あらすじ
1980年代後半、テレビの地上波がF1のグランプリシリーズを世界中から華々しく生中継していた時代。日本人で初めてF1にフル参戦したカーレーサーの自伝が本書です。飾らない言葉でクールに半生を振り返る語り口は、車への愛情に満ちていると同時に、日本人と車の切っても切れない関係にまで及んでいます。
二輪、四輪と少年時代に車に魅入られ、プロの世界に身を投じるやたちまち頭角を現した中嶋さんが、いかにして「日本一、強い男」と呼ばれるまでになったか。カーレースは自動車メーカーの技術を試す場であると同時に、その先端技術に負けない身体能力、精神力がレーサーには求められます。まるで中嶋さんの身体の一部となった車はデリケートで繊細であり、モータースポーツの深遠さがひしひしと伝わってきます。
ロータスのチームメートとしてF1をともに走ったアイルトン・セナ、国内で死闘を演じた「日本一、速い男」星野一義さん、そして中嶋さんにとって大きな存在だった本田宗一郎さん……レースに、車に情熱を注いできた人たちとの交流秘話も満載。いまなお現役でレーシングチームを率いる総監督として発するひと言ひと言は、人と車の未来に様々な思索をもたらしてくれます。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
日本人初のフルタイムF1ドライバー
中嶋悟による履歴書。
日経新聞で連載されたものを
大幅に加筆。
幼少期から監督業の現在まで
赤裸々に謙虚に語る。
金子博氏によるいくつかの写真がまた良い。
クシャっとした笑顔と侍のような目つき。
震えます。
Posted by ブクログ
細かい描写はないけれど
中嶋さんの言葉で語られてるので
興味深く読み進められました。
F1引退後の話しは
あまり知らなかったので面白かったかな。
Posted by ブクログ
日本人で初めてF1に、フル参戦した中嶋さんの自伝です。当時は、フジテレビで実況中継を行なって、鈴鹿サーキットで行われた時は、すごい人でした。中嶋さんは、F1レーサーになるのは、自分一人の力だけではなく、その時のタイミング、スポンサーとの関係が大きく関わっていることを良く理解しており、自分だけでなく、これからの人材育成に、非常に力を入れた方だということがよくわかります。中嶋さんの性格かもしれませんが、先のことをよく考え、自然体で活動された事で、レース界の裾野を広げてくれました。
Posted by ブクログ
F1ドライバー中嶋悟の手記。日経新聞の私の履歴書の記事を加筆修正したもの。
子供の頃から実家の農場で、バイクや車を乗り回した少年が、レースに目覚め、借金をしながら実績を上げてF1ドライバーとしてブームを巻き起こすまでとその後の活動を振り返る。
私も現役時代の彼のファンだった。中嶋選手は、現役時代から控えめな人で、日本のレースでは凄い実績を持っているのに多くを語らなかった記憶がある。当時は、海外に行くドライバーがいなかった時代で、中嶋選手は早くから海外レースに挑戦し、世界のドライバーの実力を感じていたのだろう。それがいつも謙虚な態度に表れていたのだと思う。F1では、いつもレースを堅実に淡々と走っていたが、意外にリタイヤが多かったようだ。車と自分の調子がうまく噛み合わなかった印象がある。
素朴な語り口の内容で、今まで知らなかったエピソードがたくさんあって、貴重な写真も紹介されていて、ファンには大変面白い本だが、彼のレース成績や経歴、乗った車などのデータぐらいは追加してほしかった。ファンにとっては既知の事実であっても、彼の実績を知らない人、F1を知らない人には判り難いと思う。