【感想・ネタバレ】お山のライチョウのレビュー

あらすじ

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日本の特別天然記念物、ライチョウ。高山帯にくらし、冬はまっ白な姿に変わることから、日本では古来より「神の鳥」として人々に敬われてきました。写真家の戸塚学さんは、はじめて出会ったときから、そのとりことなり、冬も春も夏も秋も、何十回と生息地の一つ、北アルプスの立山に通って、ライチョウの写真を撮りつづけています。そのライチョウが今、絶滅の危機にさらされ、保護活動もはじまっているといいます。なぜ? 戸塚学さんは居ても立ってもいられず、北岳の現場に向かいました……。ライチョウの1年のくらしと、ライチョウに迫る危機、そして保護活動の内容もわかりやすく紹介しながら、ライチョウの未来を考えていく写真絵本。

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Posted by ブクログ

遺存種(かつては繁栄して広く分布していた生物が、その後環境の変化などで衰退、分布を縮小し、現在では限られた場所に残るのみとなったもののこと)であるライチョウをもっと知りたいと思い、手に取った『お山のライチョウ』(戸塚学)。

雷鳥沢で初めて出会った愛くるしいライチョウ親子が絶滅危惧の扱いを受けていた事は、山を降りてから知ってビックリ。

「なぜ絶滅が危惧されているのか」の背景にあるものは、
【地球温暖化】。

暖かくなり、生息域を山の上へと広げてきたサル・シカ等の動物だったけれど、

その温暖化現象の根本的原因は我ら人間。

複雑な気持ちで読み進めて、

ライチョウの保護活動を知った時には、

ホッコリしたなぁ。

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2023年07月09日

Posted by ブクログ

ニホンライチョウに魅了された筆者のライチョウに関する写真絵本。監修は小宮輝之先生。中村浩志先生の写真も使用されています。写真がとにかく素晴らしい。いかにライチョウが人間を恐れないかが、その写真の距離感でよく伝わってきます。表表紙裏でライチョウの種類の解説、裏表紙でライチョウの一年がQRコードで動画として確認できます。何故絶滅に追い込まれているのか、域内飼育、域外飼育の取り組みにも触れています。ライチョウ保全の入門書として、子どもだけでなく大人にもおすすめの絵本です。

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2022年12月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最近の僕は、『霊長類図鑑 サルを知ることは人を知ること』や『カラスの秘密 生態と行動の不思議を探ろう』、あるいは『クマムシ博士のクマムシヘンテコ最強伝説』といった生物や動物の生態に関する本に強く惹かれていた。過酷な環境や独自のルールのなかで、生き物たちがどのように適応し、生命を繋いでいるのかを知ることが純粋に面白かったからだ。そんな知的好奇心の延長線上として、日本の高山という極限環境に生きる特別天然記念物について書かれた本書『お山のライチョウ』を手に取った。しかし、それ以上に僕の背中を押したのは、最近身の回りで起きた「命」にまつわる出来事の数々だったように思う。下部のばあばが97歳で大往生を遂げ、親戚一同で見送ったこと。そして何より、妻のおちえのお腹に宿った新しい命が、数週間で心拍を止めてしまったこと。命の誕生と喪失という抗えない大きな波の中で、厳しい自然界でひっそりと、しかし逞しく命を繋ぐライチョウの姿に、何か答えを求めていたのかもしれない。
本書の核心は、氷河期からその姿をほとんど変えずに生き残ってきた「生きた化石」であるライチョウの、過酷な高山帯における独自の生存戦略と命のサイクルを描き出すことにある。天敵から身を守り、限られた食物で極寒の冬を乗り越えるための彼らの生態を通して、著者は「適応」という生命の神秘と、自然と共生することの真の意味を読者に問いかけている。
読み進める中で最も僕の心を捉えたのは、ライチョウがテンやワシなどの天敵から身を隠すため、あえて霧やガスが濃く発生している悪天候の時に活動するという生態だ。さらに、夏は褐色、冬は純白へと羽の色を変容させ、完全に周囲の風景に溶け込む「保護色」の概念も印象深い。厳しい環境に抗うのではなく、環境そのものと同化し、自分を変えることで生き残るという徹底した生存戦略である。
この「あえて悪天候の時に動く」というライチョウの生態を知った時、妙な納得感と共に胸が熱くなった。僕たちはつい、晴天の歩きやすい日にだけ行動したがり、雨や霧の日は立ち止まってしまう。しかし、ライチョウにとっての悪天候は、自らの命を守り、安全に餌を獲るための最大のチャンスなのだ。これは、逆境や困難な状況にこそ活路を見出す、一種の哲学のようにも思えた。

ちなみに、ライチョウは氷河期の終わりに日本列島が温暖化した際、涼しい気候を求めて高山帯へと追いやられた生き残りである。本来なら絶滅していてもおかしくない彼らが、ハイマツの茂みという限られたテリトリーで生き延びてきたことは奇跡に近い。『世界を変えた50人の女性科学者たち』に登場する先駆者たちや、クマムシの極限環境耐性にも通じるが、圧倒的な逆境の中で生き残る者には、他者にはない特異な適応力が必ず備わっているものだ。

本書を読み終え、僕の中に一つの問いが生まれた。現代社会を生きる僕たちにとっての正しい保護色とは何だろうかということだ。SNSなどで目立つことが良しとされる現代にあって、ライチョウのように風景に溶け込み、目立たず、しかし確実に自分の命とテリトリーを守り抜くという強さは、見失われがちである。
ライチョウは決して巨大な群れを作るわけではないが、限られた環境下で密接に関わりながら生きる。

『お山のライチョウ』は、極限の世界で命を繋ぐ鳥の生態録であると同時に、霧が立ち込める予測不能な人生の山を、愛する人たちと共にいかにしなやかに、逞しく歩み続けるかを教えてくれる、人生の指南書であった。

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2026年05月14日

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