン。ぜんそくの特効薬。
アセチルサリチル酸=アスピリン。人類史に残る合成薬品。
「石見銀山ネズミ捕り」=江戸時代よく売れた。ヒ素。症状がなく閾値を超えると死ぬ。ヨーロッパでは、ヒ素を検出するために銀食器が使われた。ヒ素では黒くならないが、不純物として含む硫黄に反応して、銀が黒くなる。ナポレオンも胃がんではなくヒ素で暗殺されたという説もある。
現代では、ヒ素の検出法ができたため、犯行がばれてしまう。=ヒ素は愚者の毒。代わりに使われるのはタリウム。
毒性は経口致死量で分かる。水でも大量にとれば死ぬ。2g程度のものを毒物、2~20gを劇薬。
半数致死量(LD50)はシグモイド曲線になる。動物実験のデータ。人間には参考値。ニコチンのほうが青酸カリより少ない。
薬の半数有効量はED50。ED50が低い量で有効で、LD50が高い量が必要なものが薬。
分子構造を見ただけでは毒とはわからない。
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