あらすじ
まだ見ぬ人、土地、そして歴史を追って――
あてもなく無銭旅行を繰り返した若かりし頃から、雑誌社に飛び込み、取材記者を目指した時、出版社を立ち上げるまで。
雑誌「旅と鉄道」の編集長を務め、鉄道ブームを牽引してきた著者が描く、「旅に生き、旅を書く」とは?
旅を職業としてすでに40年になる。旅から旅への暮らしだったが、大学卒業後以来半世紀を暮らした東京に私はなぜかアイデンティティーを覚えない。生まれ育ったところではないからだろう。三重、名古屋、京都、札幌、神戸と、生まれながらにデラシネのように転がりながら、いつしか私の足は辺境へと向かっていた。人は生まれた土の匂いを背負い続けてゆくのだろう。(略)歴史や風土、民俗に触れることにより、旅人の視野は広がる。そうした無形の遺産を後世に残すことが、旅を書く私の仕事の最終的な意義だと思っている。(本文より)
※こちらの作品は過去に他出版社より配信していた内容と同様となります。重複購入にはお気を付けください
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Posted by ブクログ
私は本書の著者とほぼ同じ頃、大学受験で上野から寝台夜行で札幌に向かい、その後も日本各地を貧乏旅行していたので、本書を読んで、当時旅先で声を交わしたカニ族仲間に何十年ぶりかで再会したような気がした。
本書を読むと、我々は日本の鉄道が絶頂に向かい、衰退してゆく過程を良くも悪くも身をもって体験したのだと改めて思う。そして、それが日本の繁栄と衰退の軌跡と重なり合うところが、我々の世代が歩んできた時代ということになるようである。
Posted by ブクログ
この作者のことは知らなかったが、旅そして紀行文が大好きな私にとって、行きつけの本屋でこの本を見つけて迷わず購入した。表紙の色もデザインも魅力的。立派なハードブックというところも気に入った。1946年生まれなので敬愛する沢木耕太郎と同年代ということになる。鉄道中心の出版社に勤務し編集者をしばらく行っており、職業からして旅と紀行文と関わりある人生を送っている。私は自分でも無類の旅好き紀行文好きだと思っているが、ごく平凡なサラリーマンの身としては、ある意味羨ましい思いもあるが、とても楽しく興味深い本だった。