【感想・ネタバレ】国鉄―「日本最大の企業」の栄光と崩壊のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

中の人の回顧録だけではなく、今後の提言もあってバランスのいい展開だった。
提言が的を得ているかはかなり怪しいが。

0
2023年03月27日

Posted by ブクログ

今年は日本に鉄道が出来て150年。新聞や学校制度も同じ年に生まれています。日本を近代化するためのインフラ3点セットが同じ年に誕生したことを偶然にも、当然にも感じます。日本の隅々まで行き渡る鉄道網は近現代史の主役だったと思います。一方で今年、東北を旅した際、初めてBRTに乗車し鉄道の路線跡をバスで移動しながら地方の鉄道はこのシステムに乗り替わっていく予感に囚われたりもしました。150年の歴史のうち1949年から1987年の38年間だけ存在したのがJRと呼ばれる前の国鉄でした。その日本で一番大きい会社のクロニクルがこの新書です。去年の自分の中での新書ベストの「サラ金の歴史」や今年のベスト候補の「日本共産党」と共通して新書ならではの早送り感が心地よく、しかも日本の近現代史とのシンクロ感が深い一冊です。著者は民営化後のJR西日本の社長を担った人ですが、本書でも問題にされる三島会社であることや出自が技術畑であることによる距離感によるものなのか、立場によって見え方が違うこの公社の運命をバランスよく語っていきます。以前読んだ『暴君:新左翼・松崎明に支配されたJR秘史』のような濃厚な読後感ではありませんが、しかし、そもそも様々な矛盾を背負った国鉄という企業に対する苦い想いも響いてきます。特に国鉄が生まれるタイミングやJRに分割される時の分割の仕方については強い想いを感じます。そこには貨物物流という旅客視点では見えてこないテーマも含まれます。今年、よく報道されている路線別収支も自分が感じたBRT化のためのプロモーションにも思えてきました。実は本書、旅の途中で読む本が無くなって駅の構内の本屋さんで購入したのですがこういう本にすぐアクセス出来るって、日本すごいと思いました。

0
2022年12月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

戦後復興期に設備投資ができなかったことが後々まで尾を引いた件と、今時点のJR北海道への支援の必要性がうまくリンクしていた。

0
2022年12月13日

Posted by ブクログ

鉄道開業150年というタイミングで刊行されたこともあって、ややミーハー気分で購入した書であったが、ずっしりと読み応えのある内容であった。

新幹線物流の可能性に賭ける思いが良く伝わった。

0
2022年12月01日

Posted by ブクログ

書店で見掛けて興味を覚え、入手して紐解き始めた。本書の各章を実に興味深く読み進めた。出逢って善かったと思える一冊だ。
「国鉄」というモノが「分割民営化」で「JR」になってから既に三十数年なので、「全然知らない…」という人達の世代も広くなっていると思う。が、「国鉄」は日本国内で非常に大きな存在感を示していて、後にも先にも「日本最大の企業」であったと考えられる。そしてその「国鉄」には、栄枯盛衰の様々な経過が在った。
本書では実に広範な話題について、非常に興味深く綴られている。
「国鉄」という略称でよく知られる「日本国有鉄道」という“公社”の体制が登場する以前の、昭和10年代の戦時体制下の色々な要因で疲弊した鉄道の様から、草創期の「国鉄」の状況等に関する話題が在った。
東海道新幹線が実現して行った経過、その大きな“達成”と、裏側で生じていた“問題”という話題が在った。
蒸気機関車が退場して行くことになる中でのディーゼル機関車やディーゼルカーの開発に纏わるような話題が在った。
「国鉄」の現場の様子、労使関係、複数在った“労使交渉”の主体になっていた組合、労使の対立ということに留まらず組合間の対立も存在していたというような話題が在った。
貨物輸送に関して、国内の輸送需要の中で圧倒的な部分を占めていた時代の後、ドンドンと占める部分が小さくなってしまって行ったというような話題が在った。
「国鉄」の部内に見受けられた様々な問題と、経営再建の難航、「分割民営化」への経過というような話題が在った。
「分割民営化」の後に登場したJRに関すること、更に昨今のJRの状況やという話題が在って、加えて鉄道の未来に関する提言も在った。
大雑把に振り返って、これだけの豊富な話題で、実に読み応えが在った。
著者は、所謂“キャリア”として国鉄に入社し、技術者として車輌開発に携わり、やがて様々な現場の管理職を務めるようになって行ったという方だ。国鉄の最末期には、首都圏本部長を務めていたが、部内の事情によって九州総局長に異動し、JR九州の準備に携わった。そしてJR九州の初代社長を務めたという。
こういうような著者で、鉄道の歴史に纏わる著作や、鉄道に関連する提言等も多くしている方であるという。本書に関しては「現場での様々な見聞や経験が在る者のみが語り得る…」というような内容も多く交っていて、実に興味深かった。
そして本書では、「国鉄」が「巨大に過ぎる硬直化した機構」であるが故に、色々と不具合が生じ、不具合を修正し悪くなり、現場の荒廃というような情況も見受けられた旨が語られる。こういうことを通じて「1940年代後半から最近までの我が国の社会?」という問題提起もしているかもしれないと思いながら読み進めていた。
鉄道の未来に関する提言ということでは、JR各社の中で“問題”が殊更に大きいように見受けられるJR北海道に関する事柄、北海道での鉄道による物流の可能性に関する話題が興味深かった。
また、鉄道の未来に関して、著者は「新幹線を物流に生かす」ということが必要であると強調していた。
非常に読み応えが在って興味深い一冊なので、広く御薦めしたい。

