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Posted by ブクログ
先般電子書籍に関する本を読んでいたので、江戸時代の本屋の話を読んでみた。時代は文政年間、本が好きで本屋になった男が主人公。三つの中編からなる。
「本売る日々」は、71歳の名主と後妻に迎えた女郎上がりの17歳の娘との関係を描いている。
「鬼に喰われた女」は、和歌に関係した男女の関係を八百比丘尼伝説に絡めて描いている。この話が一番気に入った。
「初めての開版」は、医学・医術の普及と進歩に関して開明的な医師の話である。ラストが清々しい。
Posted by ブクログ
新刊案内でタイトルとあらすじ読んで読みたくなった『本売る日々』(青山文平)。
本の行商人という『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語 』(内田洋子)に似たようなものを感じたからかもしれない。
今でこそいろんな書物があり、インフラが整えられてそれらをすぐに手に入れる手段がある。
そしてネット世界が広がり、あらゆる情報が、いろんな人のもとへと届いていく。
しかし昔はそうはいかなかった。
情報は人が数日かけて運び、常に時間がかかるものだった。
そんな世界で主人公が「この人にはこの本を届けたい」という強い気持ちを持って行動した経緯及び結果を読んでて感嘆のため息の連続でした。
本を知る事はすなわち人を知る事、とでもいうような事が書いてあったからかな。
その分野について多岐にわたって話が展開されるので、ホント飽きる事がなかった。
こんな本は久々です。
物語の初めの方で昔の言葉と風習が書かれ、ちゃんとその中身を知らなければ読みづらい事がわかった時は積読にしかけましたが、最後まで読めて良かった。
そして、この流れの中で【狼】や【飢えによる生活苦で起こった間引き】を読んだ時は、『ニホンオオカミの最後 狼酒・狼狩り・狼祭りの発見』(遠藤公男)や『飢えと食の日本史』(菊池勇夫)が浮かんで楽しかったな。
このように過去に読んだ本と組み合わさる瞬間がここ最近チョイチョイ起こるようになってきたので、
ニマニマしてます。
Posted by ブクログ
感想
作者の古書に対する知識がすごい。当時、どのような本が出回っていたのか?本屋がどのように生計を立てていたのか?を見てきたかのように書いている。
しかも、それを物語風にして平易に記している。内容としては小説というか、当時のことを記した文献に近いように感じた。村の名主や篤志家が書にしたため、保管したからこそ昔の歴史が分かるのだなぁ、などと感じた。
あらすじ
江戸時代の物の本屋の話。主人公は松月堂という本屋を営んでおり、村の名主に本を売り生計を立てている。当時の本は、金持ちしか手に入れることが出来ないものだった。
本屋が名主とどのように接し、当時の人がどのようなことに興味を持っていたのかが記されている。
主なお題は、画集、和歌、医集。