【感想・ネタバレ】落日のレビュー

あらすじ

わたしがまだ時折、自殺願望に取り付かれていた頃、サラちゃんは殺された──新人脚本家の甲斐千尋は、新進気鋭の映画監督長谷部香から、新作の相談を受けた。十五年前、引きこもりの男性が高校生の妹を自宅で刺殺後、放火して両親も死に至らしめた『笹塚町一家殺害事件』。笹塚町は千尋の生まれ故郷でもあった。香はこの事件を何故撮りたいのか。千尋はどう向き合うのか。そこには隠された驚愕の「真実」があった……令和最高の衝撃&感動の長篇ミステリー。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

イヤミスではなくラストまでどこに着地するのか分からず、物語の中に入り込める作品。これも湊かなえらしい作品だと思う。
過去何度も読んでいる作品だけどその度に違う人物に共感する。見たい世界を書く駆け出しの脚本家、映画を通して真実を知りたい監督、そのふたりの出身地が夕陽の美しい街。
真尋は脚本を書き、香は映画を作ることで昇華できる。千穂と力輝斗の恋が切なかった。

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2025年10月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ほとんどの登場人物が病んでいる。
重い話を読みたくて手に取ったので、期待通りでした。
人物の表情や夕焼けなど情景が目に浮かぶよう。
一気に読みました。

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2025年06月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

終盤になり、真実が明らかになることで心臓を掴まれるような、悲しい事実もあれば、主人公にとって少しの救いもあった結末だったと思う。 こんなにも、つらいシチュエーションを思いつく、湊かなえさんに毎度、圧倒される。

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2025年09月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

湊かなえさんの作品は以前から好きで、『告白』や『リバース』など、人間の心の奥底にある暗さや痛みに真正面から向き合う描写が印象的でした。
『落日』というタイトルに惹かれ、「今回はどんな罪と向き合う物語なんだろう」と思って読み始めました。

この作品は、過去に起きた“ある一家殺害事件”を、映画の脚本家と監督が取材する中で、徐々に真実が明かされていく構成になっています。
最初は「事件の真相」がメインかと思っていたのですが、読み進めるうちに、それぞれの登場人物が抱える過去や苦しみ、そして“他人を理解することの難しさ”に深く切り込んでいく物語であることに気づきました。

特に印象的だったのは、「誰かを裁く」という視点が、時として自分自身をも傷つけることがある、ということ。登場人物たちはそれぞれの立場で「真実」と向き合いながら、自分の弱さや罪にどう向き合うか葛藤します。その姿に胸が締めつけられました。

湊かなえさん特有の、淡々とした文章の中に宿る重みと静かな怒りが、ページをめくるごとにじわじわと心にのしかかってきて、読み終えた後もずっと余韻が残りました。

『落日』というタイトルの通り、誰かの人生が沈んでいく一方で、もう一度光を見ようとする強さも描かれていて、暗さだけでは終わらない、静かな希望も感じられる一冊でした。

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2025年07月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

脚本家の真尋と映画監督の香、二人の視点で交互に物語が進んでいく構成。
冒頭からいきなり重く、しかも次々と深刻な出来事が描かれていく。

身勝手な親による虐待、同級生の自殺、身内の死と遺族の葛藤…。
読んでいて胸が痛くなる場面が多かった。
特に、下山の自殺にまつわる母親と教師の言動には強い嫌悪感を抱いた。

それでも物語後半には、人の優しさや許し、救いのような要素も描かれていて、
読後に後味の悪さは残らなかったと思う。

『母性』を読んだときにも感じたけれど、湊かなえさんは「母親の嫌な部分」を描くのが本当に上手い。
共感できるわけではないのに、「もしかしたら私も何かのきっかけでこうなるかもしれない」と
ゾッとするようなリアリティがある。

ただ、読み終えて少し引っかかっている点もある。
力輝斗はなぜ虐待されていたのか?
下山の母はなぜ映画の公開を承諾したのか?
沙良はなぜあのような性格になったのか?
そのあたりの背景がもう少し描かれていたら、より深く物語に入り込めたかもしれない

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2025年02月11日

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