0
2022年10月08日

Posted by ブクログ

【星4.0】
国鉄→JR→現在と今後の課題、という感じで国家の鉄道網でについて語っている。

「国鉄」という響きの懐かしさからなんとなく手に取ってみたのだが、国鉄が抱えていた超ド級の問題、現状のJRの問題など、身近な鉄道について知らないことが多々あるという気付きに繋がった。

0
2024年01月21日

Posted by ブクログ

230314016

国鉄〜JRの歴史を踏まえて、これからの鉄道の未来を語る。国が関わってきたからこそ今のJRがあるのだから、地域と鉄道の未来について国や地公体自身がより深く考えることが必要。

0
2023年03月14日

Posted by ブクログ

国鉄の技術系職員出身でJR九州初代社長を務めた著者が、自身の経験も踏まえて約半世紀の国鉄の歴史を振り返り、JRの将来に向けて提言。
官僚主義的で中央集権・セクショナリズムが蔓延り、人を生かせなかった国鉄の組織経営的問題は、他の組織にも教訓になると感じた。
また、鉄道政策は、誰もが思いつきレベルのことは言えるが、そう簡単にはいかない、なかなか奥が深いものであるということを感じた。
「新幹線物流」の推進など、著者の提言にも納得感があった。
車両の話なども豊富で、鉄道ファンなら一層楽しめると思った。

0
2023年01月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

親方日の丸で経営の視点が足りなかったゆえの解体。優秀な人材も多くいたとは思いますが、労使問題等課題も多かった。日本航空の経営破綻と似ています。JRに分割民営化されましたが、本州以外の経営基盤がぜい弱で、特に北海道、四国などこの先課題も山積です。

0
2022年12月03日

Posted by ブクログ

JRの前身「国鉄」の栄枯盛衰を、元JR九州社長であった著者が様々な切り口から述べている1冊。
中でも興味深かったのは、車両開発の部分です。著者は技術者としてディーゼル車(気動車)の開発に長く関わってきました。蒸気機関車をリプレースする無煙化を進める中、国鉄時代の名車ともいえる特急用キハ81系、急行用キハ58系、牽引用のDD51型などの開発に関する記述は、開発に携わった人ならではという印象でした。
「国鉄」は巨額の赤字を抱えてしまうわけですが、その原因としては1)運賃改定は国会での議決が必要であった、2)国策として赤字を承知の上でローカル線の建設を進めた、等々民間企業であれば普通に経営判断できる根本的なことの決定権がなく、その代わりにコストは国が負担するという”親方日の丸”枠組みの構造的な問題点があったことを指摘しています。
鉄道貨物の問題にも触れていて、国鉄の貨物輸送は石炭輸送から始まり、競合する輸送手段もなく「荷物を運んでやる」ぐらいの殿様商売であった感覚が石炭輸送が斜陽化した時点でも抜けきれなかったことが赤字を膨らませた、等の事情も紹介されていました。
JR各社の今後の展望にも触れられており、少子化、コロナ禍による社会構造の変化に直面し、旅客輸送にことさら頼りがちであった日本の鉄道の在り方を、より貨物輸送にウエイトを置いた運用へシフトすべきと提案しています。CO2削減や、ドライバー不足などの諸問題の解決策として、新幹線を利用しての本格的な貨物輸送の可能性に触れ、是非進めるべきと提言していました。
今年は日本の鉄道が開設されて150年の節目ということで、多くの書物も出版されているようです。本書は単なる鉄道オタクモノではなく、労使問題や技術開発、近代史など多くの側面から「国鉄」を再検証しており、読み手の興味によっては読みづらい部分もあったりしますが、全体としてはさすが中公新書だけあって情報量はかなりの物でした。

0
2022年10月27日

Posted by ブクログ

●=引用

●(略)20年も経つと、世界中が注目する「新幹線」を作った。ただそこには国鉄マンの「勤勉」と技術の「日進月歩」はあっても、「経営者感覚」はなかったといえる。そういう風土は変わりようがない集団だった。
●国鉄貨物輸送は「貨車」を運ぶのが仕事という観念で、「モノ」を運ぶのが仕事という使命感がなかった。前述のように車両・コンテナの構造や荷役機械・設備などのハード開発・提案に知恵を出さなければならない技術屋にも大いに責任がある。要するに「経営」と「ビジネス」がわかっていなかったのである。
●国鉄後半の22年間、最終2年間を除いて、実に20年間、国も国鉄も取り組みの意識は変わらなかったといわれても、申し開きができない。(略)国鉄のシェア低下、経営の硬直化が進むなか、利用客を増やす総合施策が抜けていた。経営が傾いても、設備投資の予算確保ばかり考える体質は変わらなかった。それは、今だから言えることだが、そこには、それぞれ「仕組みづくり」「クニづくり」「モノづくり」が優秀な人材集団はあったが、この3つをまとめる「経営」と「ビジネス」そして「哲学」がなかった。

0
2024年02月17日

Posted by ブクログ

国鉄の俯瞰史というよりは、筆者の社歴に沿った国鉄史という趣。それはそれで価値があるのだが、ディーゼル車の開発などはマニアック…好きな人は好きそうだ

0
2023年06月05日

「学術・語学」ランキング