【感想・ネタバレ】カッコーの歌のレビュー

あらすじ

「あと七日」意識を取りもどしたとき、耳もとで笑い声と共にそんな言葉が聞こえた。 頭が痛い……。わたしは……わたしはトリス。昨日池に落ちて記憶を失ったらしい。少しずつ思い出す。母、父、そして妹ペン。ペンはわたしをきらっている、憎んでいる、そしてわたしが偽者だと言う。なにかがおかしい。破りとられた日記帳のページ、異常な食欲、恐ろしい記憶。そして耳もとでささやく声。「あと六日」。わたしに何が起きているの? 大評判となった『嘘の木』の著者が放つサスペンスフルな傑作。英国幻想文学大賞受賞、カーネギー賞最終候補作。/解説=深緑野分

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Posted by ブクログ

ネタバレ

フランシス・ハーディングの邦訳2作目。前作「嘘の木」はファンタジーミステリだったが、今作は冒険ファンタジー。

池に落ちて記憶を失った少女トリス。その日を境に、毎朝耳元でカウントダウンが始まり、異常な食欲に悩ませられる。妹のペンは過剰なまでの憎しみを向けてくるし、死んだ兄の婚約者と両親の間にもトラブルがあるらしい。身の回りで一体何が起きているのか。。。

序盤は本当に何が起きてるのか分からないのだが、中盤にあることが判明してからようやく話の筋が掴めるようになる。そのことにより登場人物たちの見え方もガラリと変わってしまい、見事な転換。
終盤の父親に対する指摘が本当にもっともで。いわゆる無自覚な毒親に対する、これでもかと言う正論がスッキリするとともに、強く見えていた父親も人間なのだと気づく娘に胸が熱くなる。

ミステリ要素は薄めなため、前作の雰囲気を期待するとギャップがあるかもしれないが、純粋な冒険ファンタジーとしては一級品。良かった。

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2024年06月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

フランシス・ハーディング、一気読み。一番面白かった!次点で「嘘の木」かな。
本物でない偽トリスが主人公。自分が本物と思っていたのに、いきなりアイデンティティが壊された偽トリス(トリスタ)。記憶も自身の身体も借り物だと知ってもなお、それでも私は生きている!と、命ある限り本物のトリスを助けようとする。借り物であるがゆえに、いびつな家族関係を客観的に理解し、父親ピアスにはっきりと意見をいうところは良かった。
最後は偽トリスが儚く消えて終わりかと思いきや、しぶとく生き続けるラストも意外で良かった。第一次世界大戦後、信仰への揺らぎ、女性の社会進出など、今までの価値観がすべて覆され、自分たちも変わりつつ、逞しく生きようとする少女たちを応援したい。

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2023年09月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ファンタジー小説は自由でいてほしいと思う。

現実を忘れ、物語に没頭すれば、そこに広がるのは、私たちが知らない世界だ。

この物語はある一家の物語であり、そこへ紛れ込まされたカッコーの少女の物語だ。

読み終えるまで、私は彼女と共に冒険をした。
とても楽しい旅だったと記しておきたい。

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2022年12月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読みやすく、面白かった。
クレセント家は異常だが、そうでもしないと受け入れられなかったのだなと推察することはできる。
いい子でいないといけないトリスとトリスのストレスのはけ口となったペン。
ペンは子供らしい子供だった。

「ケーキみたいに切りわけて、きらいなところだけ捨てるようなわけには行かないの」
自分の思い通りになる家族なんていないよなと改めて感じた。

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2025年09月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

・あらすじ
嘘の木が面白かったので同作者の最新邦訳作を読んでみた。
ファンタジー、サスペンスちょいホラー風味の冒険小説。

1920年代の英国が舞台。主人公トリスが事故から目覚めると記憶の欠如、異常なまでの空腹、喋りだす人形…違和感と謎だらけ状況のなか自分の正体を探っていく。

・感想
カッコー、妖精でピンとくる人はいるかも・
前作よりファンタジー色強めだからか苦手な比喩表現が多くてちょい苦労したけど主人公の正体が判明してからは一気読みした。
前作ともに抑圧された環境にいた主人公が事件を通じて本当の自分を開放させるという展開と曖昧な境界、善悪二元論で収まらないキレイに分けられるものなんてないというテーマを感じ取れる。
「きっぱりと分ける」アイテムとしてハサミを使うアイデア面白かった。
最後は結構斬新で予想外な終わり方で面白かった。

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2024年03月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

大人のためのファンタジー、冷静でちょっと落ち着いたダイアナ・ウィン・ジョーンズみたいな感じ(笑)。
本来取り替えっ子ネタは、取り替えっ子から自分を取り戻すというのがわりと鉄板だと思うんだけど、その取り替えっ子が主人公。「あと七日」…謎の囁きに怯えながら、自分を探し、見つけ、そして受け入れる。そんな王道テーマがしっかり冒険ストーリーと共に面白かった。英国幻想文学大賞も納得です。

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2023年12月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

"本は子供にだけでなく大人にだって魔法をかけてくれる"
深緑さんの解説にあった言葉の通り、すっかり魔法にかけられた。まだ気持ちが半分物語の中で置いてけぼりになっている!
少女の耳元で囁かれた「あと7日」という言葉、なぜか敵意剥き出しの妹、破かれた日記、恐ろしい程異常な食欲…
不穏な気配と謎をたっぷりはらんだまま進むお話に一体何が起こっているの…?と最初は困惑したけれど、中盤から物語の全容が見え、ドドドと一気に動き出すともう夢中になっていた。動き出す人形、蜘蛛の巣の涙、橋の裏に広がる異世界!久しぶりに触れるダークファンタジーの世界にどっぷり。
トリスやペン、ヴァイオレットに手を引かれて全力で街中を駆け抜けたような気持ち。
物語の締め括りもとっても好きだった。
本を閉じた後もぽやぽやとファンタジーの世界や住人達に想いを馳せる、子供の頃のあの感覚を今思い出してる。
はあ、面白かった!しばらく戻れそうにないや。

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2025年06月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

こういうテーマは好き。ファンタジーも好き。だけど、こんな絶望的な展開は…と、暗い気持ちになり読むのが辛かった。ラストを読んで安心したので、もう一度最初から読み直そう。

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2024年07月17日

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