【感想・ネタバレ】もし、キリストが聖書を読んだらどう思うかのレビュー

あらすじ

日本人が知ってるようで知らない世界最大規模の宗教。
その本質を現代社会と照らし合わせ徹底検証、大解説。

世界最大規模の宗教「キリスト教」。しかし大半の日本人は年に一度の行事、クリスマスにしかこの宗教のことを意識しません。「キリスト教」は日本人にとってどんな宗教なのか? 果たして、信仰して役に立つ宗教なのか?
現代日本の状況と照らし合わせ、徹底解説する痛快の書!

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Posted by ブクログ

著者はキリスト教の信者(カトリック)であり、神やキリストへの信仰はあるが、聖書についてはそのままを重視しているわけではない。その観点で、聖書のおかしさについて、信者が公平な目線で聖書を指摘するのというのが斬新。訳文が悪いとか、キリストの父のヨセフにセリフがないとか、男尊女卑であるとか。

特に本書で私が気になったのは、この「ヨセフ」だ。知らない事ばかりだった。2世紀後半に「真正な教え」というキリスト教批判文を書いた哲学者ケルソスは、ヨセフは姦淫したマリアを直ちに離縁したと、福音書とは正反対なことを主張した。これはこれで凄いことを言っている。処女懐胎ではなく、どうせどこかで孕んだのだろう。ヨセフはそれに耐えられず、離縁したのだと。

しかし、マタイによる福音書やルカによる福音書では、崇高な父親としてヨセフを登場させていて、この夫婦関係を無視していない。ヨセフは、受け容れたのだ。にも関わらず、クリスマスに馬小屋の中に飾る聖家族の人形(ナティビティーセット)には、ヨセフだけ光の輪がついていないものが多く、今でも民衆の間ではマリアより地位がはるかに低いまま放置されているように見える。ヨセフは、どこまでも、ただの人間なのだ。著者の俳句がそれを皮肉る。「神の子を 抱いてヨセフへ 父か子か」。

他にも、キリストが現代社会を見たらどう思うか。今のサラリーマンに何を感じるか、など。特に男尊女卑については、著者が強く主張をしていたので、その背景を知りたいと思い著者を検索したのだが、中々ヒットせず。ミステリアスであるが、ある種の宗教批判には、覆い隠す部分も必要なのだろうか。

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2024年04月18日

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