【感想・ネタバレ】破局のレビュー

あらすじ

充実したキャンパスライフ、堅実な将来設計、そして新たな恋――。肉体も人生も、潔癖なまでに鍛え上げた私に、やがて訪れた破局とは。現代の実存を問う芥川賞受賞作がついに文庫化。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

率直な感想は典型的な芥川賞作品。でも、これは作者の責任というよりは評価する側が「このぐらいの文量で、性について触れて、少し大衆とはかけ離れた感性を持たせた主人公で…」みたいな教科書的な感覚を植え付けてる気がしてならない。

肝心の内容は色々批判的に書き始めたが割と好み。主人公の陽介はあくまでドライでどこか俯瞰していて、それでいてマジョリティな感性とは少し異なり、どちらかといえばサイコと捉えられるような大学四年生。

麻衣子という完全無欠な彼女を手放してなんとなく灯を選んだりどこまでも読めない雰囲気がミステリアスで良い。

ただ、テーマの一つに性欲が中心に据えられてる気がしたのと、ここまで無感情で俯瞰的な人間がラグビーのコーチの時には他人にそこまで熱を求められるのかという違和感は拭えないままストーリーは終了。

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2025年09月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

本当に面白かった。俺が好きなタイプの文章だった。
人間的であることを意識して、人間的なことを思考している、というふうな文体だった。

性愛と恋愛は決して違う。灯は恋愛から性愛へと徐々に移行していったということができると思うが、彼の場合はどうだったのか。そもそも恋愛だったのか。でも、おそらく、愛ではあった。

なぜこれを書いたのだろうか。思うままに書いたのだろうか。

膝の、真に人間的な、ある種の美しさが彼との対比になっていてそこがとても好きだった。

想像できないものが「破局」なのだと思うが、彼にとっての破局とはなんだったのか。

p.105 「悲しむ理由がないということはつまり、悲しくなどないということだ。」

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2025年06月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この作品は「現代の若者とは」という問へのひとつの解答であると感じる。語り手のシステマチックすぎる語り口に見え隠れする不安が、まるまる語り手と同世代の自分に重なると感じた。実存主義が形を変え文学として再び表出する作品がトレンドであるように感じるが、この作品は特にそれが色濃く出ているように思う。
腹を満たすだったり、性欲を発散するという単純な3大欲求には正直なくせして、その他の複雑な欲求を理性や社会規範、また自らの肉体を檻とすることで抑制する姿は、自律的で厳しくあるように見えながら、思考停止で生きてゆけるように自分の能力不足を何かのせいにしがちな現代の若者を見事に表していると感じた。ただ、この小説のようにラストその不穏が噴出して破局を迎える人は少ないだろうと思う。多分、埋もれていく絶望の方が多い。その部分をどちらに舵を切るかは、かなり難しい選択になると思う。リアリティを取るか、面白さを取るか。なにかのインタビューでKing Gnuの「vinyl」に影響を受けて、パンチラインを意識して書いた、ということを聞いたが、ラストとかは特にそうなのかな。筆者が書きたいものをかけたのなら良いなとも思うけど、その点では少々リアリティに欠ける部分はあると思った。

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2025年02月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

◼︎面白かったか
面白かったと思います。行き帰りの通勤時間ですぐ読み終わりました。
◼︎なぜそう思ったか
彼なりに色々頑張ったのにことごとく上手くいってなくて可哀想だけども、希望はなんだかありそうなところが良かったような気がします。具体的には思い出せませんが、クスッと笑えるところもいくつかあったと思います。
◼︎他人に勧めようと思うか
思いませんでした。
◼︎どんな人におすすめか
コンビニ人間とかが好きな人とかにおすすめです。作者も芥川賞受賞の会見で何らかの影響を受けているかもしれない作品として挙げていました。
◼︎読もうと思ったきっかけ
芥川賞受賞の会見の様子を偶然YouTubeで見かけて、この人の作品は好きかもしれないと思ったからです。あと、コンビニ人間が好きだったからです。
◼︎この星の数にした理由
すぐ読み終わりましたし、面白かったですが、登場人物にめちゃくちゃ共感したとか価値観が変わったとかそういうのはなかったので星4にしました。

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2024年07月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

社会規範に照らした価値観と行動に、適切な感情。
主人公がAIのよう。
AI彼氏の実験的運用とその末路、みたいな。

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2024年09月17日

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