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Posted by ブクログ
久々に再読。梨木さんのたくさんの作品の中でも「家守綺譚」系統の植物と不思議が絡むお話。
最初は話の流れも途切れがちで次々に荒唐無稽な展開が続くと思われる中で、徐々に歯に空いた穴、木のうろ、白木蓮を失った後の穴…植物園職員である主人公の心に空いた穴の中をのぞきこみ、失われたものを自ら発見し、よどんでしまった「川」を流れるようにする、という芯が分かるようになる。
「ここは、過去と現在がみんないっしょくたに詰まっているのだ」理屈の通じない世界で、これが自分の心の問題であることをやがて主人公は悟るのだ。
人生で抱え込んできた淀みに対して、はっきりした問題を現実的に解決するとかではなく、ただあの時の気持ちともう一度向き合い、見つめて、そうであることを許す…そのうえであらためて抱えていけばよい、流れていればいい、というのが梨木さんらしくて好き。乳歯が抜ける、という解放の合図もいかにもという感じ。「裏庭」の礼砲のようだ。読むとすっきりする。
Posted by ブクログ
最初は展開がよくわからないまま読み進めていましたが、途中からこれは主人公の過去を掘り起こしているとわかるとそこからは読みやすくなりました。
特に同行していた坊の正体は涙腺にきます。
ときどき痛む、穴が開いた歯の部分は心ということで、誰にもそういううろはあるものだと思いました。