感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
なんだかわけがわからなかった。
なにか事件が起こるわけでもなく、ただ陽介が送る日々が綴られているだけなのにどこががおかしくて気持ち悪かった。陽介が語っているような文体なのに、実際の陽介の喋り方や性格と全く違っているのも怖かった。
1番面白かったのは麻衣子の小学生時代の話だ。たぶん男は小児性愛者で前々から麻衣子に目をつけていたのだろう。その後が気になった。
灯の性欲が日に日に強くなっていった理由も気になった。
芥川賞受賞作品だと読み終わってから知ったが、そんな感じするなと思った。結構好みで、面白かった。
Posted by ブクログ
「〜はずだ」という「世の規範」を基準に生きる究極の自己喪失。慶應生で頭はいいのに自我がない。誤解を恐れずに言えば"気持ち悪い"主人公。
自己肯定感はあるように見えたが、それすらもあるべきだという「世の規範」に沿った「模範生」だからなのかな。
性欲が強くなっていって主人公への愛より性を欲していく灯や、別れてから無理やり部屋に押し入ってセックスしてしまう麻衣子は、感情の起伏のない主人公との対比がなされていると思ったし、(彼女らが欲望を持ちすぎとはいえ)主人公の不気味さをより際立たせると思った。
生徒たちにゾンビ理論とかいう持論を熱弁する主人公、恐ろしすぎるでしょ。でも主人公は熱意を持ってしまうほどゾンビとして生きることを正義としているんだよね。怖いね。
一人称視点だからこそ、語り手の主人公の不気味さがある。
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ芥川賞だなって感じの小説だった。特に変態的でもない、男の真っ当な性欲の気持ち悪さをここまで克明に書いているのがすごいなと思った。
「私」の思考は一見すると正しいように思える思考なのに、「私」に対してどうしようもない気持ち悪さを感じてしまう。それがよかったなと思う。
「私」は一人称の地の文さえなければ、文武両道で女性に対して思いやりを持ち合わせている、いい青年であるはずだ。
「女性には優しくしないといけないから優しくする」「同意を得てない性交はダメだからしない」「彼氏だから灯の下着を見てもいいが、彼氏でない人間に灯の下着を見る権利はない」
「私」の行動は、自分の意思がどうこうではなく、社会でこうなっているからこう、といったように、他者の価値観に支配されている。それがとても気持ち悪かった。本当に傍から見たら筋トレ好きの青年なんだけどな……。
真面目で正しい青年の、正しいがゆえに社会常識に縛られすぎている気持ち悪さ、というのは面白いなと思った。
Posted by ブクログ
大学生で就活中の主人公は、ある日出会った女性に徐々にひかれていく。ラグビーOBとして後輩を指導し、筋トレや性行為ばかりしている主人公は、その女性と出会ったことで破滅の道を歩んでいく。