【感想・ネタバレ】悪の三国志 スターリン・毛沢東・金日成のレビュー

あらすじ

知られざる歴史秘話! 三巨頭の謀議の全貌!!――東アジア「最後の火薬庫」北朝鮮。その卑劣なまでの両天秤外交の起因となった朝鮮戦争の「真実」を旧ソ連、中国の極秘資料をもとに炙り出す。ソ連、中国、北朝鮮の野望史!!

●朝鮮戦争の休戦から50年以上経ったいまも、韓国には国連軍として米軍が駐留し、北朝鮮と対峙(たいじ)。南北朝鮮両国間の対立状態、“戦闘状態”は続いており、依然として、朝鮮半島における冷戦の構図は基本的に変わっていない。それどころか、これまでも北朝鮮が挑発的な言動を弄(ろう)し、一触即発の危機は消えていない。いま、再び北朝鮮の動きをめぐって、朝鮮半島を含む北東アジア情勢は危機的な雰囲気が高まっている……その構図を作り上げたもともとの原因は、朝鮮戦争によって形成されたといってよい。いま、その危機的な状況を作り出した朝鮮戦争勃発当時に立ち返って、当時の状況を分析してみる必要があるのではないか。

●封印された奇襲攻撃
●旦那と男めかけ
●追い詰められたスターリン
●社会主義失格の世襲国家
●マーガリン共産主義者
●回避された「日本占領」
●弄(もてあそ)ばれる中国
●幻の「金日成亡命計画」
●生贄にされた毛沢東と金日成
●独り歩きできない北朝鮮

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Posted by ブクログ

朝鮮戦争時の北朝鮮、ロシア、中国の3国、特に3人のリーダーを通じた政治過程を詳細に描いた本。新書なのでタイトルが煽りすぎだが、ちゃんとした内容だったように思う。

朝鮮戦争時の西側の動きは「戦略の本質」に詳しいが、共産国側の動き、特に3国の壮絶な駆け引きがあったことはぜんぜん知らなかったし、1950年代の共産主義国の絶対的な序列(ソ連、スターリンが圧倒的に強い)とそれに挑戦する毛沢東と金日成との暗闘も非常に興味深い。

それにしてもスターリンは第二次世界大戦ではアメリカを何とか参戦させ、朝鮮戦争では中国を参戦させるなど交渉の手腕は尋常ではないことがよくわかる。一方で金日成の場当たり的な行動は後の北朝鮮の外交そのものであり、ここで醸成された文化が今もなお続いていることを思うと、恐ろしい。毛沢東はこの本に書かれている通り国力回復よりも個人の名声を優先させたことがこの本では批判されている。

こうして書くとこの3人のリーダーは市民や兵士の命はさして気にも留めていない点で共通しており、その観点からするとこの本のタイトルもうなずけるようにも思えてきました。

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2015年04月26日

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