あらすじ
なぜ怖いと思いながら、それに惹かれてしまうのか。
美術からオカルトまで、さまざまなジャンルを渉猟しながらその本質に迫る。
妖怪、UFO、心霊写真、美術、漫画、小説、映画…
多様な書物、文化を縦横に読み解いた“恐怖のワンダーランド”!
「恐怖は、人間らしい魅力に満ち溢れ、私たちの生に未来を与える感覚だ」
「私たちは恐怖をわざわざ味わうために、さまざまなメディアを渉猟する。
おそらくそれは、恐怖が意外な豊かさを秘めていることを、私たちが無意識のうちに知っているからだ」
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〈恐怖〉の行きつく、弥終(いやはて)は……!?
博捜、博捜、ああ今日も、博捜あるのみ!
――東 雅夫
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《一》世界妖怪図鑑
《二》矢追純一のUFO史観
《三》パラフィクションとしての『地獄変』
《四》七〇年代カタストロフィ文化
《五》心霊写真の父、中岡俊哉
《六》恐怖の美術館
ムンクの描いた吸血鬼
ダ・ヴィンチにおける愛と死
フュースリ、エロスの悪魔
ゴヤに魔術の自由を見る
幻視者、ウィリアム・ブレイク
ルドンの顕微鏡的世界
ゲオルギオスの龍退治
《七》ポップ異端文書としての『百億』
《八》『イグアナの娘』とマゾ的支配
《九》寺山修司とエヴァンゲリオン
《十》消えていく道化
《十一》恐怖の法則
《十二》恐怖の記号論
《十三》恐怖の起源
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
"恐怖"という感情はなぜ起こるのか。本来は危険を察知するもの、あるいは不快であるはずの恐怖を、一方でなぜ我々はわざわざ求めるのか。100冊超の幅広いジャンルの文献や絵画、そして記号論を駆使して考察した1冊。
大半がアトリエサード社の雑誌(『トーキングヘッズ叢書』や『ナイトランド・クォータリー』)が初出の記事で、70'sオカルトブームやUFO、日野日出志に中岡俊哉、寺山修司にエヴァンゲリオン、さらには毒親等々採り上げられた書籍は幅広い(NLQに掲載された"怖い絵"的記事も)。それらを集約したうえで、恐怖を生み出すメカニズムと、恐怖が現代の我々にこそ必要であると熱く主張する。
“恐怖”を考察するこの手の書籍はどうも論を捏ね繰り回した挙げ句今イチ消化不良な事が多い気がするが、こちらは遡上に上がる文献やテーマが(特に前半)時代的に一種の胡散臭さを帯びるためか、全体的にポップで肩が凝らない。後半部時折著者の政治的スタンスがチラついて(ん……)となるとこもある、が。