あらすじ
あなたはもう親を許さなくていい。
親に奪われた人生を取り戻すために。あなたが「毒親」にならないために。勇気をもって本書を開こう。
傷つけられた心を癒やし、新しい人生を歩き出すための具体的な方法を、あなたに伝授する。
カウンセリングの現場から発想された“現実の希望"にみちた一冊!
原書刊行から30年余、今も輝きを失わないカウンセリングの古典を完訳した決定版
「旧バージョンでは全体を300ページ程度に収めるため、部分的な省略や、場所によっては大幅な意訳を行うことで短縮を行いました。解説の部分は短くしたくなかったので、短縮はおもに実例として載せられているエピソードを端折ることでページ数を調整しました。文庫版ではさらに短くする必要があり、残念ながら一つの章を丸ごとカットしなければならなかったほか、さらに圧縮を行いました。
そこでこの完全版では、旧バージョンで短くしたところをオリジナル通りに書き直し、それ以外のところも文章を改めるなど手を加えました。ページ数はだいぶ増えてしまいましたが、省略や意訳により短縮した部分を復活させたことで、オリジナルの内容をさらに詳しくお伝えできたのではないかと期待しています。30年前に書かれたこの本がいまだに輝きを失っていないのは、著者がいかに被害者の苦しみを理解し、問題の根源を正しくとらえ、正しい解決法を示しているかのあらわれです。今やこのテーマの古典となった本書が、この完全版の刊行をきっかけに今後も末永く読み続けられることを願っています」(訳者まえがきより)
※こちらの作品は過去に他出版社より配信していた内容と同様となります。重複購入にはお気を付けください
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Posted by ブクログ
二章 義務を果たさない親
この部分が特に自分には響いた。
子供が辛い状況に置かれた時に話を聞いたり、寄り添い心のケアをすることは【親が当然子供に行うべき義務】とのことだった。
これをしてもらえなかった子供は、自分には生きる価値がない、誰にも愛されない存在なのだ、と考えるようになる。
まさに自分がそれだった。
こういう風に扱われた子供を"透明人間"と本書では表現していて、別作だが、『輪るピングドラム』で子供たちが子供ブロイラーという工場に連れて行かれ、ベルトコンベアに載せられ一人一人透明にされるシーンはこのことを表していたのかと本書を読んで気付くことができた。私もあの子供処理工場で透明にされた子供だったのだと今なら理解できる。
Posted by ブクログ
古さは一切感じない。
この本を読んで、改めて私は愛されていたのだと感じた。しかし、私の中にも「毒になる親」の可能性が少なからずあるため、そうならぬよう意識をしようと思った。
Posted by ブクログ
もう30年前の著作になるそうだが、全く古さを感じさせない内容。一部には親に責任を全て押し付ける単純な二元論が毒親が受けた背景だというが、この本は別に親を悪魔化はしていない。シンプルに子ども時代に自分がされたことについて自分には責任がないと言っているだけだ。その責任は親にあると。責任がある=親が悪いと誤読すれば確かにそうかも知れないが、親の行為にはを背景があり、それは親自身もそういう育てられ方をしたからだと本書は言っているが、それだけでないことは我々は既に知っているはずだ。社会での過剰なプレッシャー、生活のための愛のない結婚、そういった歪みが家庭にあらわれ、もっとも弱い立場の子どもがはけ口にされているという話だ。親は悪くない、ただ、責任があるというだけ。
Posted by ブクログ
今ではメジャーな概念になってきた、「 毒親 」toxic parentsの先駆けであり、自らカウンセラーとして現場に立つ著者による本である。毒親が子に与える影響は甚大である。
毒親には以下のような特徴がある。
毒親の影響は、汚染のように広がっていき、代々受け継がれる、すなわち、毒親の親も毒親なのだ。
毒親は子供のためと言いながら、実は、親に対する依存度を大きくすることによって、自分の立場を守ろうとする自己中心的な性格。
ネガティブな感情を、本来向けなければならない対象から逸らせ、より容易なターゲットである子供に感情のはけ口を持っていく。
自分自身に強い恐怖や不安、不満があり、子供なしでは自身のアイデンティティーが確立できないので、子供が独立すると、裏切られたように感じる。
日常的かつ執拗に言葉や暴力で傷つける。時には、ユーモアの外見を纏っていることさえある。
毒親に育てられた子供の特徴は以下のようである。
親からしっかりと心を支えてもらった経験がないため、自分が生きている事の価値が見出せない。
