【感想・ネタバレ】経済学の壁:教科書の「前提」を問うのレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

経済学の学説を主流派・非主流派問わず概観し、各学説の前提を明らかにしようとする、野心的で意義深い一冊。
そしてその試みは、一定程度成功している。
大学で経済学を専攻していた頃、主流派と非主流派の違いを明示的に扱ったテキストがないかなぁと漠然と思っていた自分にとっては、これこそ、という一冊だった。

惜しむらくは、わかりにくい点もあったこと。その理由はいくつか思い当たる。
一つは、(限られたページの中で数多の学説を扱うという本書の特性上やむを得ないのだが)一つ一つの学説の説明はかなり端折られていて、初めてその学説に触れる人にはわかりにくいこと。学説によって、説明がわかりやすいものとわかりにくいものがあった。そこには、一人の著者が、限られた時間のなかで膨大な数の文献の内容をまとめていることも影響していると思う。
もう一つ、主に1章・2章で感じられたことであるが、たくさんの文献が引用されるあまり、全体を貫く骨子がわかりづらく、読みにくさを感じた。パッチワーク感があるといおうか。しかも、どこまでが引用されている文献での主張で、どこからが本書の著者の主張なのかもわかりづらい。この点は、文章の構成あるいは体裁が影響していると思う。例えば、引用文献の主張の前後に1行アキをつくる、字下げをする等の工夫をすれば解消された可能性はある。

本書の狙いや内容は★4〜★5である一方、上に挙げた「惜しい」点があり、トータルとしては★3.5といったところ。

とはいえ、冒頭述べたように本書の試みは非常に意義深いと思うし、関心のある読者には刺さる本だと思う。
読んでよかった、書いてもらえてよかったと思う。

0
2023年01月07日

「ビジネス・経済」ランキング