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Posted by ブクログ
妻を殺したと自主してきた梶警部、しかし殺害してから自主するまでの空白の二日間については口を閉ざし「完落ち」はせず。
ドナーが見つからず13歳の若さで病死した息子、アルツハイマー病にかかり息子を忘れない内に母親のままで死にたいと夫に殺してと懇願する妻、妻を殺害した後に後追い自殺を図ったが妻の日記を見つけて読み思い留まる。
日記の内容は息子が病死した後に夫婦でドナー登録をした翌年に梶の骨髄を移植した青年の新聞への投稿の切り抜きであった、その中に新宿の小さなラーメン屋で働いているとあり妻は自らが壊れてしまった後に残る梶への命の絆(生き甲斐)を見つけようと単身新宿まで探しに行ったが見つからなかった。
梶は妻を殺害した後に新宿に行き青年を見つけた、そして自首、頑なにに二日間の事を語らなかったのはマスコミが青年を嗅ぎつけない為であり、自殺を思い留まったのはドナー登録は50歳まで有効で49歳の梶はあと1年だけは生きようと決意した為であった。
何処まで愛する人の為に行動が出来るのか、どう行動するのが正解なのかは判断しかねるが、動機が愛なのであれば
Posted by ブクログ
面白かった。
現状の日本の裁判制度では調書に書かれている被疑者の発言は多少疑いがあったとしても尊重されてしまうから、このようなことは本当に現実にあり得ると思う。
Posted by ブクログ
妻を殺害した警察官の半落ちから完落ちに向かうストーリー。
上記を軸に各組織や登場人物の立ち位置から、どう完落ちさせるか、事実を隠蔽するかの人間模様が面白い。
また、構成として刑事から刑務官までの視点で逮捕から収監、真相の解明のプロセスに沿って章立てして描かれているのも面白い。まさに、志木の言うベルトコンベアに乗せられた梶を表現するのに最適な構成だと思う。
Posted by ブクログ
次回の読書会、課題本。
横山秀夫さんの本は臨場と第三の時効を読んでいる(らしい)のだが、硬派な警察小説だったなぐらいしか覚えていない。
そしてこちらは、映画化もされていた有名な作品だけど、読んだことはなかった。横山秀夫作品の警察物(と括っていいものか…)なら面白いだろうし、どうやら泣けるらしい、という前評判のみで読み始めた。
もっぱら仕事のお昼休憩の合間にちょこっとずつ読んでいたんだけど、いやぁ、さすが…引き込まれる。
アルツハイマーを患う妻を殺害し、自首してきた現職警察官の事件。
動機も経過も明確でありながら、殺害から自首までの空白の2日間については頑なに口を閉ざす。
大筋は、半落ち状態であるこの状況の中、犯人である梶聡一郎空白の2日間の謎を追うといった感じ。
取調べから起訴、裁判、公判、懲役までの状況経過がリレー形式で、取調べの警察官、検察官、記者、弁護士、裁判官、刑務官がそれぞれの立場からそれぞれの背景を元に述懐される。
引き込まれる文章ではあるが、述懐する登場人物の置かれた状況とか、取り巻く人間関係とか、とにかくピリピリザワザワさせられて、泣けるとの前評判は一体何だったんだ…と思いながらページを捲った。
わりと最後の方までこの嫌な緊張感は続くんだがラスト数行で、
…やっぱり泣いた!笑
ここからは少しネタバレが入るけど、
ちょうどコテンラジオのシンドラー回を聴いた直後ということもあり、
読み終わってひとしきり泣いた今、
人間の善性について考えさせられた。
個人の倫理観と状況によっては衝突するようなルールや、それとは逆に、個人の倫理観に衝突するが組織の利のため全体の調和のためのルール違反について、
さて、自分ならどうするか、
どう考えるか。
そもそもの、梶さんが殺害に至った経緯にもここの問いは関わってくる。
そして、組織に迷惑をかけ、生き恥を晒してでも貫きたい強い思い。
どこからどう見ても善性であろうが、それは立場の違う人から見ればただの自己満足であり、一つぐらいの自慢話とも取れるのかもしれない。
それでも結局、ラスト数行の破壊力の前には、そんな問いも無粋に感じる。
やはり命は尊いのだ。
何にせよいざという時には、論理でこねくり回して出てくるようなものではなく、直感でちゃんと駆動してくれる人間の善性の存在を信じたいと思った。