客観的に見て毒親と判断されても、親はもちろんのこと、子供も自分の親が毒親であることに気づかないことも多い。
自分自身の達成感がなく、外からの評価軸でしか自分自身を評価できない。
親が不幸でいると、それがあたかも自分が原因と考えてしまう。その結果、罪悪感や過剰な義務感が生じ、親との共依存の関係になる。
親の期待に過度に応えようとし、親の機嫌をとることにかなりのエネルギーを浪費する。それが、本当は子供自身がのぞむものでない場合に、心身症や鬱、頭痛など様々な精神や身体症状が生じる。
親の機嫌を損ねないように、無意識のうちに自分自身に限界を設定し、親を超えることがないようにしている。そのため、出来の悪い自分を「内面化」し実現してしまう。
過度の反抗という態度も、親からの影響であるため、親からの汚染が続いていることになる。
支配から逃れようとして、自分自身が望んでいることも無視する結果となる(自己処罰)。
過去の事なのに、あたかも現在も続いているかのように感じる。親が死んだ後でさえも、トラウマに苦しめられることもある。
抑圧されたフラストレーションと怒りが心の底に溜まっており、他の人間を感情でコントロールするようになる。
毒親の、もう片方の親(夫であれば妻、妻であれば夫)も傍観者であれば、共犯者であり協力者ということになる。共犯者を避けるためには、離婚という選択肢もあるが、その際子供の事を考えてなかなか踏み切れないこともあるだろう。その際、覚えておかないといけないことは、離婚は夫婦間の問題であって、子供には関係ないということである。
毒親による汚染を断ち切るために、まず、自分の親が毒親であるのか気付くことが重要である。治療はカウンセリングが中心で、過去のトラウマから本人を切り離す作業を行う。自分を守る術を知らない子供だった時に、大人からされた事に対して、子供には責任がないということを知るのが重要だ。それと、最も大事な事は、親を変えることはできないということだ。どんなにひどい家庭であっても、子供にとっては家が平和であることを望んでいるものだ。だけれど、いつかは親が変わるのではないかと期待しても虚しい結果になるだけだ。変わることができるのは自分自身だけなのだ。治療がうまくいくと、仕事で問題が生じても、それが仕事の問題なのか、自分の内面の傷が引き起こしているのか区別できるようになる。
このように毒親の汚染状況を知ると、子供を叱るのも怖くなるかもしれない。しかし、親子の基本的な愛情と信頼関係があれば、たまに怒りを爆発させることがあっても子供は大丈夫となのだ。間違えたり、失敗することは子供の成長にとって重要なプロセスである。
Posted by ブクログ
●2025年7月31日、録画してた「シュリンクー精神科医ヨワイ 3《パーソナリティ症》」の作中で、主人公のパーソナリティの若い女性が、ヨワイ先生との治療を通して、パーソナリティ症になった原因が両親にあったこと、両親から子供の頃に見捨てられたことが傷になってることに気づいた。そのことをヨワイ先生に話すと「インナーチャイルドを癒してあげるとよい」とのアドバイスをさせる。
それを見て、私がチャットGPTで「インナーチャイルドを癒すことで人生やメンタルが変わる本のオススメは?」と質問して得られた回答のうちの1冊が「インナーチャイルド 本当のあなたを取り戻す方法」だった。その本の読書メーターのレビューを読んでたら気になるレビューがあり、この本をチェックした。
気になったレビュー:
「傷ついた子どもの頃の心が大人になって症状として合わらわれる。アダルトチルドレンの関連書籍として読んだ。同時にスーザン・フォワード氏の『毒となる親』を読んでいたため、リンクするものがあり、知識の深まりを感じた。」
Posted by ブクログ
(2024/03/29 3h)
「毒親」という言葉の初出・出典元。
家族というものの在り方を定義づけ、自分と家族とを客観視する作業に役立つ本です。
p.352 「自分の親になる」という言葉に感銘を受けました。
Posted by ブクログ
二部構成で書かれており、一部では毒になる親はどういう親かということを、二部では毒親から解放される方法論について書かれているが、自分が親になり戒めの為に手に取った本だったので、どういう親が毒親かということについて書かれたパートは非常に勉強になった。
Posted by ブクログ
たとえ日常的に虐待を受けたのでなくても、叩かれたり、冗談だとしても身体あるいは能力に対して侮辱的な言葉を言われたりした体験は、親に限らず、先生や同級生など、相手は誰であれ大人になっても記憶から消えないものだ。自分は虐待を受けていない、していない、だから関係ない、ではない。事実として知っておく必要がある。