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Posted by ブクログ
2022/11/26リクエスト 3
とても良かった。
東京の台所から、筆者の本を読み始め、次の男と女の台所、で今回。
ライターとして、心の芯に訴える文章を、嫌味なく書く方。どの台所にも、語り尽くせない思いがある。
今回は全体に辛い経験の方も多かった気がするが、それさえも大平氏の筆力で、一つも無駄なことはない、と描かれている。
そして、最後にこの仕事を初めて何年か経った頃、慣れから、経験にあぐらをかき、なんとなーくこう書けばまとまるだろう、と感じていた時期もあった。
と、素直に書かれているところに好感を抱いた。
誰も、こんなこと書かなくっても気づかない。
それをわざわざ文章にする、ということが、大平氏の今後のますますの発展、というのか、今まで以上に必ず書く、そんな固い気持ちを受け取った。
「何も失ったことのない人などいない」
どんなに幸せそうに見える人でも何かを失いながらどうにか自分を収め、繕いながら生きている。
この文章に共感し、少し救われた。
私の台所もぜひ、大平氏の目から見た視線で書いてほしいと思った。