あらすじ
「俺が喰ってやるよ。あんたの悪夢をさ」
身近な人にやるせない感情を抱く4人の依頼者たち。
“獏”は彼らの夢に共に入り、劣等感に、罪悪感に、無力感に喰らいつく!!
「獏憑き」の黒沢彩人は従兄弟の桂輔が社長を務める白木清掃サービスで、悪夢の原因となる穢れを取り除く「夢祓い」を行っている。
実家のパン屋を継ぐ夢を絶たれた館平奈々葉、
妻子と別れ、占い屋を営む根津邦雄、
四歳の娘にどうしても優しくできない笑原香苗ーー
獏憑きは穢れを喰べるほどに寿命が縮む。
しかし彩人には、残された時間でどうしても喰べたい悪夢があったーー
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
犬神憑きについての本を探していたら見つけた『獏の掃除屋』(風森章羽)。
なぜそんな読書キッカケになったのか、メモしたものの覚えておらず本人も戸惑ってます笑
たぶん『夢見の猫風の犬宮』(牧野礼)だと思うんだけど、これに犬神憑きは出てこなかった気もするんですよね…。
何にせよ、これからちゃんと読もうと思った日付とそのキッカケの詳細に残そうと決めた瞬間でした。
1人重荷を背負う主人公が孤独を抱えながら人々の悩みに寄り添う感じからなかなか目が離せなくて、
最後には主人公のお母さんと再開する場面で泣いたし、獏の清掃シーンで「こんな展開ありか笑」と笑いもしました。
こういう本って楽しい。
そして、読みながら円形脱毛症の事を考えていて、
「自分のお腹から、そんな症状を抱えた子がもし現れたら耐えられない」と思ってたけど、
「その症状へのわずかながらの気持ちの対策を知ってるんだから、どうなっても心構えはもう出来てるんじゃないか?」と読んでて思えてきた。
Posted by ブクログ
悪夢は苦しい。逃れられないから。
希望が絶望に変わるぎりぎりを彷徨うところに生まれてくるから、手放すことさえ出来ない。苦しんでいることで自分を赦そうとしているのかもしれないとさえ、思う。
悪夢の恐怖の根源は、自分の限界に直面せざるを得ないところにあるのだろうと思う。
全部認めて、洗い流してしまえばいいのかもしれないな、そう思わせてくれる物語だった。救いがある。
Posted by ブクログ
トラウマや日常生活のドロドロが酷くて悪夢を見る三人の依頼者と自らを犠牲にしながら悪夢を喰らう獏憑きの話で短編3つやりながら、合間合間で獏憑きと白木家の伏線を挟み、最終章で主人公の悪夢を洗う。結構好きな流れの話構成だった。 依頼者の話だと親子の話が好きだった。最終章の桂輔の彩人に向ける善意好き。 ただ作者買いは避けるかも。産まれの都合で迫害される展開と迫害するやつが痛い目に合わない展開苦手で、今回は作中の展開と書き方で我慢できたけど文章的にこの手の展開が得意っぽいんだよね作者。